“負担金0円”で空き家をリノベーション…全国で100件以上 急増する新活用術(2022年11月23日)

“負担金0円”で空き家をリノベーション…全国で100件以上 急増する新活用術(2022年11月23日)

“負担金0円”で空き家をリノベーション…全国で100件以上 急増する新活用術(2022年11月23日)

全国に約850万戸もある「空き家」。この問題に取り組むサービスがあります。空き家のリノベーションがなんと0円で!急増する空き家の新たな活用術を追跡しました。

■負担金は“0円” 空き家の新たな活用術

現在、全国の空き家は増え続け、およそ850万戸、社会問題に。そんななか、空き家を有効活用する画期的な取り組みが始まっています。

地元で愛された大衆酒場は、おしゃれなたこ焼き屋さんに。そして、築60年以上、住居や社宅として使われた鉄筋3階建ては2階・3階はシェアハウスに、1階は開放的なダイニングバーとして生まれ変わりました。

これらのリノベーション、所有者の負担金はなんと0円。一体なぜ?

急増する空き家の新たな活用術を追跡しました。

■“築46年の民家”を「シェアキッチン」に

この日、追跡取材班は東京・世田谷区の住宅街へ。一体、どんなリノベーションをしたのでしょうか?

実は、以前は築46年の民家でしたが、2年前にリノベーション。和室や洗面所など細かく区切られていた1階は、カウンターから店全体を見られる広々とした店内に。

そして、居間にあった押し入れは、コロナ禍にぴったりの半個室の席に。

所有者が、両親から相続して放置したままでしたが、3年前にアキサポに相談。現在は、曜日ごとにお店が変わるシェアキッチンとしてオープンしています。

2階へ上がると、2部屋あった和室は、間の壁をなくすことで、広々としたくつろげる空間になっています。

押し入れがあった部分の床を取り除いて、吹き抜けにしました。

この空き家の復活も、所有者の負担は0円だったといいます。なぜ、そんなことが可能なのでしょうか?

■全国で100件以上 空き家をサポートする「アキサポ」

それを可能にしたのが、空き家サポートする、その名も「アキサポ」。

「アキサポ」シニアマネージャー・印南俊祐さん:「アキサポは空き家を放置しないために、負担金0円でいったん重たい腰を上げてもらうのが目的」

空き家をかかえても、リフォーム費用などが払えず放置されていることが多いといいます。

印南さん:「貸し出した際に出てくる転貸賃料。その賃料の一部をオーナーさんにお返しする仕組み」

アキサポは、借り受けた空き屋をリノベーション。さらに入居者探しや物件の管理まで行います。3年から15年の契約期間は支払われた家賃がアキサポの収入となり、工事費用などを回収、利益を上げていきます。また、その家賃から一部が所有者にも入ります。

そして、契約期間終了後は、すべての権利が所有者に戻るのです。

印南さん:「(Q.依頼があっても、すべて受けられるわけではない?)もちろんそうなんですけど、もしも活用に当たらない物件は、売買などで空き家の問題の解決は当社でできます」

これまで手掛けた物件は、全国で100件以上だといいます。

築50年、木造長屋の空き家は、地域住民が気軽に立ち寄れるカフェになり、わずか8坪の狭い住居が木のカウンターを置き、くつろぎやすい空間になりました。

道幅が狭く奥まった場所にあるため、2年間使われていなかった倉庫は、周辺にバイクユーザーが多かったことから、大型バイク専用のガレージになりました。

今、全国から多くの相談が寄せられているといいます。

■“築50年のアパート”をリノベーション

これから、リノベーションが始まる物件があります。

リノベーションを依頼したのは、建築士の藤村洋人さんです。

藤村さん:「ここのアパートの管理を自分たちでやってたんですけど、非常に大変だったので、古いしもうやめようかなと」

木造2階建て、築50年のアパート。早速、アキサポスタッフと部屋の状況を確認して、様々な可能性を探ります。

空き家になって1年。家賃収入はゼロ。維持費や税金などがかかるだけの状態でした…。

まずは、1階から。

アキサポ担当者・山下航平さん:「(Q.最終的にどういう建物にしよう?)ただの賃貸の住宅ではなく、商業的なものも含めた複合的な施設」

アキサポでは周辺環境などをリサーチしたうえで、様々な可能性を所有者に提案します。

「この場所ならお客さんが来る」と判断し、1階はお店の入るテナントにするアイデアを出しました。

続いて、2階へ。

2年以上も借り手がいなかったという部屋の天井は、雨漏りで剥がれ始めていました。

2階の部屋はきれいにリノベーションしたうえで、新たな賃貸物件にすることを提案しました。

藤村さん:「楽しみもありますし、ホッとしてるところもありますよね。ずっとこの状態だと、どうするかなっていうのもあったので」

年明けには工事が始まり、築50年のアパートは生まれ変わる予定です。

■「ファンの集える場所」…トキワ荘に特化した“ブックカフェ”

家賃収入を得るためにも、空き家をどうリノベーションするかが重要です。

この日、議題に上がっていたのは、東京・品川区にある10年間放置されていた元美容室。現在は、修復工事も終わり入居者を探している状態です。

山下さん:「オーナーさんの思いもあるので、美容室で決まってくれたら1番いいかなと」

所有者の希望、立地や設備、借り手のニーズを考え、プランニングと利用者探しを行っていきます。

それらが成功した例が、東京・豊島区にあります。

2年前にオープンしたトキワ荘ミュージアムのすぐ近く、昭和レトロな駄菓子屋のようなお店です。

通り沿いの入り口は白を基調にしたシンプルな店構え。中に入ると、トキワ荘出身者の作品がずらりと並んだブックカフェです。多くの漫画ファンが訪れています。

実は、この店、以前は老舗の時計店でした。かつては、200店以上が軒を連ねるにぎやかな商店街でしたが、次第に閉める店も増え、3年前に閉店する決意をしたということです。

アキサポを利用した小出幹雄さん:「トキワ荘に特化したショップに切り替えたいなという気持ちは、随分前からありました」

店主の小出さんは「ファンの集える場所を」と、アキサポに相談。雑然とした時計店の店内と作業場はカウンターを設置し、ブックカフェに生まれ変わりました。

棚には、トキワ荘の漫画家たちの作品がずらりとあります。

借り手は、岡山県で中古の漫画を販売する書店です。アキサポが声を掛け、実現しました。

「借り手」テイツー・藤原克治社長:「(トキワ荘を)元々聖地として捉えてはいた。何らかのカタチで関わりたいなと」

ドリンクを注文すれば、マンガは読み放題。イベントなども行われ「ファンが集える場」になっています。

小出さん:「私が考えてた理想のカタチになってます」

これからの展開について、アキサポは次のように話します。

印南さん:「今後、少子化もあって(空き家が)増加することは止められないと思うんですけど、空き家を1軒でも少なくすることが我々の目的になっています」

(11月22日「スーパーJチャンネル」より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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