「学校継続の模索を・・・」なぜ子どもの感染が急拡大?専門家に聞く(2022年1月18日)

「学校継続の模索を・・・」なぜ子どもの感染が急拡大?専門家に聞く(2022年1月18日)

「学校継続の模索を・・・」なぜ子どもの感染が急拡大?専門家に聞く(2022年1月18日)

いま、子どもの新型コロナウイルスへの感染が急増しています。

大阪市では17日、19の学校が臨時休校となりましたが、18日は54校にまで増えました。いま、確実に言えるのは、子どもの感染急増は第6波の特徴だということです。東京都で18日に確認された10代以下の感染者は1175人でした。まだ、右肩上がりが続いているのに、すでに第5波のピークを400人近く上回っています。年代別でみると、10代と10歳未満で、全体の20%ほど。第5波のピーク時では15%に届いていませんでした。

こうした状況に、学校側も手をこまねいているわけではありません。

西東京市の中学校では、18日から3年生の授業がオンライン授業に切り替わります。オンライン授業は28日までです。今月下旬から高校入試が本格化するため、安心して受験勉強ができるようにするためだそうです。放課後、担任は、複雑な思いでオンライン授業の準備を進めていました。
3A担任・高木雄介教諭:「いま、入試の真っただ中なので、入試の前日とか学校に来て、クラスの仲間たちと気持ちを共有したり、顔を見て話して息抜きして、受験に臨む方がいいと思うけど、それもできないので、かわいそうだなと思う」

学校側としても、苦渋の選択です。
田無第4中学校・山本一幸校長:「現実的には1人、家族がオミクロンで感染した場合に受験に向かうのはかなり難しい。できれば接触を避けて、少し感染状況が落ち着くまではと判断した方が受験生のためではある。できれば最後まで(子どもの)近くにいたかったなと。これで回復しなかったら、卒業までオンラインかもしれない。きょうが最後になるかもしれない。そうならないように、世の中全体で感染防止の意識を高めてほしい」

より厳しい措置に踏み切った自治体もあります。人口約5万人の和歌山県岩出市では、すべての小学校を16日~24日まで臨時休校としました。約3000人の児童が対象となります。
古閑佐代子さん:「ご飯も3食作らないといけないのも大変。パートなので、フルタイムで働いているわけではないが、時短にしてもらって、少し早く帰らせてもらったり。きょうも時短にしてもらった」

パートの調整に頭を悩ませながらも、臨時休校の判断については、歓迎していました。
古閑佐代子さん:「ありがたいかなと思う。まだワクチンも子どもは打ててないので、感染のリスクを考えると、その措置は良かったと思う」
颯斗さん(小6):「家では課題が渡されて、ちょっとずつ勉強していく。やっぱり学校の方が楽しい。1週間なくなるのは、小学校生活が最後なので寂しい」

それぞれの家庭に、それぞれの事情があります。低学年のお子さんがいると、目が離せません。
2児の母親:「8歳の子が、じっとしていられないくらいガサガサする子なので心配。1人にすると心細くなって、勝手に家出ちゃったりして危険」

普段は子どもを学童保育に預けて朝9時からフルタイムで働いています。夫は出張中のため、18日はやむを得ず有給休暇を取りました。でも、19日は休めません。
2児の母親:「他のお母さんたちとのネットワークで、何とか助け合ってみてもらう感じ。周りの方のありがたみが、改めてわかった。感謝ですね」

いまは、各小学校に設置された学童保育も休みとなっているため、仕事を休めず、子どもの預け先も見つからない親は、民間の学童を頼るしかありません。
子どもを預けた母親:「本当にありがたい。仕事も休んでばっかりいても、家の収入も下がったり、会社の人にも申し訳なさが出てくるとか、そういう問題もあったりするので、みんな混乱の中対応している」

岩出市でコロナに感染した小学生は、4つの学校で19人。全児童約3000人を対象にしてまで、臨時休校に踏み切った、その理由を聞きました。
和歌山県福祉保健部・野尻孝子技監:「岩出が感染の爆発を起こしているなか、これ以上広がると大変なことになる。しかも複数人にいたっているので、臨時休校の措置を取っていただきたいとお願いした (Q.学童保育も止まって、保護者の負担が大きいと思うが)致し方ないと思う。いまは健康と命を守ることに、まずおくべき」

◆感染症学が専門の国際医療福祉大学・松本哲哉主任教授に聞きます。

(Q.デルタ株の場合、子どもは感染しにくいといわれていましたが、いま、なぜ子どもの感染が多いのでしょうか)
オミクロン株は、子どもも大人と同じように感染しやすいと思います。子どもの感染が増えてくるのは十分考えられます。通常、大人が感染して、家庭に持ち帰って子どもに感染させてしまうパターンが多かったですが、学校や保育園が始まって、そのなかでの広がりも出てきています。学校などでも感染対策はやっていると思いますが、残念ながらオミクロン株は感染しやすいということで、広がってしまっていると思います。

和歌山県岩出市では、今月9、10日行われたバレーボール大会でクラスター発生。18日時点で、市内6つの小学校のうち、4校から19人の感染が確認され、市内全校の休校を決定しました。この決定について、和歌山県福祉保健部の野尻技官は、「バレーボール大会に参加していない生徒からも陽性が確認されていた。感染爆発して手が付けられなくなる前に止めるのがベストだと判断した」としています。

(Q.今後、各地で同じようなクラスターが起きる可能性も高いですが、どう対応したらいいのでしょうか)
一斉休校は、かなりの影響が出てくると思います。例えば、感染者が出たクラスの学級閉鎖、あるいは、期間を短くして、その間、検査をして、結果を踏まえて判断するなど、なるべく生徒が休まないようにする。学校が、ある程度、継続できるようなやり方を模索していく必要があると思います。いまは、ノウハウを蓄積することができていますので、やり方を工夫して、うまいやり方を取り入れていくことができると思います。

(Q.子どもが感染した場合、高齢の家族も同居する家庭では、家でどう対応したらいいのでしょうか)
家庭内感染は、防ぐのが難しいです。まず、感染した人と、そのほかの人を切り離す。接触を減らす。子どもが感染した場合は、その対応をするのは母親だけに決めるというのも一つの手だと思います。それでも離すことが難しい場合は、守らなければいけない高齢者にホテルで過ごしてもらう。一定の期間、徹底的に距離を置くということが大事だと思います。

厚生労働省は、20日の専門家による分科会で、ファイザー製ワクチンの接種対象を、これまでの12歳以上から5歳以上に拡大する見通しです。

(Q.アメリカでは、すでに5歳以上の接種が進んでいますが、日本も急いで行うべきでしょうか)
アメリカの場合、一日に100万人が感染して、その中に子どももかなり感染しています。入院するような子どももいます。子どもを守るという意味では、ワクチン接種をやるべきだと思いますが、日本の場合、そこまで広がっていません。だから、まず、重症化しやすい高齢者を守ることが大事だと思います。優先順位とすれば高齢者、リスクを抱えている人。もし、子どもで、基礎疾患があって、重症化しやすいリスクを持っている場合は、優先的にワクチン接種をやってあげるべきだと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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