運転手「ブレーキが利かない」静岡・観光バス横転 速度超過?整備不良?専門家解説(2022年10月13日)

運転手「ブレーキが利かない」静岡・観光バス横転 速度超過?整備不良?専門家解説(2022年10月13日)

運転手「ブレーキが利かない」静岡・観光バス横転 速度超過?整備不良?専門家解説(2022年10月13日)

静岡県側の富士山五合目からふもとへ向かっていた観光バスが横転しました。

通報があったのは13日正午前。バスには乗客乗員36人が乗っていました。

この事故で、枝川恵美子さん(74)が死亡、3人の乗客が重傷です。

事故の影響で通行規制が行われ、下山まで5時間かかったという人もいました。

通行再開を待っていた人:「寒くて、寒くて、車の中はエンジン切っていたので。(現場は)意外と緩やかなカーブ。え、こんなとこでという」

現場は、富士山の静岡側の5合目に通じる小山町の県道、通称『ふじあざみライン』。事故が起きたのは、比較的穏やかな右カーブの途中でした。

現場を車で通ったことがある人:「アップダウンが激しいところ。かなり気を付けないと、下りは下りで速度が早くなって、ギアを変えたり、それでも落ちなくて、カーブの手前でブレーキを踏まないといけないほど勾配」

現場の状況から、警察は、のり面にタイヤが乗り上げ、横転したとみています。

今回のツアーは、11日から始まったばかりの全国旅行支援の対象でした。

クラブツーリズム・酒井博社長:「(Q.全国旅行支援が始まって3日目だが、大惨事が起きたことについて、ツアー企画会社としての受け止めを)せっかく多くの旅行会社があるなかから、当社の旅行をお選びいただいて、私どもとしては、出発をして安全にご自宅へお届けするのが責務。その責務を全うできず、誠に申し訳なく思っております」

観光バスは13日午前7時半、埼玉を出発しました。

車窓の景色を楽しみながら一路、富士山へ。5合目で散策をしたところまでは、順調でした。

事故が起きたのは、そこからの帰り道。本来ならその後、金目鯛の煮つけなどの昼食を取って、富士山を望む駿河湾クルーズを堪能し、わさび工場などで買い物をしてから、午後6時半ごろ、埼玉に戻る予定でした。

ツアーに参加した34人のうち、70代が15人と最も多く、高齢の方が目立ちます。

平日にもかかわらず、定員の85%が埋まる盛況ぶりでした。

なぜバスは横転したのか。事故の直前、ある異変が起きていたといいます。

クラブツーリズム・酒井博社長:「添乗員が『ドライバーさんがブレーキが利かないとおっしゃってた』。事故の直前でございます」

バスを運転していたのは、野口祐太容疑者(26)。過失運転致傷の疑いで現行犯逮捕されました。

調べに対し、野口容疑者は「事故を起こしたことは間違いありません」と容疑を認めているということです。

美杉観光バス・吉田典弘社長:「去年7月入社。送迎・観光を合わせながら乗務。ツアーに何回出ていたのかは分からないが、春から観光の乗務が多くなったと聞いている。(Q.今回のルートの経験は)それはちょっと分かりません。同じコースを行っている可能性もあるが、聞いていない」

バスを運航していたのは、埼玉にある『美杉観光バス』。事故が起きたバスは7月に車検に通ったばかりで、13日朝の点検で異常はなかったといいます。

野口容疑者の体調にも問題はなかったといいます。

関東運輸局は13日午後、美杉観光バスの営業所に特別監査に入りました。

クラブツーリズム・酒井博社長:「(Q.今後、バスツアーは中止の予定があるのか)今後も安全を最優先に確認をして、バスツアーは実施をする予定。(Q.原因が分かっていないのに、どのように安全確認をして、同じようなルートを通るツアーを安全に運行する考えか)美杉観光バスの原因が究明できるまでは、ツアーの依頼は一時停止」

国交省は、今回の事故を特別重要調査の対象にあたると判断。専門家で構成される事故調査委員会に調査を依頼しています。

***

◆25年以上、交通事故の鑑定を行っている事故解析技術研究所・相見忍代表に聞きます。

(Q.現場の様子からどんなことが言えますか?)

事故が起きたバスは、タイヤが右に大きくきれています。運転手がハンドルをめいいっぱいきった状態で横転しているということです。ということは、居眠りは考えられません。

(Q.それでも横転した理由は何だと考えられますか?)

一番考えられるのは、道に沿った速度ではない、高速で走っていたことです。

(Q.現場は比較的、緩いカーブだったということですが、どう考えればよいですか?)

富士山の5合目から下りてくると、22個目くらいのカーブで、ようやくなだらかになってくる所です。

ですから、ちょっと気が緩むというか、スピードを出せる環境にはあります。

(Q.警察は、フットブレーキを使い過ぎてブレーキパッドが過熱し、摩擦力が減少してブレーキの利きが悪くなる『フェード減少』が起きた可能性について調査しています。この可能性について、どう考えていますか?)

今回は、5合目を11時40分に出発して、事故が50分に起きています。わずか10分間で、フェード現象が起きることは考えにくく、可能性は低いと思います。

その前にブレーキをうんと使って過熱した状態であれば、フェード減少が起きる可能性はありますが、5合目では休憩時間が結構あったということなので、バスが止まっていればブレーキは十分に冷えると思います。

10分間走っただけで、フェード減少が起きるということは、技術的には考えにくいです。

(Q.坂道を運転する時の注意点はなんですか?)

まず、バスに乗ったら必ずシートベルトを締めることが一番です。

ただし、バスのシートベルトは3点ではなく、非常に締めにくいです。

あれはもう少し改善の余地があって、すぐに締められるような状態になることが望ましいと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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