「孤立していないアピール」軍事演習“大幅縮小”もプーチン氏の狙いは?専門家解説(2022年9月1日)
IAEA=国際原子力機関の調査団が、ウクライナ南部のザポリージャ原発に到着しました。
◆防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんに聞きます。
(Q.ザポリージャ原発の周囲では砲撃が続いていますが、国際機関の視察が入ることで、原発の安全性は確保できるのでしょうか)
原子炉1基が緊急停止するなど、危険な状態が続いています。ウクライナ軍は、アメリカなどから提供された兵器などで、ロシア側の軍事拠点を効果的に攻撃しています。ロシアは、原発を砦にした形にしていて、ウクライナ側が攻撃しにくいだろうと。ここから軍事的な動きを強めていくと思います。だから、IAEAの調査団が一次的に立ち入ったとしても、ロシア側が原発を明け渡すということには残念ながらならないと思います。
一方、ロシア本国では、本格侵攻後初となる大規模軍事演習が始まりました。今回の軍事演習は『ボストーク』と呼ばれ、ロシア語で『東方』という意味です。4年に1度行われていますが、これまでよりも大幅に規模を縮小しています。兵士の数は5万人以上で、前回の約30万人から6分の1に縮小。また、訓練場所も当初の13カ所から7カ所にほぼ半減しています。一方、参加国はロシアをはじめ、中国、インド、ベラルーシなど14カ国で、前回よりも増えています。
(Q.規模を縮小した軍事演習をどうみたらいいでしょうか)
いま、ロシア軍はウクライナに6~7割の兵力を投入しているとみられています。4年に一度、行われる極東地域の大規模軍事演習ですが、今回、兵士を少なくし、訓練場所も半減させる形となっていますので、ロシア側は無理してやっていると思います。つまり、それくらいウクライナ戦争に兵力・兵器を取られてしまっている状況があると思います。
(Q.無理してでも軍事演習を行うプーチン大統領の思惑はどこにあるのでしょうか)
2つあると思います。1つ目は、ウクライナ戦争を行っていても、国際社会から孤立していないということをアピールすることです。前回は、ロシアを含めて3カ国の参加だったのが、今回は14カ国に増えました。友好国の中国、インドのみならず、ニカラグアなど地理的に離れた国もかき集めた。決して、国際社会から孤立していないというアピールする狙いがあると思います。2つ目は、今回、中国の海軍が初めて参加しています。日本海で演習が行われるとみられています。国後、択捉島でロシア軍が軍事演習をやる構えを崩していませんので、日米をけん制する狙いもありそうです。
今回、大幅に規模を縮小しているというものの、5万人規模で、13カ国を招く形で、これだけの軍事演習をできるということをアピールしながら、今すぐ兵器・兵力不足でウクライナ戦争ができない状況ではないということを国際社会にアピールするという意図もあると思います。プーチン大統領は長期化の考えは崩していないところがありますので、引き続き、ウクライナでの犠牲者の拡大が懸念されます。
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