兵士不足で“短期契約兵士”や受刑者が戦場へ?ロシア脱出兵士が証言「軍の質落ちた」(2022年8月28日)

兵士不足で“短期契約兵士”や受刑者が戦場へ?ロシア脱出兵士が証言「軍の質落ちた」(2022年8月28日)

兵士不足で“短期契約兵士”や受刑者が戦場へ?ロシア脱出兵士が証言「軍の質落ちた」(2022年8月28日)

ウクライナ侵攻をめぐり、ロシア国内では兵士募集のチラシを配ったり、短期契約での兵士募集、刑務所にいる受刑者を戦地へと送る動きが出てきています。

▽恩赦と引き換えに受刑者も募集
ロシアの地方都市では、前線に送り込むためか、戦車など数多くの軍用車が、列車で運ばれていきます。
「モスクワ中心部に現れた、このパネル。今のウクライナでの軍事作戦と第二次世界大戦をあえて関係付けています。」
首都モスクワでは、ウクライナで戦う兵士と、第二次世界大戦で戦った兵士の写真を並べて展示。いずれも「ナチスからウクライナを救った英雄」だとして、今回の軍事作戦の正当性をアピールします。
一方で、当初はロシア軍の圧倒的優位が伝えられていたウクライナでの戦況ですが、今は膠着状態に―。
ロシア国内では、プーチン大統領を支持してきた右派からも、批判の声が上がり始めています。

(ドンバスで親ロ派武装勢力を率いた イゴーリ・ギルキン氏)
「ドネツク人民共和国の全領土の解放はおろか、スラビャンスクの占領も不可能だろう。軍事戦略の破綻は『明白』だ。」
戦闘が長引いて、兵士不足が深刻化しているのでしょうか。プーチン大統領は25日、ロシア軍の規模を190万人から204万人に増員させる大統領令に署名しました。
ロシアの徴兵事務所に貼られたチラシには、給与は20万ルーブル=日本円でおよそ45万円以上、年齢は60歳以下とあります。兵士としては、高齢な人材も集めざるを得ないようです。さらに―。
「ロシアの調査報道サイトによりますと、この刑務所から少なくとも107人の受刑者がウクライナへと送られたということです。」
今月24日には、大統領による恩赦と引き換えに、107人の受刑者がウクライナに兵士として送られたと言います。

▽短期契約の志願兵1万人超が戦地へ
SNS上には、“志願兵”を募集する呼びかけも―。
「今、ロシアの存亡がかかっている。まともなロシア人男性がいなければ、どんな戦いにも勝てない。」                 
我々はこの「ドンバス志願兵同盟」という団体を直撃しました。
Q. こんにちは。ドンバス志願兵同盟でしょうか?
(ドンバス志願兵同盟ドネツク代表 アナスタシアさん)
「そうです。ドンバスや“旧ウクライナ”の領土を解放するための部隊編成をしています。」
志願兵はどんな契約のもと戦っているのか聞くと―。
(アナスタシアさん)「給料はあまり高くはありませんが、今の仕事を辞めても困らない額です。“2カ月契約”で、そのあとはいったん休んでもらいます。確実に1万人以上を(戦地に)送っています。」
戦地には、緊急募集された“短期契約の志願兵”が多数送られているようです。

▽国外脱出のロシア兵証言「軍の質落ちた」
(ロシア空挺部隊 元隊員 パベル・フィラティエフ氏)
「いま、囚人や定年が近い年齢の人々を(ロシア軍が)雇っています。そのせいでロシア軍の質は落ちました。」
こう証言するのは、ヘルソン占領などの戦闘に参加したパベル・フィラティエフ氏(34)。ロシア軍の精鋭「空挺部隊」の元隊員です。ウクライナ侵攻を批判する手記を、実名で公表し、今月中旬、身の安全のため、ロシア国外に脱出したばかりです。居場所を明かさない条件で、我々の取材に応じてくれました。
(パベル・フィラティエフ氏)「街が破壊され、多くの人々が家を失い、飢えて、逃げ惑っています。子どもを含む多くの民間人が犠牲になっています。彼ら(ロシア人)に真実を公開し、いまの状況を伝えたい。ウクライナにはファシストとナチスばかりだと信じる人たちに。」
フィラティエフ氏は、今回の侵攻に大義がないことが兵士不足に拍車をかけていると指摘します。
(パベル・フィラティエフ氏)「私のようにウクライナに行った兵士の多くは、再び戦地に戻ることを拒否しています。理由は恐怖ではなく、実際に多くの者が何が起きているか、真実を見たので、戦争に加担したくないのです。」

▽“プーチン氏の頭脳”思想家の娘 死亡
「プーチン大統領の頭脳」とも呼ばれる極右の思想家、アレクサンドル・ドゥーギン氏の娘、ダリヤ氏が運転していた車が爆破されました。
(父親 アレクサンドル・ドゥーギン氏)「我々が支払わざるを得なかった死の代償は、勝利で報われるのです。」
父のドゥーギン氏は、長年ウクライナの併合を提唱してきた人物で、娘のダリヤ氏も政治評論家として、今回の侵攻を支持していました。
(殺害されたダリヤ氏)「キエフ政権はテロ政権だ。」
ロシアの情報機関「FSB」は、事件の2日後には“ウクライナの情報機関”による計画的な犯行だと断定。
(ロシア ラブロフ外相)「犯行の計画者、依頼者、そして実行者どもを決して容赦しない。」
ウクライナで戦う、ロシア側の部隊には、砲弾に「ダリヤよ、安らかに」と書き記し、発射する兵士も―。映像には、ダリヤ氏の名を書いた砲弾をドローンで投下する様子も映っていました。

8月28日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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