“医療機関の負担増す可能性も”現場の医師 感染者の「全数把握」やめるメリット・デメリットは?新型コロナ|TBS NEWS DIG

“医療機関の負担増す可能性も”現場の医師 感染者の「全数把握」やめるメリット・デメリットは?新型コロナ|TBS NEWS DIG

“医療機関の負担増す可能性も”現場の医師 感染者の「全数把握」やめるメリット・デメリットは?新型コロナ|TBS NEWS DIG

全国知事会は、新型コロナ感染者の「全数把握」について、早急な見直しを政府に求める緊急提言をまとめました。感染者すべての発生状況などを集計する『全数把握』、これをやめてしまった場合のメリット・デメリットは?専門家に聞きました。

■感染者の「全数把握」と「定点把握」違いは?

南波雅俊キャスター:
新型コロナウイルスの感染者の全ての詳しい情報を保健所に報告していくという「全数把握」について、全国知事会の平井会長(鳥取県知事)は「全数調査にこだわりすぎて、医療のフォローアップができなかったり保健所が崩壊しかけたりということになるのではないか」と、全国知事会の緊急声明として「発生届」の作成などの事務処理で医療サービスに支障が出ているとして、「定点把握」の導入などを求めました。

これに対して政府は、医師が届け出る対象を“重症化リスクの高い人”に限定する方向で検討している状況なんです。では「全数把握」と「定点把握」の違いを見ていきたいと思います。

▼「全数把握」
全数把握をする場合、新型コロナの感染者を把握した全ての医療機関は保健所に報告する義務があり、名前/症状/年齢/性別など、詳しく保健所に報告をしなくてはいけません。また報告を受けた保健所は患者の健康観察、入院の調整などを行わなくてはいけません。

ただ、保健所も業務が逼迫していて電話などもなかなか通じないという状況なわけです。その一方で・・・

▼「定点把握」
季節性インフルエンザなどで実施されている「定点把握」の場合は、指定医療機関のみが保健所に報告します。季節性インフルエンザの場合ですと、年齢、性別だけを報告すればいいというのが原則になっています。保健所側も患者から電話の相談があれば受ける。あるいは流行期にインフルエンザの注意報を出すなど、業務も注意喚起にとどまります。

■「全数把握」をやめた場合のメリットとデメリット

▼「全数把握」やめた場合のメリット
全数把握をやめた場合にはメリットも考えられます。医療機関としては事務作業が減り、コロナ以外の診察・往診などの医療サービスが充実してくる。保健所としても健康観察などが減って本来の業務が可能になるという訳なんです。

その一方で、インターパーク倉持呼吸器内科・倉持仁院長は全数把握をやめた場合のデメリットを指摘しています。

▼「全数把握」をやめた場合のデメリット
医療機関が患者を個別に健康観察しなくてはいけなくなる。また、症状が悪化した患者がいた場合、入院先や転院など、個々の病院・救急医療機関で調整が必要になる可能性がある。そのため医療機関の負担が大きくなり、軽症・中等症患者の急変などの対応ができなくなる恐れもあると倉本先生は話しています。

■「全数把握」やめる場合…“把握すべき患者”どう線引き?

ご出演いただいている大阪大学医学部・忽那賢志教授の意見です。
「全数把握はしなくてもいいと思うが、把握すべき患者をどう線引きするのか議論が必要」というふうにおっしゃってます。

ホラン千秋キャスター:
全数把握の負担をどう考えるのか、その意義をどう考えるのか、どの視点に立つかによって皆さん意見が変わってくるかと思います。忽那先生が議論すべきという“線引”について、どうお考えなんでしょうか?

大阪大学医学部・忽那賢志教授:
全数把握はもちろんできればした方がいいんですけど、現実的にちょっと対応が困難になってきているということだと思います。ですので、全数把握ができなくなってるとしたら、代わりにどうするのかっていうことを検討する時期に来てしまっていると思います。

重症化リスクの高い方に関しては届け出をして、保健所とかの方の目が届くところにいていただいて、必要だったら入院調整をするということ。同時に全数把握をしなくなると、流行状況の把握ができなくなりますので、これまでとは別の方法で流行状況を把握する必要があると思います。それは定点把握とかもそうだと思いますし、例えば検査で陽性の人だけを引っかけるとかですね、何らかの方法で流行を把握する方法をすぐに準備をする必要があるのかなと思います。

ホランキャスター:
理想としては全数把握だけれども、いろんなことを鑑みると定点把握にして、不十分になるところをどのように補うか、皆さんどう考えますかということですね。

大阪大学医学部・忽那賢志教授:
そうですね。そうせざるを得ない状況が今来てしまっているということだと思いますので、次善の策を今からどう構築していくかということなのかと思います。

井上貴博キャスター:
オミクロン株になってから明らかに年齢とか基礎疾患の有無で重症化率にかなり開きが出てきましたよね。ここまで開きが出てくると、インフルエンザ同等の方と、そうではない方、ここを分けるべきなんじゃないかという点はどうお考えですか。

大阪大学医学部・忽那賢志教授:
そういうこともあって今回はその重症化リスクの高い方を、届け出の対象にするということなんだと思います。おっしゃる通り、重症化リスクのない方が重症化することはかなり頻度が低くなってきています。…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20220823-6036254)

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