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“全数把握”見直しに課題 医師は悲鳴「手間ばかりかかる」(2022年8月19日)
新型コロナウイルス新規感染者の「全数把握」を巡り議論が国会で始まりました。方向性を近く決めたい政府に対し、現場の医師や専門家らから様々な意見も出ています。
東京の新規感染者は19日も2万人を超えるなど、全国的に感染者数が高止まりし、「全数把握」が医療現場などの負担要因の一つと指摘。
立憲民主党・長妻昭議員:「やはり『全数把握』の簡略化はこれ至急やって頂きたいんですね。例えば家族全員が感染しても一人ずつ住所とか、発生日時とか場所とか、全部を一つずつ入力すると。例えば軽症者で若くて症状ない人も一律に入れると。これはたまらんと。おかしいんじゃないかと。早く直せと(の声)、これはもう正論だと思うんですね」
加藤勝信厚生労働大臣:「なぜ『全数把握』をしているかというのは2つあると思います。一つは感染状況そのものをしっかり把握する。もう一つは今ご指摘があるように個々の患者さんをしっかりフォローアップしていく。この2つなんだと思います。他方でいま、ご指摘のように外来のところから入力が大変だと、診察が終わった後に深夜に至ってまで入力を毎日しなければならないとの声を私も頂戴しているので」
立憲民主党・長妻昭議員:「4週連続世界一ですよ。日本の感染者数。ぜひ遅くとも今月中にはやると明言して頂きたい」
加藤勝信厚生労働大臣:「どういうタイミングでやるかについては中身も議論しなければなりません。きのうも専門家から我々と相談してやってほしいと言われておりますから、そういう手続きも経ながらただ、委員がおっしゃるように、まさにいま軽減が求められていること。このことをしっかりと踏まえて対応していきたい」
全国では18日、25万5534人の感染が確認され過去最多を更新。
「全数把握」を巡っては現在、「HER-SYS」という管理システムを使って医療機関や保健所が発生届を提出していますが、インフルエンザのように一部の医療機関を決めて流行を把握する「定点把握」を含む複数の案が専門家会議で示されました。
政府分科会・尾身茂会長:「これから『全数把握』を少しずつやめるんだったら、そうするとサーベイランス(調査監視)というかデータの質はだんだん落ちてくるわけですよね。それを乗り越えるための方法はどんなものかというようなことを含めて、かなり集中的に議論する必要があるんじゃないか」
政府も見直す方向で動き始めるなか、お盆期間による大勢の移動で感染状況がどれほど拡大したか…。
現場の医師が憂慮すべき事態を訴えます。
おなかクリニック・村井隆三院長:「大都市の多くの感染者が無症状のまま、あるいは軽い症状のまま地方に出掛けたのは間違いない。第8波が今年の冬に来る可能性は高い」
おなかクリニック・村井隆三院長:「発熱外来に来る患者の9割が感染しているような状況では“全数把握”が全くできていない。無症状の感染者は街中に多数いるのだろう。そうしたなかで“全数把握”というのは手間ばかりかかってほとんどメリットがないのでは。今までの2年間のデータを分析したら“定点”を決めて集計したデータを見れば全体像と一致しているか分かるはず。データは都も厚労省も持っているはず。“定点”だけハーシス(管理システム)入力する形にして“定点”に対して十分な補助をして頂ければ」
立憲民主党・山井和則議員:「例えば『定点把握』の定点だけはハーシスに入力するとか…。ごくわずか。あるいは重症者だけはハーシスに入力するとか限定をして頂きたい。全感染者を今のようにハーシスに入力させるのは減らす、あるいはやめる方向で検討して頂きたいと思うが、検討して頂けますか?」
加藤勝信厚生労働大臣:「例えば数字だけを集めるとしても今度はそのためのシステムが別途必要になってくるわけですよね。そこが入るまでどうするか課題等もあって、どうやって応えることができるか、そういった視点で取り組んでいきたい」
立憲民主党・山井和則議員:「ハーシス入力の簡素化ではなく全症例を軽症の人を含めて入力することをやめる方向で全症例を入力することを減らす。その検討をして頂きたい。いかがですか?」
加藤勝信厚生労働大臣:「簡素化はすでにやったんですが、そのうえでこうした状況になっている。そこを踏まえて次の対策を考えていかなければいけない。ただし先ほど申し上げたように例えば数字だけを入れるというのは一つの考え方と思いますが、それをしようとすれば新たなシステムが必要になります。じゃあそこまで待つことができるのか、ということも含めていま案を具体的に持っているわけではありませんから、様々な観点からしっかりと議論させて頂きたい」
一方、厚生労働省の専門家会合では18日、京都大学・西浦博教授らの試算が示され、新型コロナが現在の感染爆発「パンデミック」から一定期間流行を繰り返す「エンデミック」に移行しても、インフルエンザと比べておよそ10倍の感染者が出るとしています。
西浦教授はまた、「いま全数報告をやめて『定点把握』というのはあり得ない」とし、低い感染レベルでの「エンデミック」化を実現することが数少ない出口戦略の一つだと提言しました。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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