東京“1日5万人”感染試算も 抑制できる可能性は(2022年1月9日)

東京“1日5万人”感染試算も 抑制できる可能性は(2022年1月9日)

東京“1日5万人”感染試算も 抑制できる可能性は(2022年1月9日)

1週間で15倍に急増した全国の新型コロナ感染者。番組では感染急増の影響で入院予定が一転、ホテル療養に変更された方に話を聞きました。

▽東京1223人 広島は“最多”更新
9日、渋谷の街には、多くの人が行き交っていました。しかし、穏やかな日常に“コロナ”が暗い影を落とします。
東京の新規感染者は1223人。前の日の1224人に続いて、2日連続で1000人を超えました。重症患者は、きのうと同じで4人です。全国の感染者は8000人を超え、1週間でおよそ、15倍に。広島では、過去最多を更新しました。

▽入院予定が一転・・・陽性者の実情
8日、荷物を持って車に乗り込むのは、オミクロン株に感染した疑いのある大学生のAさん19歳。車内には、すでに数人乗っていました。向かったのは、宿泊療養のホテルです。
異変を感じたのは、年明けすぐ。飲食店のアルバイト中のことでした。
(Aさん)「出勤中すごく体調が悪くなって、早くあげてもらって、家に帰って熱を測ったときに、熱が38.5℃あって、ものすごい寒気がして、のどの痛みで寝られないなという感じで・・・」
検査結果はコロナ陽性でした。さらに、デルタ株の検査で陰性だったことから、保健所から、“オミクロン株”の可能性が極めて高いと伝えられました。
(Aさん)「オミクロン株なら絶対入院だと最初言われていたんですけど、状況が変わったりして変更がたくさんあったので。」
急遽、政府の方針変更で、重症者以外はホテル療養となったのです。一人暮らしのAさんは、ワクチン2回接種済みで、感染対策にも気を付けていたと言います。
(Aさん)「初詣も行ってないので。本当にバイト先と自宅の行き来しかしていなくて。それでもかかってしまう。」
現在は熱も下がり、症状も安定、4日後にはホテル療養を終えられる予定です。
(Aさん)「オミクロン株に対しては、重症化しないというのは聞いたので、軽症でもかかったらたくさんの人に心配をかけるといったことがあるので、自分の行動を考えて、どこに行くかであったり、考えた方が良いと思います。」

▽往診で“経口薬”処方も・・・在庫に不安
感染の急拡大で、夜間や休日に往診を行う「コールドクター」では、依頼が急増しているといいます。
(丸山浩司医師)「熱の経過はどうですか?」
(自宅療養者)「薬飲んでいると、37.5℃ぐらいになるんですけど(薬が)切れた頃から上がってきちゃう。」
コロナ発症3日目で自宅療養中の男性。発熱やせきなど症状は比較的軽いといいますが・・・
(自宅療養者)「(治療しているのは)糖尿、腎臓、あとぜんそくです。」
(丸山浩司医師)「糖尿病も長いんですかね?」
(自宅療養者)「32歳の時になっているので20年ぐらいですね」
“重症化リスク”ありと判断した医師が処方したのは・・・
(丸山浩司医師)「こちらがモルヌピラビルというお薬になります。計40カプセル入っていますので。」
新型コロナの重症化を防ぐことが期待される経口薬「モルヌピラビル」。対象となるのは、61歳以上、もしくは、基礎疾患のある患者で、発症後5日以内の投与が推奨されています。
コールドクターでは、今年に入って、この経口薬の処方を始めました。次の往診でもー。
発症から4日目の50代男性。腎臓病があるため、不安を抱えていました。
(丸山浩司医師)「今後、酸素が必要になるということが起こりうるんですよね。リスクを少し減らせるようなお薬も使えるので。」
(自宅療養者)「ありがたいです。」
この患者にも経口薬の処方を決めました。その後、どちらの患者もせきなどの症状に改善が見られ、重症化はしていないといいます。
しかし、この日の在庫は2つのみ。朝まで往診は続きますが、この時点で経口薬はなくなりました。
(丸山浩司医師)
「基本的には医療機関で在庫として持てるのは、3つまで。追加で申請して届いたときには発症5日を超えてしまう恐れがあるので、対象となる方が10人、20人になってきた時にやはり在庫の数が3では足りない。」

切り札とされる“経口薬”は、薬局でも処方が始まっています。
(NLクオーク薬局渋谷一丁目店 佐久間翔薬局長)「薬局の判断ではできないので基本的には病院の医師からの指示になります。(患者には)郵便ポストにレターパックで送ることもありますし、最短を希望される場合は宅配便で郵送します。」
ただ、ここでも在庫の問題が・・・
「店舗に保管しておける上限は3箱までです。1箱処方が出るたびに追加で1箱発注しています。」
在庫の上限が3箱ということは、一日に3人の患者に処方するとなくなります。
「この薬が結構一般的に処方されるようになったら、今の制度だったら在庫は足りなくなってしまうと思います。」

▽東京で“1日5万人感染”試算も
感染者の急増で、“第6波の到来”が現実的となった東京―。
1日、5万人近い感染者が出るという、最新のシミュレーションがあります。解析したのは、政府のコロナ対策プロジェクトに携わってきた、筑波大学の倉橋教授―。
(筑波大学大学院 社会シミュレーション学 倉橋節也教授)
「ここまで急激になるとは思っていなくて、予想以上に(感染のピークが)早く来てしまった」
感染力を表す数値は、今月1日から6日までの感染から導き出された平均値を利用。すると・・・
今月20日には2000人を超え、2月に入ると1万人を突破。3月上旬には5万人近くまで到達する結果になりました。
(筑波大学 倉橋節也教授)
「オミクロンの感染を広げる力がデルタの1~2倍と言われているので非常に強いというのがひとつあります。もうひとつ影響しているのが、ワクチンの感染予防効果というのが、3割ぐらいしかないという話があって、無防備な状態になったところにオミクロンがやって来た。」
さらに特筆すべきは、重症者数です。倉橋教授は、まだデータが少なく、あくまで参考値として解析を行いました。
その結果、重症者は、3月1日には、第5波のピーク時の2倍近い、573人と算出されたのです。
(筑波大学 倉橋節也教授)
「重症化のリスクはデルタより低いという風には言われ ています。ただ感染者の人数が(第5波のピーク時の)10倍になる訳ですから、たとえ重症化率が下がったとしても相対的な(重傷者)人数が増えてくる可能性が高い」
では、どうすれば感染者数を抑えられるのか?
倉橋教授は、ある条件を加えることで、5万人近い感染者数を3分の1以下に下げることができたと言います。
その条件とは、繁華街の夜間の人流を50%に抑制すること。
(筑波大学 倉橋節也教授)
「ワクチンを前倒しして打った方が良いとは思いますけど、もう感染(拡大)が始まっちゃっていますので追いつかない状況にはなっていますね。とにかく目の前のこの1カ月できるだけ人流を下げるということ。その時間稼ぎをしている間にワクチンをどんどん打っていく。あるいは経口薬をどんどん配っていく、その2段構えでやるしかないだろうと思いますね」

東京を上回り、国内最多の感染者が確認されている沖縄では、9日から「まん延防止等重点措置」が始まりました。
3連休で賑わうはずの街ですが・・・
(大城学記者)
「午後9時を回った国際通りです。まん延防止で、飲食店は閉店の時間となり、人通りも少なくなっています。」
(愛知からの観光客)
「最悪コンビニで食べようかなと思います。ホテルに持ち帰って・・・」
(居酒屋の店員)
「成人式関連のキャンセルが60名とかあったんですけど、もう正直きついの一言しか出ないですね。」

▽“感染最多”沖縄の病院に異変
沖縄の9日の新規感染者は、1533人。前日よりは減りましたが、2日連続で1500人を超えています。
8日、沖縄の友愛医療センターには救急患者を乗せたヘリコプターが・・・
運ばれて来たのは、消化器系の急性疾患を発症した60代の重症患者で、コロナではありません。米軍基地が点在する、県の北部の病院では救急の受け入れが制限されている為、南部にあるこちらの病院へ搬送依頼が急増しているのです。
医師「救急車来ました!」
年が明けてからすでに20人ほど他の病院から搬送されました。
第6波に備え、こちらの病院では、先月29日に小児病棟を改装し再びコロナ病棟を設置。現在、20床の内、11床に患者が入院しています。
(友愛医療センター 西平守邦 腎臓内科部長)
「ほとんどの方の症状が発熱をメインとして、せきとか鼻水とか若い人は特に軽い症状が多いのかなと思っています」
沖縄の病床使用率は、9日の時点で38.4%。県によると、コロナに感染したり、濃厚接触者になるなど、働くことができない医療従事者が485人に上るということです。
(友愛医療センター 西平守邦 腎臓内科部長)
「職員が複数名コロナ、もしくはコロナの濃厚接触者で出勤できないという状況が出てきて、通常の医療提供そのものが危うくなってきている。」

1月9日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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