「見積もりの甘さが…」感染“最多”相次ぐなか…抗原検査キットなぜ届かない?解説(2022年7月28日)

「見積もりの甘さが…」感染“最多”相次ぐなか…抗原検査キットなぜ届かない?解説(2022年7月28日)

「見積もりの甘さが…」感染“最多”相次ぐなか…抗原検査キットなぜ届かない?解説(2022年7月28日)

新型コロナの感染が拡大するなか、政府は医療のひっ迫を防ぐため、国が確保している抗原検査キットを28日以降、各自治体へ発送を始めるとしていましたが、見通しはまだ経っていないようです。

◆検査キット配布の背景

現在、患者が発熱外来に殺到し、外来医療がひっ迫していて、自分で検査しようと思っても、薬局では検査キットが品切れの状況です。

そこで政府は、発熱外来に加えて、薬局・公共施設などで検査キットを無料で配布して、受診する前に自分で検査できる体制にし、発熱外来に来る人を減らそうとしています。

対象は、重症化リスクが低いとされる有症状者です。

抗原検査キットは、国が承認したものについては、発熱などの有症状者に関しては、PCR検査の結果と一致率が高いとされ、確定診断に使えるということです。

◆どこに目詰まりが起きているのか

(Q.横浜市はしびれを切らして独自に検査キットを配布することを決めました。なぜ、こんなことが起きているのでしょうか?)

厚生労働省は25日、各自治体に通知を出していて、どのように検査キットを配るのかについては、各自治体に任せるとしています。

例えば「都道府県から配送業者を活用して発熱外来へ」「都道府県から各地区の医師会へ」「都道府県が自ら配布」などとしています。

本来なら28日から、国から各都道府県に検査キットを送る予定でしたが、それもうまくいっていません。

厚労省の担当者は「各都道府県の担当者と、配送業者との協議が進んでいない。それぞれの担当者・業者と話し合いの時間を作るだけでも難航。遅れてしまって、非難されても仕方ない。申し訳ない」と話しています。

いつ送ることができるのかについては「できるだけ早くとしか答えられない」としています。

(Q.自治体も困ってしまいますね?)

自治体の声を聞くと、やはり困っているようです。

山形県:「国に希望を出したが、その後何も進展がない」

埼玉県:「希望通りの数が届くのか分からず、スケジュールが立てられない」

島根県:「検査キットを保管する倉庫の確保や、県民に配る体制づくりに時間がかかる」

***

政府は新たに『BA.5対策強化宣言』を設ける方針であることが分かりました。

政府関係者によりますと『BA.5対策強化宣言』は、病床使用率が50%を超え、中等症以上の患者が多いなどの条件を満たす場合に、都道府県が出すことを想定しています。

緊急事態宣言やまん延防止等重点措置のもとでの行動制限とは異なり、罰則はありません。

大阪府が高齢者への外出自粛要請を行うなどしていますが、こうした動きに国がお墨付きを与える形です。

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◆政治部・山本志門記者中継

(Q.国は様々な判断を自治体に任せきりという疑念もわきますが、そもそも岸田総理はBA.5をどう評価していますか?)

政府が重視しているのは、あくまでも「重症者が命を落とすことがないようにする」ということです。

現状は感染者数が増えても、重症者はそれほど増えていないと。また、学校が夏休みなこともあって、感染者数は来月上旬にもピークアウトするという見通しを持っています。

そのため、基本的な感染対策で乗り切れると、政府は一貫して考えています。

この間、感染経路の主流は飲食店ではないという政府の分析を前提にして、岸田総理は最近「これまでの行動制限は、今のBA.5の状況に合わない。経済を止めないために、無理して行動制限をしないわけではない」と周辺にもらしています。

このため、大阪が出したような注意喚起を、他の自治体も出しやすいよう、政府としても注意喚起という形で示す流れになっています。

(Q.検査キットの配布が間に合っていないことについて、政府は批判されても仕方ないのではないでしょうか?)

発熱外来の予約が取りにくく、まさに急がなければいけないこの状況で、検査キットが行き届いていない訳ですから、官邸の読みは甘かったと思います。

かねてから、検査キットの在庫は十分に確保していることに自信を持っていて、最終的に行きわたるところまでの見積もりの甘さが結果として出た形です。

ある官邸幹部によれば、本来、医療機関を通じて検査キットを配布しようと話を詰めていました。

ただ最終的に、医師会から「発熱外来に人が殺到して大変ななかで、配布する手間をさらにかけられない」と反発があり、計画がとん挫したということです。

そこで1週間ほど前に、政府も軌道修正して、自治体を通じた現在の配布方針に切り替えざるを得ませんでした。

ワクチンの最初の時期もそうでしたが、配送を含めた細かい計画が軌道に乗っていない面もあります。

官邸関係者によりますと、来週にも配布を始められるという見通しを示しています。

(Q.医療現場に取材すると「医療の受診制限や軽症者の受診抑制が必要だが、患者の不安をあおる恐れがあるので難しい。政治の丁寧な説明とリーダーシップを期待したい」という声が聞こえてきます。こうした声は岸田総理に届いていますか?)

官邸でも問題意識はありますが、総理周辺は「どの程度の人まで診て、どの程度なら診ないと一律に基準を設けることは難しい」と説明しています。

一方で、政府は先週末に、都道府県などに対し、無症状で「念のための受診」を控えるよう、周知を求める要請を出しました。

さらに、官邸幹部は、病院の予約ができない代わりに、発熱で救急車を呼ぶケースが結構あり「ここも控えてもらうよう、呼び掛けないといけない」と語っています。

ただ、これが国民にきちんと伝わっているかといえば、そうではありません。

医療現場からの悲鳴、そして国民の不安が高まってきているので、政府が今、何を国民に求めるのかを、岸田総理に明確に発信してほしいと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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