「1次救急控える判断」沖縄の医療機関は限界に…旅行はリスクも考えて(2022年7月22日)
22日に全国で確認された新型コロナウイルスの新規感染者は19万人を超え、過去最多となりました。
羽田空港には、家族連れの姿が多くありました。旅行会社大手のHISによりますと、予約者数の全国1位は沖縄で、前年同時期の約4.2倍です。
沖縄県の22日の新規感染者数は4654人。依然、高い水準が続くなか、玉城デニー知事は、こう呼び掛けました。
沖縄県・玉城デニー知事:「ぜひ沖縄に来る前に十分な、それぞれの方々の個人の健康観察をしっかりしていただきたい」
3度目のコロナ禍の夏休みを、ウィズコロナで迎えようという気持ちは、宿泊施設も同じです。那覇市内のリゾートホテルでは、去年に比べ、3倍ほど予約が増えています。不安は行動制限が強まり、客足が鈍ってしまうことです。
ホテルパームロイヤルNAHA国際通り・高倉直久総支配人:「今後、感染が高止まりをして、県がさらに強い行動制限を出すと、どうしてもお客さまのキャンセルが相次いでしまう。そこの不安はある」
沖縄では、旅行中に陽性者が出た場合、どうなるのでしょうか。那覇市の保健所によりますと、陽性が確認された本人は10日間、県が指定したホテルで療養することになります。また、同行した家族や友人が、濃厚接触者に認定されれば、現時点で、7日間の外出自粛が必要になります。
那覇市保健所:「濃厚接触者がもともとの旅程よりオーバーする場合は、自費でホテルを予約してもらい、外出自粛をお願いしている。4日目と5日目に抗原検査をして、陰性であれば解除される。そういうリスクがあるということも考えて、旅行に来てほしい」
沖縄では、医療機関ももう限界です。診察を受けるまで、5時間、待つ日もあったそうです。患者が増える一方で、病院職員の感染や濃厚接触者も増えています。沖縄県立中部病院では、1500人ほどいる職員のうち、136人が自宅待機となり、通常診療にも影響が出始めていました。
21日から入院の必要性や緊急性がない軽症者の救急受診をストップ。原則、“どんな患者も断らない”としていた、この病院にとっては初めてのことだといいます。さらに、来週から一般外来を止めることも決めました。
沖縄県立中部病院感染症内科・椎木創一医師:「まったくピークは見えていない。まだまだ上り続けるという印象。医療を提供し続けることが重要。2次・3次救急の提供が遅れたり、支障が出ると、ストレートに患者さんの命に関わってくる。その部分の医療をたゆみなく続けるために、1次救急は、いまは控えさせていただく」
医療崩壊の危機は、沖縄だけではありません。福島県いわき市にある病院では、12日に1人の職員の陽性が判明し、そこからあっという間に、入院患者や医療スタッフ、計144人に感染が広がりました。現在は、2つある病棟をすべてコロナ病床として使用し、一般診療も制限しています。
常磐病院・新村浩明院長:「ほかの病院でも同じような大規模なクラスターが起こりうる。この感染力の強さからすると。そうすると本当に地域医療の崩壊につながるのではないか。こういった事態は何としてでも避けたい」
これ以上の感染拡大を防ぐためにも、一刻も早い医療従事者への4回目のワクチン接種を望んでいます。
常磐病院・新村浩明院長:「あと1カ月早く(接種)させていただければ、もう少し感染の規模が抑えられたのかもしれない。ほかの医療機関もワクチンを打っていただいて、少しでもBA.5に対する免疫を持ったうえで診療に当たるのがいいのでは」
4回目のワクチン接種について、厚生労働省の分科会は22日、医療従事者や介護職員などにも拡大することを了承しました。
社会活動を維持するため、政府は新たな取り組みを発表しました。これまで原則7日だった濃厚接触者の待機期間は5日間に短縮します。さらに、2日目と3日目に抗原検査をして、2回とも陰性だった場合は、3日目に待機を解除できるようにしました。また、医療のひっ迫を防ぐため、発熱外来で『抗原検査キット』を配布して、患者自ら検査してもらう体制を整えます。
どちらの取り組みでも抗原検査キットが求められますが、いま、ドラッグストアでは、品薄状態になっています。
潮田薬局薬剤師・山田恭平さん:「先週から感染者数が増えてきていたので、早めに在庫しておこうと感じていたが、その予想以上に、お求めになる方が多い。注文しても『宝くじ当たるかな』という印象で入荷を待っている」
街から消えつつあるなかで、医療機関に配ることはできるのでしょうか。
後藤厚生労働大臣:「今、検査キットについては、1億8000万在庫がある。ただ、今、起きていることは、例えば、特定の卸さんに特定の銘柄の検査キットしか扱っていないとか、この会社のこの検査キットが欲しいと言われた時にないとか、そういうこともあるだろうということで、必要な検査キットをきっちりと配布する体制を、これはまだ通知はしていないが、医師会・関係団体とも相談して、それが行き渡るようにしたいと考えている」
埼玉県春日部市の発熱外来のあるクリニックでは、数十人以上の診察を断っている状況が改善されるのではないかと期待しています。
あゆみクリニック・藤川万規子院長:「検査のキットの配布は、基本的には良いことだと思う。軽症者とか、風邪薬で家でちょっと休んで治るレベルの方もたくさんいるのがわかってきているので、そういう方は、そういうキットを使って、自己管理していくことも重要だと思う。政府の方針であればやるけど、保険診療とのライン付けが大切になってくると思う。例えば、外来で配ったキットで保険点数をとって良いのかいけないのか。その辺をはっきりしないといけないと思う」
新たな取り組みを悪用されないための規制づくりも必要だといいます。
実際、どのくらいの検査キットが、いつから配布されるのでしょうか。
松野官房長官:「配布する検査キットの数については、現場の必要に応じて対応するため、お答えすることは困難だが、実施可能な所は、今週末からでも実施できるよう働きかけていきたい」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
コメントを書く