唯一の常勤医師“無念”の辞職表明で“へき地の医療”が危機 市が入院病床再開を拒む(2023年5月19日)

唯一の常勤医師“無念”の辞職表明で“へき地の医療”が危機 市が入院病床再開を拒む(2023年5月19日)

唯一の常勤医師“無念”の辞職表明で“へき地の医療”が危機 市が入院病床再開を拒む(2023年5月19日)

「南丹みやま診療所」。京都府南丹市美山町地域で唯一、医師が常勤する医療機関ですが、緊急事態が起きています。唯一の常勤医師・中村真人所長(68)が、無念の辞職を申し出たのです。

 (南丹みやま診療所 中村真人所長)
 「私の進退をかけてやったら向こう(市側)に応じてもらえるのかなと思ってやったけれども、市長の考えは変わらなかったから、もう俺の方からやめるしかないと」

 事の発端は、議会での市長のこの発言です。

 (南丹市 西村良平市長 去年9月)
 「中村先生が体調を崩されて、入院の医療体制が整わない状況になってしまっておりますので、当面、入院病床は休床せざるを得ない」

 去年9月、南丹市は中村医師の体調不良を理由に、入院病床4床すべての休止を決定。ところが、市の説明に反して精力的に診察を続ける中村医師。

 (南丹みやま診療所 中村真人所長)
 「通院しなあかんので休ませてもらったぐらいのことで、体調不良で休んだことは1回もないです」

 「中村医師の体調不良」を主張した南丹市側ですが、本音はコストカットが狙いのようで、実際、市の資料には次のようなことが書かれていました。

 【市の資料より】
 『入院診療機能を廃止することが、最も収支改善効果を期待できる』

 去年10月に入院病床の休止が強行された後も、中村医師は「再開しなければ辞職する」と市に迫りましたが…。

 (南丹市)
 「中村医師も含め複数の医師が確保できない限り、入院病床は再開しない」

 新たに“難癖”とも取れる理由を付けて再開を拒んだのです。

 (南丹みやま診療所 中村真人所長)
 「私のように働ける医者がもう1人いると。こういう所に医師として勤務するような医者は、いまの私の報酬からいくといない」

 万策尽きた中村医師、ついに辞職を決断しました。

 (南丹みやま診療所 中村真人所長)
 「なんとか住民の方々の要望に応えられるような医療機関に戻したかった。非常に残念で、患者さま方には申し訳なく思っております」

 美山町地域の住民らは、京都府に対して常勤医師の確保を求める申し入れを行うとともに、南丹市に対しても、方針を変更して中村医師を慰留するよう求めています。

 (美山の医療を守る会 下村眞さん)
 「解決の道は、南丹市長が中村先生に『ちゃんと頑張ってくれ』と、『市のほうも頑張るから頑張ってくれ』と言うのが一番の近道ではないでしょうか?」

 市は中村医師に代わる医師を探しているということですが、へき地の診療所が存続の危機に立たされています。

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