北欧フィンランドの“細胞”コーヒー 2050年問題に挑む(2022年7月17日)
魅惑の飲み物、コーヒー。じつは、気候変動の影響により、コーヒーが栽培できる農地が、2050年までに、
地球上から“半減”する恐れがあるといわれています。どうしたら、未来にコーヒーを残せるのか。世界では、ある“研究”が始まっています。コーヒーを残すための研究がはじまったのは、北欧・フィンランド。コーヒーの個人消費量が世界トップクラスの“消費国”です。
フィンランド技術研究センター・リッシャ―博士「フィンランド国民はコーヒーに特別な感情を抱いています。そのため、私たちの研究に対し、とても大きな反響がありました。」
こう話すのは、ハイコ・リッシャー博士。国内にある研究所で、農地を必要としない、コーヒーの生産方法を研究しています。その“生産”場所をみせてもらうと…
リッシャ―博士「これは200リットルが入るバイオリアクタータンクです。」
案内の先にあったのは、人の背丈を超える、巨大な機械。この中で、コーヒーが生まれているといいます。
リッシャ―博士「培養液の中で、細胞が浮かんでいるでしょう。この中で植物細胞の培養を行っています。この工程が終わると、細胞の“収穫”を行います。」
コーヒーノキの葉や根から採取した細胞を、このように、人工的に増殖させて生産するため、“細胞農業”とも呼ばれています。およそ1年をかけて、収穫されたのが…
リッシャ―博士「これがコーヒーの細胞です。」
え? この白い塊が、あの、コーヒー?
取材スタッフ「グミみたいですね。プニプニしています。香りは全くしないです。」
これを冷凍乾燥させたのち、オーブンで焙煎。すると、このようなコーヒーの粉になるというのです。
リッシャ―博士「初めて味わったコーヒーは従来のものにかなり近くて、とても嬉しかったです。試飲をみんなが心待ちにしていました。どんな味がするのか、だれも、全く予想が出来なかったのですから。」
今回、誕生した“研究所育ち”のコーヒー。食品として認可されるには、まだ4年程かかるそうですが、今後のコーヒー産業に、どのような影響をもたらすのでしょうか?
「コーヒーの需要が高まるなか、従来のシステムでは今の大量生産量の維持は難しくなりつつある。コーヒー農園では、すでにさまざまな問題が発生しています。」
現に、生産大国のブラジルでは、近年、干ばつや霜の被害が頻発。生産量に深刻な影響をもたらしています。
リッシャ―博士「状況は、この数年では改善しない可能性が高い。そのため代替案が求められています。細胞農業は代替案のひとつなのです。」
近い将来、コーヒーが飲めなくなるかもしれない…そんな“消費国”の不安から生まれた、未来への活路。
リッシャ―博士「(この研究が)転機になる可能性はとても高いでしょう。私たちの願いは、未来の世代にコーヒーを残すことです。」
撮影協力店:ALLPRESS ESPRESSO Tokyo Roastery&Cafe
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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