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日本初“大気の川”を航空機で観測 『線状降水帯』予測はなぜ難しいのか?研究最前線(2022年7月5日)
土砂崩れや河川の氾濫が相次ぎ、40人が亡くなった九州北部豪雨から5年。この災害は、長時間居座った線状降水帯が引き起こしました。
見渡す限りの街が水没した2018年の西日本豪雨も、線状降水帯が招いた災害です。
こうした豪雨による被害を減らすため、気象庁は先月から、線状降水帯の発生予測を開始。ただ、精度はまだ低く、5日未明に高知で発生したものについても事前の発表はできませんでした。
予測の手掛かりを空から掴むべく、名古屋大学・坪木和久教授が率いる研究チームのフライトが5日、初めて行われました。
名古屋大学・坪木和久教授:「“大気の川”の立体的な構造を観測をする。その水蒸気の量を海上で観測をするのが目的」
東シナ海と太平洋の上空で帯状に流れる大量の水蒸気“大気の川”が、局地的な豪雨をもたらす線状降水帯を生む要因の1つとされています。
名古屋大学・坪木和久教授:「かなり雲が出てきているので、水蒸気の量が増えていることを表している。(Q.“大気の川”を進んでいるような状態?)“大気の川”の中を北上しているような状況」
“大気の川”はヒトの目では見えません。そこで『ドロップゾンデ』と呼ばれる観測装置を投下します。
ドロップゾンデには、気温や湿度・気圧・風などのデータを計測するセンサーがつけられています。トウモロコシからできていて、落下後は自然分解されるということです。
ドロップゾンデが収集したデータによって、大気の川は大量の水蒸気が毎秒20メートルもの風で運ばれ、激しく変動していることが判明。今後、さらにデータを精査します。
名古屋大学・坪木和久教授:「線状降水帯などの激しい降水の予測、予測の精度向上に寄与することを目的にしている。それによって、少なくとも人命が失われないような社会を目指す」
***
線状降水帯について現時点で分かっていることは少なく、暖かく湿った空気が継続して入り込み、次々と積乱雲が発生し、連なっていくことで、数時間にわたって同じ場所に大雨をもたらすということだけです。
どのような気象条件で発生するかなど、詳しいメカニズムの解明はこれからです。
線状降水帯の予測を最も難しくしている要因は何なのでしょうか。
太谷智一気象予報士:「大雨のもとの暖かく湿った空気は、日本のはるか南の海上にあります。海上にあるため、観測網が引けません。実測値がなかなか手に入らず、データ不足から予測が難しくなっています。我々が見るデータでも、暖かく湿った空気が日本列島に流れ込む雰囲気は分かりますが、湿った空気の入る位置が予想とずれたり、持続時間が読み切れなかったりすることも多いです。線状降水帯の予想は、現時点ではなかなか難しいと感じています」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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