2億円詐欺 “持続化給付金”言わず勧誘か リーダーの男逮捕(2022年6月14日)
東京国税局職員らによる「持続化給付金」詐欺事件で13日、リーダーの男が逮捕されました。取材で明らかになってきたのは複数の詐欺グループを束ねていた可能性がある、さらなる黒幕の存在です。今回の詐欺グループは氷山の一角とみられています。
どのように2億円に上る金を集めたのか。その意外な構図が徐々に分かってきました。
松江容疑者の知人:「松江(容疑者)を慕う人間がすごく今回、多かった」
カメラに気づくと、驚いたように顔をそむける男。ドバイから帰国して逮捕された、松江大樹容疑者(31)です。
持続化給付金をだまし取ったとして、東京国税局職員・塚本晃平容疑者(24)と会社員の佐藤凛果容疑者(22)ら男女7人が逮捕された事件。
主犯格とされる松江容疑者が逮捕。事件は急展開をみせました。
気になるのは、なぜ帰国したのかです。その理由が明らかになりました。
代理人を通じ警視庁にした連絡:「帰国して出頭するから逮捕しないでくれ」
代理人を通じ、警視庁にこう連絡していた松江容疑者。若狭弁護士は、その手法に疑問を投げ掛けています。
元東京地検特捜部・若狭勝弁護士:「弁護人あるいは容疑者が『逮捕しないでくれ』と言っても、警察がそれに応じることができない案件。恐らく刑事事件をあまり知らない、刑事手続きをあまり知らない弁護士(代理人)だと思う」
松江容疑者らは、暗号資産関連事業の「マイニングエクスプレス」という投資仲間です。
10代から20代の大学生などを中心に勧誘。およそ200人に嘘の申請をさせて、不正受給額は2億円に上るとみられています。
その勧誘の実態が明らかになってきました。松江容疑者とも面識のある知人に話を聞くことができました。
松江容疑者の知人:「誰にも好かれそうな万人受けする感じの人。特に若い男の子からすると、31歳の若さでロールスロイスに乗ったり、下の子たちにも結構ご飯に連れて行ったり、飲みに連れて行ったり還元していた。余計に松江(容疑者)を慕う人間がすごく今回、多かった」
そもそもは、車のローンを悪用したものだったといいます。
松江容疑者の知人:「マイニングエクスプレスは知り合いの中古車販売の自動車会社と共謀して、空ローンで融資を組ませて車は買ってないが金だけ引っ張るという感じで、若い人にローン組ませてお金を引っ張らせていた」
松江容疑者らが主導していたマイニングエクスプレスのパンフレットです。ここへの出資を募り、その原資がない若者に給付金の申請をさせていたそうです。
松江容疑者の知人:「松江大樹(容疑者)の場合はマルチ商法のマイニングエクスプレスに、コロナで収入が将来不安になっている弱みを突いて、マイニングエクスプレスは『約2年運用すると資金が約2倍になる』と言葉で勧誘した」
“持続化給付金”という言葉もあえて使わなかったといいます。
松江容疑者の知人:「セミナーの後に金がないならと持続化給付金の話を持続化給付金と言わず、誰でも申請したらもらえる給付金と話し、後日人数を集める。マイニングエクスプレスのセミナー、そこから持続化給付金のセミナーの流れ」
風向きが変わったのは、今年に入ってからです。
松江容疑者の知人:「今年、松江(容疑者)らが参加していたマイニングエクスプレスの配当が止まった。投資案件は配当が止まった時にすごく炎上する。日本にいると、その(炎上)リスクがある」
知り合いのいるドバイに今年2月、逃亡したといいます。
被害総額2億円のうち、1億7000万円は松江容疑者に渡ったとみられています。
元東京地検特捜部・若狭勝弁護士:「容疑者が自分名義で金を保管していれば、そこから国が回収することは可能」
なぜ、ドバイにとどまらなかったのでしょうか。
元東京地検特捜部・若狭勝弁護士:「ずっと逃げまくるより自ら出頭したほうが情状は良い。自首は犯人が分かっていない時に自ら出頭することで適用できる制度。今回は犯人と分かっているので、自首という適用にはならない」
松江容疑者の知人:「被害者も松江(容疑者)がすごい人と当時思っていたのでついて行ったが、『こんなことになると思っていなかった』と悩んでいる人はたくさんいる。罪を認め真面目に生きるしかないという一押しで通報したり、自己申告で税務署に行く人が多かった」
取り調べに対し、「弁護士が来たら話します」と認否を留保しているということです。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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