「検査の中で船が一番甘い」の声 知床観光船事故で“甘さ”指摘された船舶検査の実態|TBS NEWS DIG

「検査の中で船が一番甘い」の声 知床観光船事故で“甘さ”指摘された船舶検査の実態|TBS NEWS DIG

「検査の中で船が一番甘い」の声 知床観光船事故で“甘さ”指摘された船舶検査の実態|TBS NEWS DIG

「検査の中で船が一番甘い」。こう話すのは知床半島沖で沈没した観光船と同様の検査を受けた船の所有者です。今回の事故では国交省所管の機構による船の事前検査の”甘さ”が指摘されています。検査の実態とその背景に迫りました。

JCIの検査を受けた男性
「もう流れ作業になっちゃってます。エンジンかけてみて、すぐにもうOK」

2年前に小型船を購入したという男性。

知床遊覧船の「KAZU I(カズワン)」への検査も行っていた国土交通省が所管するJCI=日本小型船舶検査機構の中間検査を、去年7月に受けました。

JCIの検査を受けた男性
「海上より上にでている部分の船体の損傷とかないとか検査する。一応エンジンとかはかけるんですけど、ただ、走っている時のエンジンの異音とか(係留中の)検査では気づかない」

男性によると検査は、事前に日程を決めた上で検査員1人が訪れ、30分ほどで終了したということです。

検査員については。

JCIの検査を受けた男性
「(小型)船の検査の方なんかは、ほぼ素人同然。」

専門的な質問はなく、決められた事項のみをチェックしていたといいます。

知床での事故をめぐっては、事故の3日前に行われたJCIによる検査の“甘さ”が指摘されています。

検査で「KAZU I」は「携帯電話」を通信手段として申請。この時、海上での通信が可能なのかと検査員が質問したところ、豊田徳幸船長は「通信できる」と返答。検査員は実際に航路上で繋がるか確認をせずに検査を通していました。

しかし・・・。

「乗船者は26名。全員ライフジャケット着用済み。くり返し携帯に架電するも連絡とれず」

事故当時の118番記録からは、現場海域で申請した携帯電話がつながらず、事故の状況を速やかに把握できなかったことが判明しています。

JCIの検査を受けた男性
「航空、鉄道、船の三つの中で一番(船の)検査とかが甘いと思います」

事故で明るみになった小型船への検査の実態。

JCIを所管する国交省は・・・

斉藤鉄夫 国交大臣
「検査のやり方についても、我々、反省すべき点があった」

専門家は、そもそもの“検査のあり方”について次のように指摘します。

神戸大学 若林伸和教授
「性善説ということで、自分の命が関わっていることですから、虚偽の申告をするっていうことはないだろうというのがやっぱりベースにあって」

現在の検査は、「性善説」に基づく自己申告制となっていると強調。その一方で、申告内容が事実かどうか確認することは困難と指摘します。

神戸大学 若林伸和教授
「小型船舶として登録されている隻数としては30万隻を超えている。人手が十分ではないということは明らかです」

国交省によりますと、今年4月時点で、JCIの検査員の数は155人。さらに検査員の数は、年々減少していると言います。

神戸大学 若林伸和教授
「検査の精度、事業の制度。今回問題となったことが見つかったのであれば、それは正しくしていく」

平成以降、最も多くの行方不明と犠牲者をだした旅客船の沈没事故。悲劇を繰り返さないため検査態勢の見直しが求められています。

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