「体調悪くても来い」男子部員倒れ死亡で“新証言”(2022年5月27日)

「体調悪くても来い」男子部員倒れ死亡で“新証言”(2022年5月27日)

「体調悪くても来い」男子部員倒れ死亡で“新証言”(2022年5月27日)

 岐阜県の岐阜協立大学で硬式野球部の練習中に意識を失ってその死亡した男子部員を巡って新たな証言です。男子部員の同級生によりますと、「野球部では体調が悪くても部活に参加させられていた」ということです。

 在校生:「ここの野球部は強いのでプロに行っている子もいるのでビックリしました」

 今月14日、岐阜協立大学の硬式野球部の22歳の男子部員が、コーチからの指示でランニングしていたところ倒れ、翌日死亡。新型コロナに感染していました。

 岐阜協立大学・竹内治彦学長:「この度は大変ご心配をおかけしまして申し訳ありませんでした」

 26日の会見の冒頭、頭を下げた大学の学長。会見の中で以前、野球部の指導をしていた学長は。

 岐阜協立大学・竹内治彦学長:「野球部の練習の中では、結構、頻繁に何かあると走ろうかとなる。罰という認識のもと行われていたのか、断定的なことは言えないが、ある種そういう文化があったのかなと」

 気温20度でのランニング、新型コロナ感染。22歳の男子部員を死に至らしめた原因とは。グランドで何があったのか。

 岐阜協立大学。前身の岐阜経済大学ではプロ野球選手を輩出するなど東海地方のスポーツ名門校です。

 野球部員の死亡は在校生にも波紋を広げています。

 在校生:「(野球部は)体調が悪くても部活に参加させられていたと聞いた。『リーグ戦が近いから無理やり来い』みたいな話は聞きました」「人が亡くなっているので情報は正しく提供して、ちゃんと真実が分かるようになればいいなと思います」

 学校によりますと、今月14日、4年生の硬式野球部男子部員がランニング中に倒れて意識を失い、翌日に死亡しました。

 現場にいた監督らはすぐに救急車を呼ばず、30分ほど経ってから野球部の車を使って病院まで運んだと説明。

 岐阜協立大学・竹内治彦学長:「誰の指示だったかについては確認をしていません。ただ『救急車』という声があったが、部車で(病院へ)運ぼうとなったと・・・」

 男子部員はグラウンドで他の部員たちと一緒におよそ1時間走っていたといいます。

 その途中、突然倒れ込み、熱中症のような症状で会話もできず、意識がもうろうとした状態だったそうです。

 当時の大垣市の気温は21.2度。湿度が56%でした。

 さらに入院前の検査で新型コロナウイルス感染が判明。感染症対策が施された別の病院に移されましたが、翌15日に死亡しました。

 熱中症のような症状と新型コロナ感染。22歳の男子部員を死に至らしめた原因は一体何だったのでしょうか。

 順天堂大学大学院医学研究科・堀賢教授:「(新型コロナによる)肺炎状態で呼吸状態が悪いまま長時間走ったことで酸欠のような症状になったのかもしれない。そのような状況で長時間ランニングすることは低酸素状態で運動させることになる。体に対する負荷。心不全、不整脈が起きる可能性がある。新型コロナによる肺炎がある状況で無理やり激しい運動をするのは命に関わる可能性もある」

 現時点で学校側は死因を明らかにしていませんが、新型コロナに感染していたことが直接意識を失った症状と結びつくかどうか疑問が残ると指摘。

 順天堂大学大学院医学研究科・堀賢教授:「例えば脳症とか心不全、不整脈が起きたら、そういうこと(意識レベルの低下)はあるかもしれない。コロナが1時間や2時間で重症化することはない」

 野球部では感染症対策として練習前の検温を求めるとしていましたが、学校の説明によりますと、4月以降、十分に行われていなかったことも分かりました。

 さらに、今回の部員死亡を巡り、専門家が最も問題視したのが救急車を呼ばず、搬送まで30分間以上もかかったことです。

 順天堂大学大学院医学研究科・堀賢教授:「意識障害が起きていたとしたら一刻も早く搬送すべき。30分間、現場で様子を見ていたのは長すぎる。意識障害がある段階ですぐ救急車を呼ぶべき」

 強豪校として知られる岐阜協立大学硬式野球部。監督が学校に行った報告では部員が倒れた際、トレーナーが応急処置を施したものの、体調が回復しなかったということです。

 なぜすぐに救急車を呼ばなかったのか。その疑問は学長の説明でも問われました。

 岐阜協立大学・竹内治彦学長:「僕の解釈になるので、これから事実確認ということになりますが、現実問題として色々な部でけがはつきものです。けがの時は救急車を呼ぶことはせずにグラウンドの横に駐車場があり(部の)車がありますから誰かが付き添いで行って治療を受けるというのはありますので、その延長で考えられたと考える方が普通かなと想像します」

 在校生:「(死亡した男子部員は)力尽きて倒れたというのは聞いたんですけど・・・倒れたらとりあえず救急車はすぐに呼んでほしい。熱中症だったとしても命に関わることなので」

 また、部員たちはランニングについてコーチからの指示で1時間ほど続いていたといいます。本格的な雨のシーズンを控え、水分補給などが適切に行われていたのかどうか配慮を気にする学生も。

 岐阜協立大学・竹内治彦学長:「基礎からのシーズンの初めは走り込みから始まりますので、そういった意味合いで初心に帰って基礎的な練習から始めようという説明を私たちとしては聞いた」「(Q.部員側は罰としてランニングさせられたと主張?)罰としてという言い方がアレかもしれないが野球部の練習の中では頻繁に何かあると『じゃあ走ろうか』ということがあるようなので、それを罰という表現ないし罰という認識の下で行われていたのか、学生がどのように認識していたのかについて断定して答えられないが、そういう文化があったのかなと思っている。その点についてはしっかり確認して問題点があるならば正していかないといけない」

 学校側は弁護士やスポーツ医療の専門家らで作る第三者委員会を20日に設置し、関係者などの聞き取りを始めたことがわかりました。
  
 番組は学校側に取材を試み、部員たちが罰としてランニングをさせられていたのかどうかなど改めて問うと。

 岐阜協立大学広報:「大学側で確認した限りでは野球部が道具の片付けをしていなかったことは承知していますが、ペナルティーとしてランニングをさせていたとの認識はありませんでした」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事