「そこまで判断ミスない」知床観光船の社長 謝罪会見後に従業員へ・・・疑惑のメッセージ(2022年5月2日)

「そこまで判断ミスない」知床観光船の社長 謝罪会見後に従業員へ・・・疑惑のメッセージ(2022年5月2日)

「そこまで判断ミスない」知床観光船の社長 謝罪会見後に従業員へ・・・疑惑のメッセージ(2022年5月2日)

 北海道・知床の観光船の沈没から、9日が経ちました。会見で謝罪した運航会社の桂田精一社長が会見の後、従業員に対して「そこまでの判断ミスはない」などとするメッセージを送っていた疑惑が浮上しています。

■プロポーズ相手への手紙「つらくて読めない」

 観光船の沈没事故で犠牲となった鈴木智也さん(22)。1日、北海道帯広市で、通夜が営まれました。

 祭壇の周りには、幼いころからの写真や、生前大好きだったバイクの写真。そして、父親が用意したダウンジャケットが飾られていました。

 鈴木智也さんの父:「(息子は)親友であり、友達です。冷たい水につかっていたので、とにかく暖かい服を着させてあげたい。本当つらかったです。一日も早く帰ってきてほしいって。まだこれからの若い人生を奪われたかと思うと、言葉にならないです」

 鈴木さんは、交際相手の女性と2人で「KAZU 1」に乗船し、サプライズでプロポーズを考えていたといいます。

鈴木智也さんの父:「本来なら、2人で見つかってほしいんですが、先に見つかってしまったので、本当に残念で悔しくて。一緒に連れて帰ってやりたかったという気持ちでいっぱいです。最後(智也さんの)車を回収する時に、本人の(彼女宛ての)手紙が出てきたんです。つらくて読めなかったです」

■12人いまだ見つからず・・・海底に船 捜索難航

 「カシュニの滝」近くの水深およそ120メートルの海底で見つかった観光船・KAZU 1。

 後方のスライドドアが開いているのが確認され、新たに、右側に30度ほど傾いた状態であることが分かりました。

 1日も水中カメラによる捜索が行われましたが、潮の流れが速く視界も悪かったため、船体に近付くことはできなかったということです。

 沈没事故から1週間余り、これまでに14人の死亡が確認され、12人の行方が今も分かっていません。

■申請の携帯 電波「圏外」か・・・SOS「客から」

 沈没したKAZU 1について、事故の3日前に行われた年1回の船舶検査で、運航会社側が通信手段を衛星電話から携帯電話に変更して申請していたことが分かりました。

 通信手段として届けられていた携帯電話は「au」のものでしたが、通信会社KDDIのホームページによりますと、カシュニの滝付近は、電波の入らないエリアです。

 運航会社の元従業員によりますと、豊田徳幸船長は、現場周辺はauの電話がつながりにくいことを認識していたといいます。

 知床遊覧船の元従業員:「携帯電話、俺のはつながらない、auだからと言って。ドコモはつながるが、auとソフトバンクはつながらない」

 検査員が「(携帯電話で)通信できるか?」と確認したところ、豊田船長が「可能です」と答えたため、変更を認めたということです。

 事故当日の午後1時18分、海上保安庁に寄せられた救助要請の通報は、申請された運航会社の携帯電話からではありませんでした。

 第1管区海上保安本部・横内伸明次長:「掛かってきた電話は、乗客の携帯番号。そういう話で認識している」

■出航基準「波1m以下」・・・家族説明会では「0.5m」

 無責任な対応は、これだけではありません。

 出航を判断する基準について、桂田社長は先月27日の記者会見で、「波が1メートル以下、風速8メートル以下、視界が300メートル以上ないと出航できない」と説明していました。

 しかし、先月30日の家族説明会のなかで、波の高さは「1メートル以下」ではなく、正しくは「0.5メートル以下」だったと訂正したといいます。

 国土交通省・坂巻健太大臣官房審議官:「記載が前と違うじゃないかと、正直あきれたという声もあった。(桂田社長は)海に関する知識が十分でない。これでは、家族の不満がたまるばかり」

■社長が会見後に・・・「そこまで判断ミスない」

 知床遊覧船・桂田精一社長:「判断的には、間違ったなと」「私の至らなさだと感じている」

 会見で3度土下座し、反省の言葉を繰り返した桂田社長でしたが、こんな話もあります。

 関連会社の元従業員:「結構、開き直っているというか、反省したようなことは会見で言っていたが、『自分は悪くないのにな』という感じのそぶりを見せながら、社員とかに当たっていると言っていた」

 番組の取材にこう話すのは、3月中旬まで関連会社で働いていた人物です。

 現在も働いている知り合いの社員の元には、会見後、桂田社長から“あるメッセージ”が届いたといいます。

 関連会社の元従業員:「言い訳のような感じで、会見では、ああいうふうに謝ったけど、判断はそこまでミスしてなかったから、あんまり報道を見ないでほしいという申し受けがあったと聞いた。責任感がないというか、自分の責任や自分のミスで起こったことと認識できていないのかと。憤りを感じる」

(「グッド!モーニング」2022年5月2日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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