停戦協議あすにも再開 ゼレンスキー氏“妥協”発言も・・・ロシアは?専門家解説(2022年3月28日)

停戦協議あすにも再開 ゼレンスキー氏“妥協”発言も・・・ロシアは?専門家解説(2022年3月28日)

停戦協議あすにも再開 ゼレンスキー氏“妥協”発言も・・・ロシアは?専門家解説(2022年3月28日)

ロシアとウクライナの停戦協議が、トルコのイスタンブールで29日にも開催される見通しです。これまで停戦協議が4回行われてきましたが、トルコは、その合間に外相会談を仲介しています。また、20日には“停戦協議の6項目”が、トルコメディアから明らかになっています。ロシア情勢に詳しい防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんに聞きます。

(Q.トルコが出てきた意味はどこにあるのでしょうか)
ウクライナ側からすると、これまで協議を3回ベラルーシでやっていますが、ベラルーシはロシア軍が出撃したところなので、今回、場所がトルコになったのはやりやすいと思います。トルコがどこまで停戦協議で、実質的に中身を仲介するのかどうか不明ではありますが、これまで両者の主張、停戦協議の進捗状況を、トルコは把握する立場にあったので、協議を後押しする、側面支援するという役割は果たせると思います。

トルコ外相らの話として、トルコメディアが報道した“停戦協議の6項目”です。『ウクライナの中立化』『非武装化と安全保障』『いわゆる“非ナチ化”』『ウクライナ国内のロシア語使用制限解除』『東部・ドンバス地方の帰属』『クリミア半島の帰属』。

今回、『東部・ドンバス地方の帰属』『クリミア半島の帰属』が焦点とみられます。

東部ドンバス地方について、ロシア国防省は25日、「主要目標であるドンバス地方の解放に注力することが可能になった」としました。一方、ウクライナのゼレンスキ―大統領は27日、「ドンバス地方について話し合う用意がある。第3次世界大戦を避けるための妥協案である」と述べています。東部・ドンバス地方というのは、ドネツク州・ルガンスク州です。

(Q.これらの発言をどう受け止めますか)
注目は、ゼレンスキー大統領の発言です。ただ、このドンバス地方をめぐっては、ロシア側が言っている範囲と、ウクライナ側が想定しているのとは、食い違っている可能性があります。現在、ロシアが独立承認したところは、いわゆる“自称共和国”内側の狭い部分です。ただ、ロシアは軍事攻撃を続けて州全体を軍事掌握をしようとしています。両者が、どの範囲に関して、交渉しようとしているのか、いまのところはっきりとしていません。ただ、これまで東部のドンバス地方の帰属をめぐっては、交渉が全く進展していないとみられていましたが、ゼレンスキ―大統領が「妥協する用意がある」と発言しましたので、今回、大きな焦点となると思います。

(Q.支配の仕方というのも論点になるのではないでしょうか)
東部・ドンバス地方がどこまでの範囲なのか。それをロシア側の帰属と認めるのかというのも焦点になりますが、それ以外の南部を含めて、ロシア軍が、軍事制圧している地域をどう取り扱っていくのかも大きな問題です。恐らくロシア側は、軍事掌握した部分を手放すというのは考えにくいので、ウクライナから切り取ることを目指すと思います。ただ、その後、ロシア寄りの政治体制を築くことができるのか。住民の同意が得られのか。その辺を含めて、政治的オペレーションがうまくいくのか。不透明な部分があると思います。

これまで、ロシア側は、キエフ陥落を目指して『ゼレンスキー政権の打倒』が当初の目的でした。ここへきて出口戦略を考えているようなところあります。ロシア国防省が「東部・ドンバス地方の解放に注力する」としていますが、これはロシア国内向けの表現だとみています。作戦目標は、キエフ陥落ではなく、ドンバス地方をウクライナ軍から解放すると。それに対して、一定の戦火があったので、軍事作戦の第一段階は終わったという形で、ロシア国内にアピールする狙いも、国防省の発言にあると思います。

(Q.ほかの4項目についてはどうでしょうか)
これについても双方の主張の隔たりがありますので、この溝をどうやって埋めていくのかというのは残されます。ただ、今回、今まで交渉の歩み寄りが見られなかったドンバス地方の取り扱いについては、双方ともに議論の土俵に上げようとしているので、停戦協議の大きな焦点となります。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事