ロシア軍“作戦変更” “キエフ陥落失敗”を隠すためか・・・(2022年3月26日)

ロシア軍“作戦変更” “キエフ陥落失敗”を隠すためか・・・(2022年3月26日)

ロシア軍“作戦変更” “キエフ陥落失敗”を隠すためか・・・(2022年3月26日)

ウクライナ侵攻から1か月が経ち、狙いを東部ドンバス地方に変更したロシア軍。いったいどんな狙いがあるのか、ロシア政治が専門の慶応義塾大学の廣瀬陽子教授にうかがいます。
■首都キエフの制圧を断念?東部ドンバス地方を狙う理由は?
(板倉)
これまでロシア軍が制圧した地域の中で、ウクライナ軍が反撃した地域が出ており、キエフ近郊のマカリフを奪還したということです。その一方で、東部ドンバス地方の中核都市・マリウポリではロシア軍が一部を掌握し、市長が市外に退避したといいます。そしてロシア軍は「主要な目標はドンバス地方の開放」だと、作戦変更を表明しました。
(高島)
廣瀬さん、ロシア軍は「ドンバス地方の解放に注力することが可能になった」と言っていますが、この作戦変更をどう見ていますか?
(廣瀬さん)
本来、ロシア軍の目的は「キエフの陥落」だが、それがうまくいっていない。作戦から1か月が経つが、その段階でまだキエフを陥落できていないというのは、大きな失敗であることは間違いない。それを隠すために「本来の目的はドンバス地方だった」と失敗を隠す形の言い訳をしていると考えられます。

(高島)
現段階でキエフ制圧をあきらめたわけではない?
(廣瀬さん)
あきらめてはいないが、実際キエフから後退しているのも事実。ただし、この見方はいろいろある。(1)ちょっと後退した状態で補給を目指す考え方。(2)本当に諦めてしまったという考え方。(3)一番恐ろしいのは、生物化学兵器などをキエフで使うために、ロシア軍を引き離している見方もある。
(高島)
ロシアにとって戦況が悪くなればなるほど、生物化学兵器を使用するリスクは高まるのでしょうか?
(廣瀬さん)
奪還するために使う可能性は非常に高くなると思う。今回の作戦においては、「アメリカがサポートする形で、ウクライナが国内の工場で生物化学兵器を作ってきた」と、ロシアは言っている。ロシアも生物・化学兵器を使った場合、「ウクライナが先に使ったんだ」と、ウクライナを陥れるようなプロパガンダ使ってくる可能性も高い。

■ロシア政府の辞任がプーチン政権に与える影響は?
(高島)
一方で国内に目を向けると、プーチン大統領の足元では大統領特別代表が辞任しました。侵攻への反対が理由とみられていますけれども、これはプーチン政権が揺らぎ始めているということなのでしょうか?
(廣瀬さん)
そうですね、ひとつの証拠と言えますが、ただこのチュバイスさんという方はエリツィン時代に非常に力を持っていた方で、かなりの時間、反プーチンをやっていたということもありまして、実はもっと大きいのはナビウリナさんという中央銀行の総裁が辞意を表明し、しかしそれをプーチン大統領が慰留したということがもっと大きいと思います。
(高島)
ナビウリナさんが辞任するとによる国内への影響は?
(廣瀬さん)
非常に大きいですね。ナビウリナさんというのは非常に手腕に長けて、2014年のクリミア併合で、ロシアは相当大きな打撃を受けたわけですが、それもなんとか盛り返していった非常に手腕のある方なのです。なので、彼女の辞意が意味しているのは、能力が高い彼女でも現状のロシア経済は、もはや盛り返せない、もう手の施しようがないところにきているというようなことが1つ挙げられると思いますし、また彼女は20年間プーチン大統領に寄り添った人ですので、政権に対する諦めということもあると思います。更にそれをプーチン大統領は慰留したということは、やはり彼女が辞めてしまうとロシア経済ももたないし、国民の意識も保てないというところで、プーチン大統領が非常に危機感を強く持っているということが言えると思います。

■NATO「戦闘群」拡大は、ロシアにどんな効果が?
(板倉)
24日に行われたNATOの緊急首脳会議では、対戦車ミサイルや、防空システムなどの追加の軍事支援や、今後ロシアが使う可能性がある生物・化学兵器に対応する、装備品を提供することで合意したということです。また「戦闘群」と呼ばれる多国籍軍を、今ポーランドなどに配備している訳ですが、これを新たにスロバキアやハンガリーなど4か国にも展開するということを決めました。廣瀬さん、こういった西側諸国の新たな対応によってロシアにはどういった影響が出てきますか?
(廣瀬さん)
ロシアは非常に大きな打撃を受けると思います。以前から戦闘群が配備されていたエストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランドというのは、非常に強い反ロシア的な国として知られてきた訳なんですが、今回新たに戦闘群が設置される、スロバキア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアというのは比較的親ロシア的な国で、特にハンガリーに至っては先月、オルバン首相とロシアのプーチン大統領が会談をしていて、オルバン首相はNATOをむしろ批判するというような形で強くプーチンに寄り添っていた人なんですね。そういう国ですらNATOにより近づいてしまったということは、ロシアにとって非常に大きな打撃になると思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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