指揮官不在“停滞”ロシア軍 10%超喪失か プーチン氏側近 核兵器使用 否定せず(2022年3月23日)

指揮官不在“停滞”ロシア軍 10%超喪失か プーチン氏側近 核兵器使用 否定せず(2022年3月23日)

指揮官不在“停滞”ロシア軍 10%超喪失か プーチン氏側近 核兵器使用 否定せず(2022年3月23日)

 ロシアのウクライナ侵攻から24日で1カ月です。インフラの9割が破壊されたとされるマリウポリについて、ゼレンスキー大統領は「10万人が非人道的な状況に置かれている」と窮状を訴えました。

 CNN記者:「こちら側には新たな墓地があります。こちらは今年2月24日に始まったロシア侵攻の犠牲者のための墓地です」

 新たにウクライナ人の墓が作られる一方で、記者は“異様”な光景を目の当たりにします。

 CNN記者:「この冷蔵トラックは戦争の別の側面を表しています。市の遺体安置所の外に駐車されています。市の当局者は350人のロシア兵の遺体で一部、埋まっていると話しています。こちら側に来ると死体の異臭がします」

 CNNによりますと、ウクライナ当局の話として、これらのロシア兵の遺体は最終的にはロシアの遺族に返すそうです。

 当初、電撃的に首都キエフを陥落させるつもりだったといわれるロシア。軍にとって、想定していたよりもウクライナ軍の抵抗が激しかったとみられます。

 そんなロシア軍について、意外な情報が飛び込んできました。CNNは複数の情報筋からの話として、こう報じました。

 複数の情報筋(CNN):「ロシアがウクライナでの戦争を率いる軍の司令官を任命しているかどうかアメリカが確認できていない」

 ロシアは作戦を統括する指揮官を任命せずに侵攻に踏み切ったことで、統制が乱れている可能性があるというのです。

 また、CNNはプーチン大統領が作戦の全容を政府の中枢にのみ知らせ、軍の指揮官には最後まで十分に伝わらなかったことで、現地に配置された部隊の連携が取れなかった可能性があるとも分析しています。さらに、こんなことも・・・。

 国防総省関係者(CNN):「地域を統括するトップがいないため、様々な地域で活躍するロシア軍の部隊が資源を奪い合っているようにみえる」

 アメリカ国防総省の高官は22日、ウクライナ侵攻開始から1カ月近くでロシア軍が侵攻のために国境付近などに展開した戦力の10%以上をすでに失った可能性があると話しました。さらに、一部の部隊は凍傷で戦線を離脱するなど、ロシア軍の後方支援などの問題は解消されていないと指摘しています。

 対するウクライナ側は22日、ウクライナ軍が激しい戦闘の末、キエフ郊外のマカリフをロシア軍から奪還したと発表しました。

 アメリカ国防総省・ガービー報道官:「キエフ郊外をウクライナが奪還したことを確認できる立場にないが、ただウクライナ側が少し攻勢に出ている気配があることは確かだ」

 アメリカ、テイラー前駐ウクライナ大使:「今、侵攻が始まってから27日目だが(ロシア軍は)まだキエフに近付けていない。そして反撃されています。プーチン大統領は怒り心頭になっているに違いない」

 こうした状況にバイデン大統領が警告しているのが、追い詰められたプーチン大統領が核兵器や生物・化学兵器の使用など過激な戦術に出る可能性です。

 22日、ロシア大統領府の報道官はCNNのインタビューでプーチン大統領の核兵器使用の意思について問われると、核兵器の使用はあり得ると答えました。

 ロシア大統領府・ぺスコフ報道官:「我が国にとって存立の脅威がある場合、核兵器は我が国の概念に従って使用され得る」

 ロシア大統領府の報道官は核兵器使用の可能性を否定せず、さらにウクライナでの「特別軍事作戦を続けていく」としたのです。

 ウクライナ軍:「敵が残っている市民を気に掛けず全種類の兵器を使用している。敵の目的はウクライナ軍を追い出すのではなく、街を破壊することだ」

 ロシア軍に包囲され、壊滅的な被害を受けているウクライナ南東部マリウポリ。CNNによりますと、インフラの9割が破壊されたといいます。

 ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「きょう現在、約10万人の人々が非人間的な状況に置かれている。完全に封鎖され食料も水も医薬品もなく、絶え間ない砲撃にさらされている」

 ゼレンスキー大統領は「市民の退避ルートの設置を試みているが、ロシア軍が攻撃を続け妨害している」と厳しく批判しました。

 そんなマリウポリに新たな攻撃が・・・。

 アメリカ国防総省の高官は22日、マリウポリへ、アゾフ海からの長距離砲撃が始まった可能性が高いという分析を明らかにしました。

 また、心配な報道もあります。マリウポリ市議会が言う、女性や子どもなど避難している市民数千人が次々とロシアに連れ去られていることについてです。ニューヨークタイムズはマリウポリの市長補佐官の言葉を紹介しています。

 マリウポリ市長補佐官(ニューヨークタイムズから):「4000人から5000人の市民がロシアに連れて行かれた。市民が強制労働を強いられることを恐れている」

 そんなマリウポリに遠く日本から思いをはせるルディツキ・ヴィタリさん(32)。マリウポリ生まれで、いまだマリウポリに残る母親と連絡が付きません。

 在日ウクライナ人、ルディツキ・ヴィタリさん:「直接は3週間くらい連絡が取れないんですけど、母親の親友の息子経由で『大丈夫だよ』って話は聞いていますけど、インフラ全部3週間以上、遮断されているので、とりあえず生きているだけで」

 マリウポリでは電気や水道などのライフラインが止まっていて、携帯電話の充電もままなりません。母親と最後に話せたのは今月2日だったといいます。

 在日ウクライナ人、ルディツキ・ヴィタリさん:「3日から送ったメッセージは既読になってない。(侵攻の)最初の1週間はまだ母親と連絡を取っていたので毎日、連絡取れていて、ただ『どうなん?』って聞いたら『爆発の音が聞こえるよ』という会話もしましたけど、あり得ないとしか思えないですよね。このご時世で」

 医療関係者である母親は親友の医師とともに一時、病院にとどまっていたといいます。

 その医師が1人で治療を続けているため、自分もマリウポリを離れないと話していたと人づてに聞いたそうです。

 在日ウクライナ人、ルディツキ・ヴィタリさん:「やるせない気持ちもそうだし、無力感だし、怒りだし、悲しみだし。そもそもロシアの一部になりたいという気持ちが昔からなかったんですけど、さらさら(その気持ちが)なくなって。こんな人殺しといて何が解放だと思ってる」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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