280万人が避難 隣国ポーランドは・・・大越キャスターが取材“国境の街”(2022年3月14日)

280万人が避難 隣国ポーランドは・・・大越キャスターが取材“国境の街”(2022年3月14日)

280万人が避難 隣国ポーランドは・・・大越キャスターが取材“国境の街”(2022年3月14日)

ウクライナから避難した人の数は、280万人を超えています。その約6割を受け入れているのが、ポーランドです。大越健介キャスターが国境の街を取材しました。

ウクライナ西部のリビウから80キロの国境の町・メディカには、ウクライナ全土から避難する人たちが絶え間なくやってきます。避難した人たちを何とか支えようと、ボランティアが支援物資を用意して待っています。
大越健介キャスター:「女性と子どもが圧倒的に多いです。成人の男性は、ほとんどがウクライナの国の決まりで、とどまらなければならないので、夫かあるいは父親か、男性をウクライナに残して逃げて来た人が多い」

ここへ来て、避難する人に変化が出ています。比較的安全といわれていた西部からの避難が増えています。
西部の街から避難のリリアさん:「ヤボリウ近くの町から来た」
女性が暮らすのは、13日未明にロシア軍の空爆を受けた基地近くの町。爆発音も聞こえたといいます。
西部の街から避難のリリアさん:「怖かった。覚悟はしていた。良くなると最後まで願っていたが、子どもが4人いるので、急いで準備をして、兄に車で国境まで送ってもらった」
夫は、もともとポーランドで働いていましたが、父親や兄をウクライナに残したままの避難です。

リビウ在住のウリァーナさん。両親は空爆のあったヤボリウで、今も暮らしています。
リビウから避難のウリァーナさん:「両親は、朝5~6時ごろ、窓からミサイルが飛んでくるのが見えたと」

この空爆で、女性は避難を決めました。ウクライナに夫を残し、ポーランドに住む姉のところに向かうそうです。
リビウから避難のウリァーナさん:「私たちはボランティアとして支援する側だった。軍の駐屯地で食事を作ったり、支援物資を集め、キエフやハリコフなどに送っていた。最後まで残っていたかったけど、子どもの安全を考えると怖くて」

列車で避難した人が到着するプシェミシル駅。避難してきた人たちは、ここから、さらに先、ポーランド国内や、ほかのヨーロッパ各国に向かいます。

ワシリーナさんたち家族が向かう先はチェコ。ただ、当てがあるわけではありません。
西部の街から避難のワシリーナさん:「親戚はいない。何となくチェコに決めた。とりあえず避難すると決めて、荷物を持って家を出た」

プシェミシル駅に着いた列車が折り返してウクライナに戻ります。
大越健介キャスター:「ウクライナに戻る列車に多くの人が列を作っている。この人たちは、戦下のウクライナになぜ戻るのか。家族を残しているからです。いろんな事情がありそうです」

ポーランドに出稼ぎに来ていた人が、故郷に戻るケースが少なくありません。
大越健介キャスター:「戻る理由は、何なのか」
ウクライナへ戻るバロージャさん:「家に子どもと家族がいる。故郷を守らないと」
ウクライナへ戻るロマンさん:「故郷が危険だから行かないと」

大越健介キャスター:「ポーランドに戻れなくなる心配はないのか」
ウクライナへ戻るバロージャさん:「ウクライナ人だから心配ない。昔から何も怖くない」

◆大越健介キャスターの報告です。

ここで取材をしていると、わからなくなることがあります。一体、何のために、ロシアのプーチン大統領がこの戦争を起こしたのだろうか。いろいろな避難民に話を聞きました。戦火に追われた人、親しい人を亡くした人、街を破壊された人。その人たちが、うそを言っているはずはありません。現実、280万人を超える人たちが避難をして来ているわけです。プーチン大統領が、いかに自分の行動を正当化して、世界にプロパガンダしたとしても、その言葉は無意味で、空疎のものだと、ここに来ると改めて強く感じます。

救いは、ボランティアやNGOなどたくさんの人たちが、避難民を助ける活動をしているということです。ここで支援活動をしているのはポーランドの人たちだけではなく、海外からも多くの人たちが支援にあたっています。その行為を“善意”という一言で片づけられるのかなと感じます。あるノルウェー人の男性は、このようなことを言っていました。「ガールフレンドがウクライナ人で、ウクライナにはたくさんの友人もいる。だから支援にあたっている。それが最初の動機だが、自分は、自分なりの戦い方で、武器を取らずに戦っている」と。その言葉が非常に印象的でした。

(Q.ヨーロッパの人々、特にポーランドの方々は隣国なので他人事ではないという思いの強さ、取材していてどうでしょうか)
プーチン大統領の戦争に対して、怒りと同時に、決して屈してはならないという思いを共有しているように思います。実は、ウクライナとポーランドは歴史的に共通する部分があります。第二次世界大戦では、共にナチスドイツから踏みにじられました。
そうした歴史を負っているからこそ、連帯をすることができるのだと思います。まるで、ソ連の復活を目論むようなプーチン大統領の行為に対しては、強い嫌悪感を持っています。

色々な思いが交錯するこの国境の街ですが、たくさんの避難民が生まれているのが現実です。ここで一時期の安らぎを得て、一日にも早く、ふるさとに帰ることができますように、強く願わずにいられません。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事