被災地に今季最強寒気…断水の中でも“懸命診療”スタッフも避難所から通勤【スーパーJチャンネル】(2024年1月16日)

被災地に今季最強寒気…断水の中でも“懸命診療”スタッフも避難所から通勤【スーパーJチャンネル】(2024年1月16日)

被災地に今季最強寒気…断水の中でも“懸命診療”スタッフも避難所から通勤【スーパーJチャンネル】(2024年1月16日)

 今季最も強い寒気の影響で、被災地では16日も厳しい寒さとなりました。

■被災地に“最強寒気”雪の下に亀裂

 被災地に吹き付ける風と雪。今季一番の寒気がピークを迎えました。寒さには慣れている北陸。ただ、今年は状況が違います。ただでさえ凍結した道路。雪が亀裂を覆います。

 これまでに確認された死者数は222人。そのうち災害関連死も日に日に増え、14人となっています。

■「避難所から通勤」懸命の診療

 断水のなか、治療を続ける医師がいました。穴水町で唯一の小児科専門医・丸岡さん。先週から午前中だけ診療を再開しました。

まるおかクリニック 丸岡達也院長
「スタッフ全員が被災者で、家庭片付け、避難所から通勤している人もいるので、なかなか一日中、病院を開けておくことができない」

 人手不足の他にも、通常の医療が提供できない理由はあります。

■断水でも診療再開「毎日給水所へ」

まるおかクリニック 丸岡達也院長
「1日の地震があって水が出なくて、きょうもこの状態で出ない。この水を使って、こんな感じで洗っている」
「(Q.くみに行くのもスタッフ?)そうです。新しい水を使いたいので毎日給水所に行って補給している」

 1日30人ほどの患者が訪れる診療所。医療現場から“被災地の現状”が見えてきました。

まるおかクリニック 丸岡達也院長
「家族は皆コロナなので検査してもしょうがないので、一応コロナの扱いにさせて下さい。症状軽いのでせき止めと、熱冷まし持っている?」

 この日、父に連れられてやってきた3歳の男の子。母親が16日朝、コロナ陽性となり受診しました。

まるおかクリニック 丸岡達也院長
「環境が悪く乾燥しているせいか、のどの痛み、せき、鼻の症状の人が一番多い」

 60代女性も発熱を訴えています。

住民(60代)
「1日から炊き出しをしていた。スタッフとして10日まで。体調を崩すまでずっと朝昼晩の炊き出しをしていた。まず体調を整えないと動けない」

■「薬が途切れないよう」懸命診療

 さらに、アレルギー症状の悪化を訴える人も増えています。中学生の男の子。アレルギー性鼻炎があり、薬が切れました。

男子中学生の母親
「ダンプカーが行き交ったりして空気が悪く鼻が詰まりやすくなり、いつもよりグズグズして鼻水が出たりする症状がある」

まるおかクリニック 丸岡達也院長
「風呂も入れないため、皮膚の症状、アトピー性皮膚炎、ぜんそくも多い。てんかんなどの人も。薬が途切れないようにしないと」

 幸い在庫があったため、無事、薬を手に入れることができました。

男子中学生の母親
「本当に心強くて、ここがあるから大丈夫という気持ちになるので頼もしい」

まるおかクリニック 丸岡達也院長
「医療が必要な方は必ずいるので、自分が動けること、出来ることはしたい。皆さんが復興で普通の生活に戻れるまで、できる限り医療の方では関わっていきたい」

■家電ズラリ…大量の「災害ごみ」

 被災した人たちは寒さに負けず、復興に向けた第一歩を踏み出しています。

 七尾市が開設した「災害ごみ」の集積場です。壊れた家財道具や家電が軽トラックに積まれて次々と持ち込まれています。可燃粗大ごみやリサイクル家電など、10種類が対象です。

 ビデオ内蔵型テレビです。長年自宅で使い、数々の思い出が詰まっているであろう品々が、うず高く積まれていきます。

 最低気温マイナス1.5℃と真冬の寒さのなか、87歳の男性が妻と2人でやってきました。

市内から来た人
「家の中が、ガチャガチャ」
「(Q.何を持ってきた?)家具。傷んだベッド」
「(Q.夫婦2人で?)若い人は消防に務めていて忙しい」

 復興への長い道のりは始まったばかりです。

七尾市 市民生活部環境課 和泉智之主幹
「何とか県内で一番早く設置した。全壊、半壊した人はまず家に入れないと思うので、生活再建のための片付けの人が今は来ていると思う」

■老舗旅館「地震が全部奪っていく」

 大きな看板を捨てにきた男性には複雑な思いが…。

さわだ旅館 澤田広一さん
「100年続いた商売も、もしかしたら終わるかなと寂しい気持ち。地震は急に全部奪っていくから」

 七尾市の能登島で、創業から134年の老舗旅館を営んでいました。ところが、館内の壁が至る所で崩落しています。海の幸が自慢だった宿。100年以上続いた歴史に幕を引くことも考えざるを得ないといいます。

さわだ旅館 澤田広一さん
「廃業する確率はほぼ高いが、それでも片付けないと。当時のまま、そのまま置いておくと1月1日のまま時間が止まってしまっている。僕自身も片付けることで気持ちが前向きになる」

■中学生250人 あすから集団避難

 生活の再建に向け、別々の道を歩むことを決断する家族もいます。輪島市では、市内の中学生401人のうち、およそ250人を対象とした集団避難が17日から始まります。

避難を決めた中学1年 穂華さん
「寂しくなりそう。2カ月って長いから。そんなに離れたことなかったから」

母親
「何も分からなすぎて心配。心配しかない。だから反対ですけど、娘の意思だけで送り出す感じ」

 輪島市からおよそ100キロ離れた白山市の宿泊施設に17日に移動し、初めて親と離れ離れの生活をします。

避難を決めた中学1年 穂華さん
「(Q.服は何日分持っていく?)え?これで何日分?3日分です。あっ、3週間分です」

 16日は出発前、最後の日。親子水入らずのひと時をかみ締めます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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