拡大する入植の歴史 パレスチナ自治区・ヨルダン川西岸地区【サンデーモーニング新春スペシャル】|TBS NEWS DIG

拡大する入植の歴史 パレスチナ自治区・ヨルダン川西岸地区【サンデーモーニング新春スペシャル】|TBS NEWS DIG

拡大する入植の歴史 パレスチナ自治区・ヨルダン川西岸地区【サンデーモーニング新春スペシャル】|TBS NEWS DIG

今年の特集は、世界を分断する“壁”に注目しました。まずはガザと並ぶもう一つのパレスチナ自治区、ヨルダン川西岸地区に築かれた壁です。

■憎しみ生む450kmの壁

新しい年を迎えても終わらない攻撃。ガザでの死者は2万人を超え、増え続けています。実に9割近い人々が、住む家を追われ、逃げ場を失う状況。

食料不足も極限に達し燃料も底をつく中、それでも、パレスチナ人はガザから逃げることができません。この地が、「天井のない監獄」と呼ばれている所以。イスラエルが建てた壁によって完全に封鎖されているのです。

今回のガザ攻撃が始まる以前の映像では、壁の向こう側から少年たちに向け、イスラエル兵が発砲しています。パレスチナでは、日常的に繰り返されてきた光景。

そもそも、今、起きている大規模な衝突の根底には、長年続くイスラエルによる苛烈な占領政策があります。その実態が見て取れるのが、「ヨルダン川西岸地区」。

ガザ地区よりも大きな、もう一つのパレスチナ自治区です。

「自治区」とは名ばかりの場所がほとんどで、占領軍であるイスラエル兵が至る所に配置されているのです。子どもたちの遊び場にも、銃を持った兵士が…

そして、「占領政策の象徴」とも言えるのが…

増尾聡記者
「イスラエルとの境界にはこのように高さ10メートル近くにもぶような壁がそびえ立っています」

イスラエルが「テロ防止」を名目に建設を進める壁。その長さは、完成しているだけでも450kmを超えます。

壁は「自治区」とされるパレスチナ側にも食い込む形。土地をイスラエル側に切り取られ、生活圏がズタズタに分断されているのです。

さらに、至る所に設置された検問所で、パレスチナ人の住民は、自治区の中ですら、自由に行き来することもできません。壁には、バンクシーが描いたとされる、パレスチナの人々の願いが…

パレスチナ人
「壁の向こう側に行ってみたい。緑豊かなグラウンドがあるんだ。前に住んでいた街に帰りたいよ」

パレスチナ人
「壁ができてから、子どもたちが遊べるのはこの道だけです。いつも監視塔から催涙弾で攻撃される可能性があるの」

半世紀以上にわたる過酷なイスラエルの占領体制。パレスチナ側の抵抗は、力で抑え込まれてきました。

パレスチナ人
「パレスチナの旗を高く掲げよ!」

2009年の映像には、イスラエルが建設した壁によって土地を切り取られた村の住民たちの抗議デモが映っています。

■土地を奪われる「占領」の日常

爆音弾で追い立てられ、容赦なく催涙弾が浴びせられます。イスラエル軍の圧倒的な力を前に、パレスチナの少年たちは石を投げることでしか、抵抗の意思を示すことができません。そして、占領体制の中で、さらに深刻な問題が…

石を投げこんでくるのはイスラエル人たち。パレスチナ人が石を投げ返そうとすると…

イスラエル兵が押さえつけ、顔にスプレーを噴射しています。

こうした抑圧を、今に至るまで受け続けるパレスチナの人々。その現場を訪ねました。

増尾聡記者
「ここはパレスチナの人たちが暮らしていたコミュニティです。けれども、今はこのように民家や様々あったお店も閉められていて、人が全くいない状況です。一方で、掲げられているのはイスラエルの国旗です」

ヨルダン川西岸地区の中でも、高台や、水の便に恵まれた住環境の良い地区などに、イスラエル人たちは次々と移り住んできました。これを「入植」と呼びます。

イスラエル人入植者の大きな住宅が、小さなパレスチナ人集落の上にそびえ立つ光景は、両者の力関係を象徴しています。

そして、パレスチナ人たちは今も、入植者からの絶え間ない暴力に苦しんでいます。この子どもたちは、1か月、父親の帰りを待っています。父親の身に何があったのでしょうか…

村に入って来た入植者。大きな銃を抱えています。あの子どもたちの父親が抗議すると、次の瞬間…  

パレスチナ人
「撃った! 入植者が撃った!」

入植者が、至近距離から発砲したのです。すぐ近くには、イスラエル兵の姿もあります。なんとか一命は取り留めたものの、重傷を負い入院。
子どもたちは帰りを待ちわびているのです。

パレスチナ人
「彼らは私たちを追い出し土地を手に入れたがっています。でも私たちはここを離れられません。他にどこに行けというのでしょう」

絶望感が広がるパレスチナに、かつて、希望の光が見えたこともありました。

■終わらないイスラエルの占領

30年前、イスラエルとパレスチナ双方が調印した、「オスロ合意」です。

占領下に置くガザ地区と西岸地区からイスラエル軍が撤退し、パレスチナの自治を認めることに合意。
将来的なパレスチナ国家樹立へ、道が開かれようとしたのです。

ところが、2年後には…。「オスロ合意」に調印したイスラエルのラビン首相が、これに反対するユダヤ教の過激派に暗殺される事態に。イスラエルでは、その後、右派政権が台頭し、占領地での一方的な入植を拡大させてきたのです。

そうした中、パレスチナ側で支持を集めていったのが、イスラエルに対する武装闘争を続ける「ハマス…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20240107-6131371)

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