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“高齢者危機”ドカ雪でバス運休 除雪作業員の人手不足「もうやりたくない」【羽鳥慎一モーニングショー】(2023年12月27日)
北海道留萌市では平年の3倍を超える積雪が10日間続き、高齢者をはじめ市民生活への影響が長期化しています。さらに、北海道全体の除雪作業員の人手不足も深刻となっています。
■バス運休…タクシー会社に電話殺到
26日も北海道留萌市は昼すぎから荒れた天気となりました。視界は悪く、前方はかすんで先が見えない状況になりました。
留萌市の中心部は、26日の最深積雪が1メートル6センチと平年の3倍以上に達しました。この異常な積雪が10日も続いています。
市民の足となるバスの運休が続くなど生活や交通への影響が長期化しています。バスの運休でタクシー会社の小鳩交通には、配車を求める電話が殺到しました。
オペレーター
「ちょっとお待ちくださいね」「小鳩交通です」
客
「乗れますか?」
オペレーター
「ちょっと今、空車がないですね」
朝から鳴りやまない予約の電話にオペレーター2人が対応に追われていました。道路状況が悪いため、普段より客を送り届けるのに時間がかかるといいます。
小鳩交通留萌営業所 工藤純業務課長補佐
「最大1時間待ちのお客様もいたんですけど、まわりきれていない状態ですね」
ドライバー不足の問題もあり、30台あるタクシーのうち、半分の15台ほどしか稼働できていない状況だといいます。
■「食べるものない」高齢者 徒歩で買い出し
記録的な大雪の影響を大きく受けているのが、高齢者です。勾配がある坂を必死に上ります。
地元の人
「タクシーなんて来ないよ。呼んでも1時間くらい待つみたい。重いです…。大変ですよ。ずっと坂道ばっかり」
高齢夫婦は、バスが運休し、タクシーもなかなか捕まらないため、歩いて買い物に出かけた帰りだといいます。
地元の人
「(Q.外出は何日ぶりくらいですか?)3日以上になるね。外出」「何も…食うものがなくなるんだもん。1週間以上になるのに、食べるものが何もないんだ」
「(Q.やっと坂上り終わりましたね)終わった。やっと終わった…。ハア…」
20日は視界を遮るほどの吹雪のなか、杖を片手に歩いて買い物に行く高齢者の姿もありました。
地元の人(85)
「食べるものが、なくなったものですから…」
「(Q.本当なら、出たくない?)出たくないです」
25日、上空から撮影した留萌の町は、辺り一面真っ白な雪で覆われています。道路脇や住宅前には雪の山ができ、町の至る所で懸命の除雪作業が行われていました。
■建物倒壊の危険性も…除雪作業が急務
26日午前6時半ごろ、1人で除雪作業に向かうのは、住宅の除雪を個人で請け負う角谷亨仙さん(58)です。
角谷さん
「みなさん困っているだろうなって」
依頼者の多くは、自力で除雪できない高齢者です。ドアの前には雪が高く積もり、通りには人の高さを優に超える雪の山が広がっています。
角谷さん
「ちょくちょくやってあげないと、すぐ埋まるので」
別の住宅に向かうと、あまりの雪の多さに急きょ、小型の重機を自宅に取りに行く場面もありました。
除雪を依頼した60代男性
「車が出せないくらいの雪が、除雪がまだ追い付かなくて」
除雪を依頼した60代の男性は「車庫の前には雪が積もり、車が出せなかった」といいます。
除雪を依頼した60代男性
「(Q.去年までは、雪かきはご自身で?)自分でやってました。僕が肩を痛くして、手術して。医者から『除雪とか重労働は今シーズンしたらダメだよ』って言われたの。困ったと思って」
肩の関節痛がひどくなり、4カ月前に手術したといいます。
除雪を依頼した60代男性
「(Q.雪かきはしんどい?)大変ですね。本当に重労働ですよ。家の前と車庫前と。それは大変でしたよ」
26日、角谷さんが除雪を行ったお宅は全部で4軒。すべて60代以上からの依頼でした。
角谷さん
「大手の皆さん(業者)に聞いてみたら、全部出払っているので。個人宅から頼まれても、とてもじゃないけど手が回らない。(一人で担えるのは)大体10軒くらいがギリギリかな」
平年の3倍を超える積雪で、影響が長期化している留萌市。複数の住宅の屋根には、今にも落ちてきそうな大量の雪が垂れ下がっている状態になっています。
注意が必要なのは倒壊です。おととし、山形県で建物が倒壊する瞬間を捉えた映像を見ると、崩れ落ちた屋根の上には、大量の雪が中心部から崩れ落ち、住宅は一瞬にしてがれきの山と化しました。
北海道深川市でも、外壁が道路の外側へめくれるように崩れ落ち、建物の中がむき出しの状態に。隣の建物の屋根に積もった雪が、一斉に崩れ落ちているのも確認できます。
大量の雪が屋根に積もると、建物が倒壊する可能性もあるため、除雪作業が急がれます。
■大粒の雪のなか…除雪作業に奮闘する企業
石狩市と札幌市で夏は塗装業、冬はおよそ500軒の住宅などで除排雪を行っている笠井建装を取材しました。
笠井建装 笠井政宏社長
「(Q.作業員が確保できていない?)そうですね…」
業界ではどこも人手不足に陥っていて、若い人材を確保するのが一番の課題だといいます。人手不足は半導体「ラピダス」の工場建設や、北海道新幹線の札幌延伸工事の影響もあり、建設作業員の需要が増えたことで除雪のための人員が不足しているといいます。
辺りが暗い午前1時すぎ、大粒の雪が降りしきるなか、除雪作業にあたります。
笠井社長
「(夜の)10時・11時くらいからスタートして、朝の6時半とか7時くらいまでに終わらせる。(朝7時を)過ぎてくると、通勤の車とかが多くなってくるので。自然相手ですので、労働時間が決めづらい。毎日、天気予報とにらめっこして、うちは自宅待機ですけども、大きい会社とかだったら事務所で待機している。出動なるかならないか不規則です」
笠井建装では、除雪作業が長時間にならないよう作業員を昼と夜に分けることで離職率低下につなげたい思いです。
笠井社長
「(Q.体力的にしんどいですか?)連日で続いたら、結構きついですね。大雪の時って3日・4日続くんですよ。『除雪1回やったことあるけど、もう二度と雪の仕事はしない』って大半はつらい思いをして、『もうやりたくない』って人は多いですよね」
■地域の協力も…福祉除雪の対象厳格化
石狩市では、高齢者の暮らしを直撃する、ある深刻な問題が起きています。
石狩市に50年在住・寺尾さん(80)
「元々、ボランティアの人がやってたのよ。(福祉除雪を)毎年頼むんだ。お願いしたら『今年はダメです』って」
石狩市では、高齢者などに低額で除雪を行う「福祉除雪」という制度があります。しかし、担い手不足により、今年から福祉除雪の対象が「70歳以上で介護要支援1以上の認定を受けている人」に厳格化されました。
寺尾さんは80歳ですが、基準から外れてしまい、今年から福祉除雪を受けられなくなったといいます。夫を6年前に亡くし、80歳で一人暮らし。3年前には階段でバランスを崩し、骨折したといいます。
寺尾さん
「手を折って、皆さんのお世話になって、3カ月も入院して。ここで。そしたら、手のひら、こっちに向いてたから。それ見て、気絶してね」
近所で助け合っているとはいいますが、安い費用で済む自治体の福祉除雪を受けられない影響は大きいといいます。
寺尾さん
「(Q.困りますよね?)もちろん。当たり前じゃないですか。年金が少ないから、すごいしんどいよ。どうやって暮らすんですか」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2023年12月27日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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