発明品コンテスト 並々ならぬ思いで…“夢のような3輪自転車”出品 審査員も驚愕【Jの追跡】【スーパーJチャンネル】(2023年12月20日)
一獲千金を目指し、全国から発明家たちが集結した「発明品コンテスト」。主婦が考えた“便利なエコバッグ”や、目からウロコの“スマートフォンのカバー”。中には“つまらない発明”も!?並々ならぬ思いで出品するシニア夫婦。発明したのは10年の歳月と80万円の費用を投じた“夢のような3輪自転車”。まさかの結末が待っていました。
■発明品コンテスト 出品者50人が集結
東京・新宿区にある「発明学会」で行われていたのは、1500点以上の発明品の中から優れた作品を選ぶ、年に一度のコンテスト。この日は50人の出品者が集まりました。
メーカーの開発担当者:「ヒット商品の原石を探しに来た。会社のメンバーだけで新しい物を考えても限界がある」
発明好きの来場者:「いっぱいあって迷っちゃいます。生活に便利なものを選びたい」
来場者やメーカーの担当者らによる投票で賞が決まるほか、優れた発明品には、メーカーから商品化のオファーがきます。めでたくヒット商品となれば、年間売上1億円も夢ではないのです。
発明家 佐藤光江さん(64):「(Q.目指すのは?)そうですね。アレ(高収入)ですね」
スーパーで働く主婦が考えたのは、紐を持つ場所を変えるだけで、縦と横、2通りの使い方ができる「2WAYエコバッグ」です。
手芸が得意な主婦が発明したのは、便利さとオシャレ感がウリというスマートフォンのカバー。スマホに付けたストラップの上から…。
発明家 中島リエさん(52):「このようにはめるだけで、おしゃれに持ち歩くことができる。使う時は下から取り出して電話をする」
そのほか、見た目が悪いコードの束をスッキリとまとめられる「ファスナー式コード束ね」に、頑固な汚れを落とすべく発明したという「洗濯板」もあります。
発明家 佐藤亜里さん(62):「ピンポイントでここが汚かったら爪を当ててグーっとやる」
そして、こちらは「つまらない発明」!?一体これは?
出品したのは発明歴45年の吉村善四郎さん(78)です。
吉村さん:「普通はこういう状態で流し(シンク)に入れますよね、そうすると流すものによっては目詰まりして流れなくなる。それを何とかしようと作った」
排水溝の受け皿の上に、発明した突起物を置いてネットをかぶせるだけで、排水溝の詰まりを軽減できるという優れものです。
■10年の歳月と開発費80万円 シニア夫婦が開発
そして今回、一獲千金の登竜門とも言えるコンテストに夫婦の夢をかけて挑戦した、小林さん夫妻。開発費は80万円。そこには、並々ならぬ思いがありました。
発明歴20年 小林克子さん(79):「(自転車で)転んで頭を打って亡くなってしまった知り合いが2人いる。倒れない自転車作りを目指して(夫と)頑張りました」
小林隆さん(83):「(妻から)こうしてほしい、ああしてほしいと注文もありましたから、それに応えようと思って」
運転免許証を返納したシニアが、安心して買い物に行ける自転車を作るという、妻・克子さんの夢をかなえるべく、夫の隆さんが一念発起しました。
大手電機メーカーの製造部門に勤務していた経験と知識を生かし、設計や組み立てを担当。高い精度と強度が必要な部品の製造は、近所の町工場に足を運び、社長に頼み込んだといいます。
川地鉄工 川地善太代表:「図面を見させていただいて、どんなものができるのか興味があった」
80万円の開発費用を年金や蓄えから捻出し、10年かけて作り上げたのが、市販の電動2輪自転車を3輪車に改造した、その名も「倒れない自転車」です。
足を付かなくても停止した状態が保てるので、急停止した時でも、転ぶ心配がありません。
さらに、ハンドルを切るにしたがって、車体が曲がりたい方向へと傾く機能を備えたことで、2輪車に近い感覚のまま、安定した小回りを実現したのです。
隆さん:「曲がる時に車体を倒すことによってカーブを曲がりやすく」
水や米など重い物を積んでも、フラフラしません。
克子さん:「シニアに喜んで乗っていただきたい、だからメーカーさんがついてくれたらいいな」
自転車の商品化という悲願を果たすべくコンテストに挑んだ小林さん夫妻でしたが、優勝して商品化への切符を手にしたのは、あの「つまらない発明ですが…」でした。小林さんの3輪自転車は4番目の賞に選ばれましたが、商品化には至りませんでした。
■商品化に向け再挑戦 審査員「すごい」
しかし、克子さんは商品化の夢を諦めきれず再チャレンジします。
望みをかけたのは、毎月開催されている、発明品のミニコンテスト。生活用品や衣類、自動車部品などを製造するメーカーの担当者が発明品を審査し、優れていると判断されれば、商品化契約につながる可能性があるのです。
今回エントリーしたのは、10人の発明家。そこには、強力なライバルの存在がいました。
発明家 鷲森兼さん(55):「これ楽しいねと思ってもらえるような。そしてオンリーワンである」
拳道(テコンド-)の選手としても活躍する発明家の鷲森さん。共に厳しい稽古に励む仲間に楽しんでもらおうと発明したのが、板を割るとお祝いの言葉が現れるという、その名も「おめで板(たい)」です。祝い事の席で、鏡割りのように割って楽しめる、なんともユニークな発明品です。
コンテストの会場でも、審査員のウケは上々の様子です。
一方、小林さん夫婦の3輪自転車は…。
カツマタデザイン 勝俣貞治代表:「『すごいな』の一言ですね。よくあそこまで作り上げたなと」
三陽プレシジョン 小島裕司代表:「あれだけのものを作っちゃって、どういう夫婦なのかなと」
■投票されるも…コスト削減に難あり
そして迎えた審査結果の発表。審査員が手にするボードに、エントリー番号と黄色の札がつけば、商品化への道が開かれます。克子さん、隆さん、悲願達成となるのでしょうか…?
司会:「お出しください!」
5人のうち2人が克子さんに投票しましたが、「商品化」の札が付かない、まさかの結果となりました。
勝俣代表:「(商品化は)ちょっとハードルが高いですね」
小島代表:「量産して(価格を)安くするというのは大変」
昭和ワールドコーポレーション 遠藤伸一代表:「金型のパーツが結構(コストが)かかる。商品化には相当な金額がかかる」
大量生産で安く販売しようにも部品のコストを下げることが難しいという判断になりました。
克子さん:「年齢のことを考えた場合(商品化できず)自分で乗る自転車になってしまうかもしれませんが。諦めたくないっていう気持ちが湧いてきますから、どこかの企業に売り込みしたい」
■シンプル発明で優勝…「シノッチのリュック」商品化へ
審査員と来場者による投票の結果、今回優勝を手にしたのは、発明歴わずか2年の篠崎禎男さん(79)でした。
発明した「シノッチのリュック」には、商品化につながる大きなヒントがありました。
背負ったリュックから財布を取り出す際、いったん肩から外して取り出さなくてはならないのですが…。
篠崎さん:「これを外すと、ショルダーバッグのように」
リュックをいちいち肩から下ろさなくても楽に中身が取り出せる優れもの。ベルトのバックルを1つ外すだけというシンプルな発明が、今回来場できなかった企業から評価され、すでに商品化が進められています。
篠崎さん:「簡単な物で人が愉快になれるものを作りたい」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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