【報ステ解説】石井一久「非常にクレバー」異例“オプトアウト”に込めた大谷の覚悟【報道ステーション】(2023年12月15日)

【報ステ解説】石井一久「非常にクレバー」異例“オプトアウト”に込めた大谷の覚悟【報道ステーション】(2023年12月15日)

【報ステ解説】石井一久「非常にクレバー」異例“オプトアウト”に込めた大谷の覚悟【報道ステーション】(2023年12月15日)

大谷翔平選手は日本時間15日朝、ロサンゼルス・ドジャースへの入団会見を行いました。

大谷選手と同じ背番号17をつけてドジャースでプレーし、楽天イーグルスでゼネラルマネージャーや監督を歴任、現在はシニアディレクターを努めている、石井一久さんに聞きます。

◆「優勝が最優先」入団の決め手

(Q.ドジャースを選んだ理由について、大谷選手は勝利・優勝を挙げていました。会見をどうみましたか)

石井さん:「会見のなかでも、勝利へのこだわり・志がすごく感じられました。大谷選手の言葉にもありましたが、次のチャプターは『打つ』『投げる』の二刀流ではなく『ワールドチャンピオン』に移行していると思います」

(Q.メジャー人生のなかで、大谷選手は今、新しいステージに移りつつあるということですか)

石井さん:「MVPを2回取るなど、これまでの6年間で、ある程度、自分のやりたいこと・表現ができていました。あとは、自分の目標より、チームの目標として、ワールドチャンピオンリングをとる、世界一になるという目標が、会見で伝わってきました」

(Q.二刀流への意識も変わってきているのでしょうか)

石井さん:「アメリカのファンにとっても、二刀流が普通になってきてます。あとは、自分のためというよりはチームのため、世界一のチャンスをつかみたいという気持ちがあったからこそ、ドジャースへの移籍を決めたのだと思います」

石井さん:「もう一つ、この会見で気付いたのですが、通訳の水原一平さんとの同志な関係がすごく良かったです」

大谷選手:「ドジャースが経験してきた、この10年間を、彼らは全く成功だとは思っていないということはおっしゃられた。それだけ勝ちたいという意思が、皆強いんだなというのは、心に残ったかなと思います」

水原さん(英訳):「この10年間を振り返って、毎年プレーオフに進出しているにもかかわらず、ワールドシリーズで勝利したのは1回だけで、彼らはそれを失敗だと考えている。それを聞いた時、彼らが勝利にこだわっていると感じた」

石井さん:「大谷選手の言葉を直訳すると、メディアに変に取られる感じがありました。通訳がちゃんとしないと、選手も一心同体に見られます。水原さんは6年間、大谷選手と時間を共有してきた仲間だからこそ、ちゃんと変換できた言葉だと思います」

(Q.ワールドシリーズ制覇という目標は、どの選手もいう言葉ですが、大谷選手の場合は、自分の手でつかみ取りたいという熱意が伝わってきましたね)

石井さん:「大谷選手の目標というか設定が、他の人と違うのは、近くのターゲットを達成しつつ、常に遠くまで持っているところです。大谷選手は“メジャーリーグに挑戦したい”“ワールドチャンピオンになりたい”と最初から思っていました。普通の感覚だと、高校生・中学生の頃は“プロになりたい”が夢じゃないですか。大谷選手は、その頃から目標設定を持っているからこそ、色んなことを成功させてきたのではないでしょうか」

◆“優勝”へ…球団に求めた本気度

(Q.石井さんも20年前、ドジャースでプレーしていました。ドジャースは大谷選手が望む優勝ができそうですか)

石井さん:「強力なスタッフもいますし、大谷選手が言ったように、オーナーと球団本部長がビジョンを明確にしたことで『一緒にやろう』と。お互いにしっかり共有できた、良い時間があっての成立だったと思います」

(Q.数ある球団のなかでも、ドジャースは一味違う存在ですか)

石井さん:「140年くらいの歴史がありますし、ファンは温かくもありますが、厳しいブーイングもあります。名門ならではのファンの目があります」

(Q.名門というと、東海岸ではニューヨーク・ヤンキースがあります。そこと匹敵する感じですが)

石井さん:「西のドジャース・東のヤンキースと言われ、ワールドシリーズでドジャースとヤンキースが戦うことになった時は、アメリカの野球ファンは本当に熱狂するでしょう」

(Q.石井さんがドジャースに在籍していた時も、周りの熱量を感じていましたか)

石井さん:「感じましたね。あえてヤンキースとドジャースの試合がなかったこともありました。そこまで夢のカードは、なるべく取っておきたいという、メジャーリーグの思いがあったと思います」

(Q.大谷選手は会見で、9月に手術した右ひじについて「思ったより早く回復している」とも話していました。同じ投手としてどうみましたか)

石井さん:「僕も開幕までには間に合うと思います。術式は違うとはいえ同じ箇所の手術なので、大谷選手が経験として“これ以上やったらケガになる”“ここまでは大丈夫”というブレーキとアクセルを、自分で踏めると思います」

(Q.『プラン通りに進めば、来年9月には実戦形式で投げられる』という担当医の話も報じられています。どう感じましたか)

石井さん:「投げたら投げたで『早まるな』と言われるし、遅かったら遅かったで『遅い』と言われると思います。担当医は有名なドクターなので、色んな根拠があって言っているのだと思います」

◆オプトアウトに込めた“覚悟”

今回の契約には、大谷選手の勝利への強い意志が現れる、異例の内容が入っています。それが『オプトアウト』。自身のコンディションや環境の変化で、選手自ら契約を破棄できる権利です。

大谷選手は10年契約の中で、球団オーナーのウォルター氏、編成本部長のフリードマン氏のいずれかが退いた場合、大谷選手側から契約を解除できる契約にしました。

(Q.一選手が、球団オーナーと編成責任者に一蓮托生の契約を交わしたことは、異例ですか)

石井さん:「異例ですが、大谷選手のワールドシリーズ制覇という考えをまとめると、非常にクレバーだと思います。オーナーと編成本部長が変わってしまうと、チームのプランが崩れてしまうので、大谷選手が共感した、ドジャースのプランと変わってしまいます。2人と話したプランを実行していきたいという気持ちの現れだったと思います」

(Q.メジャーでは、オーナーやフロントの幹部の意向が、チーム作りや戦略に大きくものをいいますか)

石井さん:「監督の仕事は、ブランドの選手たちを表現させることですが、その上のオーナーや本部長は、球団自体、チーム作りをブランドに落とし込むことが仕事です。彼らの言っていることに共感したからこそ、一緒にやりたいという気持ちになったのだと思います」

(Q.GM経験者として、選手から、こういう条件をつきつけられたら、どうですか)

石井さん:「身が引き締まります。僕もそういう考えをしていますが、選手からはっきりと明確に言われたら、もう一度しっかりチームをプランニングしていこうと。大谷選手がチームを引き締めたとも言えます。やっぱり『さあ行くぞ』という気持ちになりますよね」

(Q.石井さんが在籍していた当時と、今のドジャースはどう違いますか)

石井さん:「僕がいた頃は、ちょっとふらふらしていた感じがありました。球団のオーナーもドジャースを持っているということが名誉な感じ。今は名門復活へ、皆が同じ方向を向いている感じがします。大谷選手の会見を聞いていても、この10年で良いことがあったのに、成功じゃないと思っていると。その向上心があれば、まだまだ上に行けると思います」

(Q.大谷選手が入ったドジャースは、ワールドシリーズ制覇できますか)

石井さん:「僕はいけると思います。大谷選手みたいな、チームを引っ張って行ける選手は、各球団に絶対必要なので、絶対いけると思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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