「追い出されるかも」現役副大臣が語る『裏金の実態』“安倍派”交代で揺らぐ岸田政権(2023年12月13日)

「追い出されるかも」現役副大臣が語る『裏金の実態』“安倍派”交代で揺らぐ岸田政権(2023年12月13日)

「追い出されるかも」現役副大臣が語る『裏金の実態』“安倍派”交代で揺らぐ岸田政権(2023年12月13日)

政治資金の問題をめぐり、岸田総理は「信頼回復のために、火の玉になって取り組む」と決意を示しましたが、具体策は語られないままでした。14日に、閣僚人事の刷新を行うとしているものの、崖っぷちの状況は変わりそうにありません。

■「裏金議員の一掃を」内閣不信任案

立憲民主党 泉代表:「この際、私たちは政界から裏金議員を一掃せねばなりません。総理、自民党が、そして派閥が前代未聞の一大不祥事を起こしたという自覚が欠けているのではないでしょうか。この危機意識の乏しさ、危機管理能力のなさは致命的ではないでしょうか」

13日に提出された内閣不信任案は、与党の反対多数で否決されましたが、野党全会派が一致して賛成にまわるのは、自民党が政権に復帰してから初めてのことです。

立憲民主党 泉代表:「どうか、政治家としての最後の誇り、良心、矜持(ぎょうじ)をもっているならば、保身と隠蔽(いんぺい)、言い訳に走らず、役職だけではなく、自ら議員辞職をなされてはいかがでしょうか」

■現役副大臣が語る“裏金の実態”

政治家としての矜持を問う、異例の呼び掛け。とうとう、口を開いた人もいます。安倍派に所属する当選4回の宮澤博行防衛副大臣は、キックバックがあったことを認めました。

安倍派 宮澤防衛副大臣:「ここに至った限りにおいては、もうしゃべるしかない。(Q.(キックバックの不記載は)大体いくらぐらいか)はっきり申し上げます。3年間で140万円です。派閥の方から、収支報告書に記載しなくてよいと指示はございました。(Q.なぜ収支報告書に記載しなくてよいと説明があったか理由は)まったく私は分かりません。そういうものなのかなというふうにしか思わなかったですね。(Q.他の安倍派の議員は、このことを認識しているか)多くの仲間も、早く説明して潔白を証明したいと思っていると推測する。(派閥から)しゃべるな、しゃべるなって。これですよ。(Q.しゃべるなというのは誰から)派閥の方からです。ここまで私がしゃべってしまったら、もう派閥から追い出されるかもしれませんけど、指示はありました」

収支報告書への不記載が派閥からの指示だったこと、そして、箝口令(かんこうれい)が敷かれていることを明かしました。池田佳隆衆議院議員も、派閥からの収入約3200万円を政治資金収支報告書に記載していなかったことを初めて認めました。

一方、口を閉ざし続ける人も…。

安倍派 三ツ林裕巳衆院議員:「(Q.裏金は受け取っていた)精査中です」

安倍派 大野泰正参院議員:「今後、適切な時期に説明責任を果たして参ります。(Q.適切な時期というのは)それはまだこれから」

■岸田総理「火の玉となって」

裏金疑惑が広がり続けるなか、岸田総理は13日に会見を行いました。

岸田総理:「現在のこの状況。政治の安定なくして政策の推進もない。改めて強く感じています。現在の政治資金をめぐる様々な課題に、正面から取り組んで参ります。国民の信頼回復のために“火の玉”となって自民党の先頭に立ち、取り組んで参ります」

「自ら先頭に立つ」と強調した岸田総理ですが、問題の発覚直後は静観していました。

岸田総理(先月20日):「それぞれの政治団体において対応されている」

事態が深刻化していくなかで打ち出したのは…。

岸田総理(6日):「パーティーの開催を自粛する」

疑惑の解明とは無関係な対応を連発。この間、閣僚らは…。

安倍派 松野官房長官:「差し控えたい」
安倍派 西村経済産業大臣:「説明は差し控えたい」
安倍派 鈴木総務大臣:「お答えは差し控えたい」
安倍派 宮下農林水産大臣:「お答えすることは差し控えたい」

そして13日…。

岸田総理:「政治改革を求める国民の皆さんの厳しい声。その声に真摯に耳を傾けて、党所属の議員と、ひざ詰めの議論を集中的に進めていきます」

決意が示されましたが、再発防止の具体策は語られませんでした。人事については…。

岸田総理:「14日、速やかに人事を行うことが適切であると判断いたしました。(Q.総理は新たな大臣と党役員に安倍派の議員は登用しない考えか)14日に人事を行いたいと思いますが、その内容については今現在、調整を続けています」

明言は避けましたが、岸田総理は14日、安倍派の大臣4人と副大臣5人を交代させる方針です。松野官房長官の後任には、岸田派の林芳正前外務大臣。鈴木総務大臣の後任には、麻生派の松本剛明前総務大臣。宮下農水大臣の後任には、森山派の坂本哲志元地方創生担当大臣。西村経産大臣の後任には、無派閥の斎藤健前法務大臣をあてる方針を固めました。

■“反発”受け 総理が一転配慮

この人事をめぐっては、当初、政務官を含む“安倍派15人の一掃”を狙っていましたが、安倍派幹部から公然と不満の声が上がっていました。

安倍派 世耕参院幹事長:「清和政策研究会所属だから交代させるという話にはなってないのではないか」

結局、安倍派に配慮し、政務官6人の辞任については自主判断に委ねる考えです。

「出処進退については自分で決めたい」と語っていた萩生田政調会長。予算編成に関する作業を終えるまで続投するとみられていましたが、14日に辞表を提出する考えです。高木国対委員長も…。

高木国対委員長:「国会対策委員長を辞する意思を固めました」

自民党閣僚経験者:「萩生田さんが予算編成の前に辞表を出すというのは、岸田さんに反旗を翻したということなんだろう。辞表をたたきつけて、やれるもんならやってみろよと」

■清和会“栄枯盛衰”の歴史

1979年、福田赳夫元総理が立ち上げた派閥『清和会』。「政清人和(清廉な政治は、人民を穏やかにする)」という言葉が、由来です。森元総理などが率いてきた清和会が頭角を現したのは、2000年代初頭でした。

小泉純一郎氏:「私の方から自民党をぶち壊しますから」「私の内閣の方針に反対する勢力は、すべて抵抗勢力です」

“劇場型政治”で支持を得た、小泉純一郎氏。この人も、清和会の会長経験者です。郵政選挙を経て、第1派閥に躍り出た清和会は、総理総裁が4人続くなど栄華を極め、自民党が下野しても、覇権を握り続けます。政権に返り咲いた後も…。

安倍総理(当時):「こんな人たちに、私たちは負けるわけにはいかない」

“モリカケ問題”や“桜を見る会”など、数々の疑惑を抱えながらも、憲政史上最長の在任日数を記録。“安倍一強”という言葉も生まれました。岸田内閣の発足以降も、その影響力を残した清和会。しかし、安倍氏亡き後、大所帯を率いる会長の座は今も空いたまま。そこで明るみに出た、裏金疑惑です。

清和会元会長 森元総理:「数を一番誇ってはいけないということ。『これだけ数があったら何でもできる』と思ったところから、崩壊が始まる」

■国会閉会を受け…議員聴取か

党内最大派閥を“排除”することで立て直しを図ろうとする岸田総理ですが…。

自民党関係者:「岸田派の求心力はさらに弱まるだろう。『岸田派で勝手にやれば』『うちは泥船には乗らないよ』という雰囲気になる」

さらに、岸田派にも新たに、政治資金パーティー収入の不記載疑惑が浮上するなど、足元が揺らいでいます。

立憲民主党 泉代表:「(Q.14日に人事の交代を検討しているが)果たして本当に、裏金に関与していない人物を選べるのか。そこがまず、私たちからすれば組閣不能な状況ではないか。もう組閣ができない状況であれば、総辞職をしていただく」

日本維新の会 馬場代表:「本当に自民党、反省しているのかなと感じた。本当に今、自分たちがどういう状況に置かれているのか、よく分かっているのかなと大きな疑問を感じたところ」

特捜部は、臨時国会の閉幕を受けて、裏金が疑われる議員側への聴取も視野に、調べを進めるとみられています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事