国連『非難決議』141カ国賛成 プーチン大統領を止めるには?専門家に聞く(2022年3月3日)
国連総会の緊急特別会合で、ロシア軍のウクライナ侵攻に対する非難決議が圧倒的な賛成多数で採択されました。
ドイツ、ベアボック外相:「数日前、キエフの地下鉄の駅で女の子の赤ちゃんが生まれました。爆弾やロケット弾、戦車から避難を余儀なくされ、今も恐怖の中で暮らしています。この戦争はウクライナや欧州だけでなく、我々すべての問題です」
アメリカ、トーマスグリーンフィールド国連大使:「この戦争を選んだのはただ1人、プーチン大統領だけです」
大国ばかりではありません、小さな国も危機感を強めます。
ジブチ、ドゥアレ国連大使:「危機に対する国連安保理の決断力のなさが嘆かわしい」
ミャンマー、チョーモートゥン国連大使:「ミャンマーはウクライナ国民の苦しみを誰よりも理解し、共感しています。賛成票を投じます。世界中で正義・自由・平和を実現させるために」
今回の決議、96もの共同提案国が連なるのも異例のことです。一方で、ロシアに近い国からは反発も。
キューバ、クエスタ国連大使:「長年、アメリカとNATO(北大西洋条約機構)がロシアの要求を無視してきたのが間違いだ」
「棄権」を投じた国は35カ国ありました。
インド、ティルムルティ国連大使:「我々は『争いを解決できるのは対話と外交のみ』という信念を貫く。すべての加盟国が国連憲章と国際法を守り、国家の主権と領土の一体性を尊重するよう求めます」
中国、張軍国連大使:「ウクライナ危機の解決には、冷戦時の考え方を捨て、軍拡によって地域の安全を求めるのをやめるべきだ」
◆防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんに聞きます。
(Q.ロシア軍の即時撤退を求める決議で棄権した国をどうみますか)
投票結果は、軍事侵攻した後のロシアがどの程度、国際社会で孤立しているのかを現していると思います。大多数が賛成しましたが、棄権した35カ国は、中国などのロシアの友好国のほか、カザフスタンなど旧ソ連地域の中でもロシアに軍事依存している国、ベネズエラやキューバ、中南米、アフリカなどでロシアと一定程度、政治的・経済的に関係がある国です。
(Q.インドはなぜ棄権に回ったのでしょうか)
インドとロシアは伝統的に事を構えたことが全くなく、お互いに友好的な存在です。インドも旧ソ連製の兵器を輸入していますし、伝統的な信頼関係があるので、今回は棄権に回ったんだと思います。
(Q.歴史的に見ると、ロシアとインドはお互いに中国と仲良くなかったところがありますね)
上海協力機構という中国とロシア、中央アジアが加盟している国際組織がありますが、ロシアはインドを入れたがる、逆に中国はパキスタンを入れたがります。インドとパキスタンという対立した2カ国が同時に上海協力機構に加盟する事態もありました。ロシアとしても対中国をにらんだ形で、インドを抱き込んで、中ロ関係でロシア側の有利を獲得しようという点でも、インドの存在はロシアにとって極めて重要です。
(Q.同じく棄権した中国をどう分析しますか)
中国とロシアの関係は、表面的には協調しているように見えますが、実際は“仮面夫婦”というか、相互の不信感があります。現在は、お互い反米で強く結束しているところがあります。ただ、現在のウクライナ侵攻に関して、中国が支持できるかというと難しいです。ロシアとしても、中国が今後、仲介役として入ってくることを好ましく思っていません。ウクライナや旧ソ連地域をめぐって、お互い縄張り争いをしている側面もあるので、ウクライナの問題について、ロシアも中国もお互いを巻き込んで進めることは望んでいないと思います。
(Q.ロシアの国内世論によって、プーチン政権が崩壊することはあり得ますか)
その可能性はあると思います。国際社会ができることは経済支援や人道支援ですが、もう一つ、国際世論とロシアの世論が連携することによって、プーチン大統領の軍事侵攻を思いとどまらせる。そのためには、我々の声をロシア国内に伝えたうえで、ロシアの中から声を上げて、プーチン大統領の動きを封じていく。これは有効な手だと思います。
ただ、現在もロシア国内で反戦デモや反プーチンの動きはありますが、現時点ではプーチン政権を脅かすものにはなっていません。もっと声を上げて、ロシア国内を通じてプーチン大統領に語り掛けていく必要があると思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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