紅葉も落ちれば…東京の山に潜む危険 150m滑落死亡事故も 山岳救助隊に密着 クマも【もっと知りたい!】(2023年11月29日)

紅葉も落ちれば…東京の山に潜む危険 150m滑落死亡事故も 山岳救助隊に密着 クマも【もっと知りたい!】(2023年11月29日)

紅葉も落ちれば…東京の山に潜む危険 150m滑落死亡事故も 山岳救助隊に密着 クマも【もっと知りたい!】(2023年11月29日)

 紅葉が見頃となった東京・奥多摩では、クマの目撃やけがなど、登山客からのSOSが相次いでいます。死亡事故に至るケースもある“秋山のリアル”をカメラは捉えました。

■東京にもクマ…150件に迫るハイペースで目撃

 青梅署 山岳救助隊 市川健巳巡査部長(44):「登山計画書、最後のチャンスです!ここで書いていってください!」「日没も早くなっているので、気をつけて行ってきてください」

 安全登山の呼び掛けを行っているのは、「駐在勤務」と「山岳救助隊」という二足のわらじを履く、青梅署 山岳救助隊 市川巡査部長です。

 山に向かう人々が気にしているのは、クマの目撃情報です。

 登山者:「クマは?」

 市川巡査部長:「クマはいると思います。山なので」

 今年度のクマ出没マップを見ると、東京でも、すでに150件に迫るハイペースで目撃されています。

 道に迷い、山岳救助隊に110番通報した男性も、クマに出くわしていました。

 男性:「クマ…クマが見えた」

 市川巡査部長:「写真は撮った?」

 これがその写真です。クマは男性に気づかず、通り過ぎて行ったといいます。

 この時期、野生動物との遭遇だけでなく、秋山ならではの遭難にも注意が必要です。

■美しい紅葉も…枯れて落ちれば“トラブル”の元に

 警視庁・山岳救助隊が向かったのは、通報があった東京都と埼玉県の境界に位置する棒ノ折山。雑木林の紅葉が人気の山です。

 市川巡査部長:「いました!発見です!」

 けがをしたのは、40代の男性。下山中の事故を目撃した女性たちが、110番通報しました。

 目撃者:「2回転くらいグルグルッと回っちゃって。結構スピード出して下りてきたので、滑っちゃったんですよ」

 応急処置をしたのも、事故の目撃者たちでした。

 市川巡査部長:「止血の処置は?」

 目撃者:「タオルで巻いただけです」

 男性は、足を滑らせて転倒したとみられ、頭からタオルを赤く染めるほどの出血。市川さんが、患部を圧迫して止血しました。

 男性:「こっちは、肉がえぐれちゃってる」

 市川巡査部長:「ひじのあたり?手、グーパーはできる?できますね。反対もオッケーですよね。感覚ありますよね」

 男性の持ち物は、ほぼ携帯電話と飲み物だけ。体を温めるアルミシートや防寒着、止血のタオルもすべて、通りすがりの登山者が提供してくれたものでした。

 目撃者:「お大事に!」

 男性:「(救助隊の)お世話になる日が来るとはなあ」

 男性がけがをした場所は、以前から転倒事故が多い場所。原因の一つにあるのが、秋を彩る、紅葉です。

 美しい紅葉も、枯れて地面に落ちればトラブルの元になります。

 登山客:「湿っている落ち葉は、すごく滑りやすい」

 滑りやすい「濡れた落ち葉」は、特に注意が必要です。

 さらに、落ち葉が登山道を覆い隠し、道に迷うこともあれば、隠れた石や木の根につまずき転倒する事故など、落ち葉が原因の遭難は秋から冬にかけ最も多くなります。

 登山客:「枯れ葉の下の石が、全然見えませんもの」「落ち葉の下に石が埋まっていて、かくっと足首をひねったり」

■登山道から…150メートル下に男性

 市川巡査部長:「ライトや防寒着は持ってる?」

 警視庁・山岳救助隊にとって、秋は一日も気の休まる暇はありません。死亡事故も起こっています。

 家族からの捜索願:「夫が山へ行ったきり、帰ってこない」

 この日、家族からの届け出を受け、10人規模の隊を編成した山岳救助隊。3班に分かれて捜索が始まりました。

 現場は、奥多摩屈指の知名度を誇る川乗山。沢沿いのコースは滑落事故の多さでも知られています。

 沢筋に目を光らせる隊員たち。

 隊員:「滑落しているときは、何かしら持ち物が点々とする。“ずり痕”がある」

 捜索を初めて2時間後。市川巡査部長の班から無線連絡が入りました。

 隊員:「矢部です。どうぞ」

 市川巡査部長:「本人と思われる帽子等が見つかりました。緑色のジャンパーのようなものが見えます。本人に間違いないと思います」

 行方不明の男性を見つけた、との急報でした。

 青梅署 山岳救助隊 矢部大樹警部:「我々の班は、車に戻ってタンカを準備して向かう」
 
 現場は、登山道から離れた、急斜面の危険地帯です。

 市川巡査部長:「3年くらい前の道迷いは、ここにいたんですよ。だから、ここ見たいなと」

 市川巡査部長が過去の遭難事例を思い出し、ここを探したところ、男性を発見しました。

 市川巡査部長:「いましたよ」

 男性は、登山道の高さからおよそ150メートル下で発見。滑落したとみられる斜面には、男性の持ち物が散乱していました。

 隊員:「携帯発見!」

 市川巡査部長:「消防があと来てくれればなあ」

 あとは、助っ人の到着を待つしかありません。

 奥多摩消防署の隊員も駆け付け、救助活動に合流。

 隊員:「ロープ引け、引け、引け」

 ヘリコプターで、男性を人力で、引き上げられるポイントまで移動させます。

 警察・消防30人以上が関わった救助作業は、日没までに終了しました。

 男性(70代)は、病院に搬送された後、死亡が確認されました。

 市川巡査部長:「生存での発見、救助が一番なんですけど、それがかなわなかったとしても、どんな形であれ、見つけてあげたい。ご家族のもとに帰してあげたいという気持ちで、捜索しています」

 秋山シーズン真っ盛り。東京の山を、きょうも警視庁・山岳救助隊が守っています。

(「グッド!モーニング」2023年11月29日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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