「マルイ溝口」5階7階8階で同時放火か 犯行容易な場所選んだ可能性浮上(2023年11月23日)

「マルイ溝口」5階7階8階で同時放火か 犯行容易な場所選んだ可能性浮上(2023年11月23日)

「マルイ溝口」5階7階8階で同時放火か 犯行容易な場所選んだ可能性浮上(2023年11月23日)

 22日夜、川崎市にある商業施設「マルイファミリー溝口」で5階、7階、8階の3つのフロアで同時多発的に出火しました。放火とみられるこの事件、容易に火を付けられて逃げやすい場所を選んだ可能性が浮上しました。

■「皆さん避難して」情報錯綜

 人目のある営業中の商業施設で同時多発的に起こった火災。一夜明けて分かってきたことがあります。

 午後6時ごろ、川崎市のマルイファミリー溝口で8階と7階、そして5階のフロアで連続して火が出て商品が焼けました。警察は放火事件とみて、防犯カメラの分析や店舗への聞き込みを進めています。

 従業員:「先ほど火災が発生しました。現在、鎮火はしておりますが、本日のお客様のご来店をお断りさせていただいております」

 施設内にいた客:「中でお買い物をして、ご飯食べようと思ったら、放送で『7階で火災が発生しました。皆さん避難して下さい』と言われた」

 火災直後、客は全員、外に避難誘導されて営業を終了。商業施設の入り口は客と従業員であふれ返りました。

 施設内でアルバイトする人:「バラバラのフロアで結構(火災が)あったみたいな話が放送で入ったので、放火だったのかなという話でした」

 複数の階で同時に火災が起きたことで情報が錯綜(さくそう)しました。

 買い物していた客(6階):「従業員の方も不思議になったみたいで、7階じゃないのかなみたいな。そこで皆、困っていました」「(Q.最初は7階で火事と言っていたのに情報はどちら(が正しい)となった?)情報が間違っていた、じゃあ火事も違うのかなみたいな」

■8階 7階エスカレーター近く

 放火があったのは8階と7階、そして5階です。燃えた順番は分かっていませんが、初めに通報があったのは8階です。8階は催事場の古着店で、消防によりますと、ハンガーにつるされている古着など8着が燃えました。7階は雑貨店が被害に遭いました。帽子2つが燃えましたが、すぐに鎮火できたといいます。

 8階と7階の火災には共通点があります。それは、どちらもエスカレーターの近くということです。7階の火災現場の店は8階からエスカレーターで降りてすぐの店です。元刑事の佐々木氏は、こう指摘します。

 元埼玉県警刑事 佐々木成三氏:「同じ時間帯に同じ手口の犯罪なので、もちろん同一犯に間違いないと思う。自分が逃げることを想定して、どんどん下に行くということを考えていたと思う」

■“6階飛ばして5階放火”なぜ?

 8階、7階、すぐ下の階で起こった火災。ところが、もう一つの火災現場は、すぐ下の6階ではなく5階でした。

 元埼玉県警刑事 佐々木成三氏:「下見はしていると思う。店を見つけて選んでたと思うが、そこの間、客がいたり(火を)付けにくい場所と考えた時に、6階はブランド品が多いので客も多い。そういった時にここで(火を)付けることにリスクがあるということで、6階は飛ばして5階に行った可能性は高い」

 6階には大手衣料品チェーン店もあり、行列ができることもあります。

■5階ワンピ8着 逃走ルートは

 5階は女性用の衣料品店でワンピース8着が燃えました。ここだけはエスカレーターから離れていますが、駐車場へと続くエレベーターがあります。

 元埼玉県警刑事 佐々木成三氏:「(火を)付けるタイミングもエレベーターが来るタイミングを見計らっていたかもしれないし、ここはエレベーターに乗って逃げるということは考えて、その場所を選んだのかもしれない」

 元東京消防庁の坂口氏は、火災現場が商業施設の衣料品店などだったことに注目します。

 元東京消防庁 坂口隆夫氏:「衣類関係はほとんど石油系の素材でできているので非常に着火しやすいということ。簡単にライター等でも火が付いてしまうということが言えると思う」

■「デパート火災」50年前相次ぐ

 商業施設での火災は多くの犠牲者を生む、そんな危険性をはらんでいます。

 ちょうど50年前、熊本市でビルが大量の煙に包まれました。104人が帰らぬ人となった「大洋デパート火災」です。

 元東京消防庁 坂口隆夫氏:「戦後のデパート火災としては死傷者が大勢出た。これが営業時間中だった」

 火災が起きたのは熊本城から500メートルほどの距離。繁華街にあるデパートです。屋上には消防隊員や救助を待つ人。階下の窓からも助けを求める人が身を乗り出しています。ロープを伝って下りました。なぜ100人を超える犠牲者を出してしまったのでしょうか…。

 元東京消防庁 坂口隆夫氏:「まだ法律的に自動火災報知設備や消火器の設置義務がなかった。未設置だった」

 出火したのは利用客が多い午後1時ごろ。デパート2階、階段の踊り場付近です。踊り場には洋服類やマットなど燃えやすいものが大量に積まれていたといいます。炎は階段部分にも積まれていた商品を伝って3階の寝具類に燃え移り、大火災となったのです。出火原因は分かっていません。

 さらに、大阪市でも118人の死者を出す「千日デパート火災」がありました。3階の売り場から出火。当時は電気工事の作業中で、工事関係者のたばこの不始末を疑われましたが、出火原因の特定には至っていません。

 元東京消防庁 坂口隆夫氏:「(現在は)デパート等も3000平方メートル以上でスプリンクラー設備が義務設置。11階建て以上で建物全体のスプリンクラー設備が義務設置。かなり消防規制は厳しくなっている。延焼が拡大するような火災は起きにくくなっている」

■犯人の狙いは?人目はばからず?

 22日の川崎市のマルイファミリー溝口の火災では幸い、けが人はいませんでした。

 元埼玉県警刑事 佐々木成三氏:「『大勢の人に危害を加えたい』という可能性が高いと思う。(出火したのが)1つではなく3店舗使っていますし」

 警察は放火事件とみていますが、人目のある営業中の商業施設という衆人環視のなか、どうやって火を付けたのか。そして、どうやって逃げたというのでしょうか。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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