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“昭和レトロ喫茶店”を営む27歳女性 小学校教師から転身し…古き良き文化を守る(2023年11月10日)
若者の街「渋谷」で、“レトロ喫茶文化”を体験できるイベントが開催されていて、人気を集めている。一方で、喫茶店が減っていくなか、昔ながらの店を守る若者を取材した。
■「喫茶店カルチャー」をファッションの一部に
今、昭和の香りが色濃く漂う純喫茶が再注目されている。
現在、渋谷パルコでは、全国14店の“名物喫茶”とファッション誌「FUDGE」がコラボしたイベントが行われている。
名物喫茶の店名や人気メニューがプリントされたTシャツ、雑貨や小物など、限定のコラボアイテムも販売され、喫茶店カルチャーをファッションの一部として取り入れようというものだ。
「純喫茶ファッジinパルコ」プロデューサー 関口啓子さん:「(Q.なぜ今、純喫茶に注目を?)時代の波を乗り越えて、残ってきた喫茶店のみなさんというのは、変えないことで個性を放ってきた。一生懸命守ってこられた。それが時代が経ったことによって、より魅力が増しているということを、我々にとっては懐かしい、若い方たちにとっては、初めての出会いで新鮮に映っているようなので」
■利用客「居心地がいい」 全国6都市で開催予定
大手コーヒーチェーンが活況を見せるなか、昭和の香りを伝える、“昔ながら”の喫茶店の姿を、世代を超えて楽しんでもらおうという企画だ。
会場には、映画のセットのような大型フォトブースを設け、昭和にタイムスリップしたような体験もできる。
利用客(27):「なんかレトロな感じが、かわいいなあと思って」
利用客(27):「無機質カフェはやっていたけど、そういう所よりも居心地がいいから、結構目に入ると、入ってみたいなという気持ちになります」
台湾からの観光客(25):「日本ならではのレトロな感じがいいです」
このイベントは、東京・渋谷を皮切りに、来年1月まで全国6都市で行われる予定だ。
■“15万→5万軒”喫茶店の事業所数は減少
1960年代から70年代にかけて、様々なスタイルの喫茶店がオープンし、人々の憩いの場として流行した。
当時、若者のたまり場となっていた喫茶店のニュースでは…。
東映ニュース(1960年10月5日):「いまや“ファンキー族”は高姿勢です。“太陽族”から“ミサイル族”そして“ビート族”へ。これはヌーベルバーグ(新しい波)に揺れ動く世代の声です」
東映ニュース(喫茶店の客):「ビートというのは、とにかく何かを打ち続けることなんですよ。みんなで騒いでしゃべりがあって、勝手なことを言ってるうちに、なんとなく気分がいいですね」
東映ニュース:「モダンジャズファンは、ちょっとハイクラスのご意見」
東映ニュース(喫茶店の客):「あくまでも喫茶店に来て、お茶を飲むことはね、学校をさぼったりね、そういうチンピラの集会所のね、きている“ビート族”と違って、我々はやはり憩いの場所としてのね、コーヒーを飲みに来ているので。やはりあくまでも、コーヒーは主食でないと、ということが言えるんです」
さらに、客が一つになってロシア民謡や反戦歌などを歌う「歌声喫茶」が人気を博す一方で、静かに絵画を楽しむ「ギャラリー喫茶」が現れるなど、喫茶店は百花繚乱の文化を花開かせた。
しかしその後、店の数は減少し、1981年には15万軒以上あった喫茶店は、おととしには、およそ3分の1の5万8000軒ほどになっている。
■教師辞めて喫茶店経営へ 転身したわけとは?
そうしたなか、“昭和のレトロ喫茶”を守ろうと、50年近い歴史のある喫茶店の店主となった女性を取材した。
珈琲専門店「山百合」 店主 慶野未来さん(27):「もう定年まで、小学校の先生をやるつもりで」
小学校教師から、横浜市にある喫茶店の店主へ転身したそのわけとは?
「山百合」は1975年に創業したが、前の店主が高齢化などを理由に引退することになり、2年前に店を任されたという。
元々は小学校の教師だったという慶野さん。留学するため、いったん教師を辞めて準備をしていたころ、コロナ禍となり、留学することができなかったという。
そんな時、知人からすすめられたのが、一度も行ったことのない、喫茶店「山百合」の経営だった。
慶野さん:「仲のいい友人とか、家族とか、経験ないのにやれるわけないとか言われて、断ろうかなぐらいの。でも(前の店主に)直接会わないと失礼だなという、いろんな思いで鶴見に来て、このお店入って。店内初めて入ったら、本当に、わ~、すてきだな、残したいなと一目ぼれしちゃっての、今みたいな感じですね」
木をふんだんに使った、重厚感あふれる内装の随所にみられる、ちょっとしたこだわりに引かれ、店主になることを決意したという。
慶野さん:「古いものは、新しくは作れないなと思って。誰かが維持して、守っていくしかないなと感じていて。お客さんが来てくれるからこそ、価値があるというか。喫茶文化を守りたいって言っているだけでは守れないと思って」
喫茶店文化を、存続させていきたいという強い思いで、店主となった慶野さん。彼女が作るコーヒーの味は…?
深みがあります。このお店で飲んでいるというのも、時がゆっくり流れていくような感じがします。
慶野さん:「人と人とで紡いでいくというか。色んな人の交流の場としても、やっぱり喫茶店は世の中に必要だなと思うので」
■喫茶での支出金額1位は…3年連続「岐阜市」
喫茶店の人気が若者の間で広まっているそうだが、全国の都市で、どこが一番喫茶店にお金を使っているのだろうか?
総務省の調査によると、全国の県庁所在地と政令指定都市の2人以上の世帯が、喫茶店で使う代金は岐阜市が1位。去年1年間では1万5616円で、独特なモーニング文化で知られる名古屋市は2位だった。
ちなみに岐阜市の1位は3年連続で、金額も全国平均7527円のおよそ2倍以上。岐阜市が「喫茶王国」としての地位を固めつつある。
■岐阜の喫茶店シンボルは「黄色い回転灯」
では、なぜ岐阜に喫茶文化が浸透しているのか。
岐阜県喫茶組合の牧野義春事務局長によると、「そもそも岐阜では1965年ごろから地場の繊維産業が盛り上がり、駅前には問屋街があり、県外からバイヤーが訪れていた」そうだ。
そこで、商談する際に、工場ではうるさいので気軽に打ち合わせできる場として重宝されたのが喫茶店だったという。
また、岐阜の喫茶店のシンボルとなっているものが、看板の上についている「黄色い回転灯」だという。
牧野事務局長は「岐阜の喫茶店は、通りから1本入ったところに多くあった。また、車社会の岐阜で遠くからでも目に付くように、回転灯が使われるようになった。郊外の幹線道路でもおなじみの風景になった」と話している。
■「喫茶・モーニング」」定着へ キャンペーン実施
岐阜市は喫茶店での支出3年連続1位となったことを受け、岐阜市といえば「喫茶・モーニング」というイメージ定着と魅力発信のため1億200万円の予算で、今月1日から来月27日までキャンペーンを実施している。
対象の喫茶店で一部のQRコードを使ったキャッシュレス決済をすると最大30%のポイントが還元されるということだ。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年11月10日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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