黒部ダム“幻のルート”公開 難工事の象徴“謎の洞窟”の先には…“圧巻の絶景”【羽鳥慎一 モーニングショー】(2023年11月9日)

黒部ダム“幻のルート”公開 難工事の象徴“謎の洞窟”の先には…“圧巻の絶景”【羽鳥慎一 モーニングショー】(2023年11月9日)

黒部ダム“幻のルート”公開 難工事の象徴“謎の洞窟”の先には…“圧巻の絶景”【羽鳥慎一 モーニングショー】(2023年11月9日)

 この時期、美しい紅葉で多くの観光客が訪れる黒部ダム。これまで関係者しか通れなかったトロッコに乗り地下トンネルを通ってたどり着く“幻のルート”と呼ばれる路線が一般にも開放されることになった。

■「世紀の大事業」黒四建設にあたり7年の歳月

 雄大な北アルプスの大自然に囲まれた黒部ダム。

 堰堤(えんてい)の高さは186メートルと日本一を誇り、毎秒10トン以上のダイナミックな放水は、まさに圧巻のひと言だ。

 今の時期は、展望台から臨むダムと色づいた山々の紅葉、雪山のコラボレーションが人気を集めていて、1日も多くの観光客が訪れた。

 東京から来た観光客:「なんか迫力が違う。色がすごい鮮やかできれいだなって思って」

 大阪から来た観光客:「周りもきれいだし。青い空と白い雪と。この四季の魅力は海外にはない」

 そんな黒部ダムといえば、戦後日本の発展を支えた黒部川第四発電所、通称“黒四(くろよん)”。その発電に必要な大量の水を確保するために建設された巨大なダムだ。

 1956年に着工し、総工費は513億円。「世紀の大事業」と呼ばれ、延べ1000万人が工事に関わり、7年の歳月と171人の尊い犠牲の末にようやく完成した。

■黒部ダムへの“幻のルート” 来年6月に一般公開

 これまで、観光客が黒部ダムに行く方法は2つのルートに限られていた。

 1つは富山県にある立山駅からケーブルカー、国内唯一の架線からの電気で走るトロリーバス、ロープウェイなどを乗り継ぎ、2時間以上かけて向かう「立山黒部アルペンルート」。

 毎年4月に、およそ20メートルの雪の壁を間近で楽しむことができる「雪の大谷」でも知られるルートだ。

 もう1つは、長野県大町市の扇沢駅から電気バスで向かうルートがある。

 来年6月に一般公開されることになったのは、これまでは通れなかった、黒部ダムへの“幻のルート”。

 「世紀の大事業」と呼ばれたダム工事で富山側から資材運搬に使われていたルートだ。

■「黒部宇奈月キャニオンルート」新ルートは9割が地下

 黒部峡谷鉄道のトロッコ電車ではこの時期、黒部川沿いを走り、美しい自然と色とりどりの紅葉が楽しめる。

 これまで、その終点の「欅平駅」から先に行くことはできなかったが、今回、欅平駅と黒部ダムをつなぐルートに安全対策を施し、一日20人~30人限定の事前予約制で一般開放することになったという。

 新ルートの名前は、「黒部宇奈月キャニオンルート」。長さはおよそ18キロ。その9割が地下を走る行程だという。

■蓄電池機関車で洞窟へ 工事の難所“高温地帯”

 まずは安全確保のため、ルートへ入るには、ヘルメットの着用が必須だ。

 工事用の車両で、欅平駅の先にあるトンネルの中へ…。すると、車両は500メートルほど進んだところで停止した。

 真夏でも16℃ほどだというトンネル内も線路でつながっていて、その先に待っていたのは、今から80年以上前につくられた、竪坑エレベーター。

 ダム予定地までの傾斜が急で険しかったために設置されたもので、貨車1台を丸ごと載せて運んでいた。

 現在のエレベーターは3代目で、ビル50階に相当する高さ200メートルを2分で昇っていく。

 上がった先に待っていたのは、オレンジ色の乗り物。蓄電池で走る、蓄電池機関車に乗り込んで向かうのは、6キロ以上続く洞窟の中。

 資材や機材の運搬用に掘られたこの洞窟は、掘削の際、様々な困難に見舞われた場所だという。

 ガイド:「岩盤の温度が160℃。重大な事故が起きてしまった」

 “高熱隧道(ずいどう)”と呼ばれるエリア。当時、このエリアを掘り進めたところ坑内の至る所から高温の蒸気が噴き出し、岩盤温度が165℃に達したところもあったという。

 時には、掘削に使っていたダイナマイトが自然発火。爆発で作業員が死亡する事故も発生した。そこで、とられた対策が…。

 ガイド:「黒部川の水が冷たいので、くみ上げてまして、天井に配管をしてシャワー。また、ホースで後ろから水をかけて岩盤も冷やして、人も冷やして」

 冷却装置や冷風機、黒部川の水を使ったシャワーなどを大量に設置。およそ1キロの高熱隧道は、3年の月日をかけて掘り進められた。

 今でも、平均気温が40℃近くあるため、人が降りて歩くことはできない。

 さらに、硫黄成分が漂っていて、電車などで使う送電線が腐食してしまうため、耐熱性、耐食性を高めた蓄電池機関車でないと走れないという。

■関西の電力を支えている“地下電源施設”

 洞窟を抜けると、地下に作られた、黒部川第四発電所、通称“黒四”の中へ。

 ガイド:「今、奥の方に2基ランプがついている。あれは発電機」

 関西地域の深刻な電力不足を解消するため、秘境と呼ばれた黒部峡谷の厳しい自然を切り開いて作られた地下の電源地帯。

 当時、日本の土木技術を結集して挑んだ難工事。苦難の末に建設されたこの発電所は今でも、関西の電力を支えている。

■3時間の長旅の終着 「黒部ダム」に広がる絶景 

 発電所の見学を終えると、インクラインという乗り物で上の方へと上がっていく。かなりの傾斜になっているので、特別な乗り物でないと上に上がっていけないという。

 長さ815メートル、傾斜角34℃の巨大ケーブルカー・インクライン。

 “黒四”の建設当時、発電機など、最大25トンまでの資材を運べるようにと作られた。

 つるべ方式になっているため、上に向かう最中に別の車両とすれ違う場面もある。

 到着したのは標高1325メートルの地点。ここには、他では見られない絶景ポイントがある。

 黒部ダムへ向かう「黒部トンネル」に作られたタル沢横坑。ダム建設時、掘削で出た土砂などを搬出していた横穴だ。

 その先には、雄大な山々に広がる紅葉と頂上付近に雪が積もり、白く染まった剱岳。

 剱岳を富山平野とは反対方向からを眺めたこの姿は「裏剱」と呼ばれ、限られた人しか見れない絶景だ。

 最後は、電気バスで黒部ダム駅へ。220段の階段を上ると、ついに3時間の長旅の終着、黒部ダムに到着。

 そこにはエメラルドグリーンの湖と色とりどりに染まった山々の姿があった。

完全予約制 出発地、宿泊地別に1泊2日の4つのコースを予定
定員 1コース当たり 1日20~30人
料金 13万円程度(コースごとに異なる)
販売開始 来年1月29日~(予定)
日程 来年6月30日~11月29日(予定)

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2023年11月3日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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