非常事態宣言“7年で破綻”おそれ 「無駄が多すぎる」住民から怒り(2023年10月24日)
山梨県の市川三郷町で「非常事態宣言」が出されました。なんと7年後に財政破綻する恐れがあるというのです。住民からは怒りの声が上がっています。
■「無駄が多すぎる」住民から怒り
町民:「やっぱり無駄な人員が多い」「(財政)破綻すれば色んなことにしわ寄せがくる」
まさに「待ったなし」の状況だという市川三郷町。遠藤浩町長は20日、「財政非常事態宣言」について、住民に説明したといいます。
市川三郷町 遠藤浩町長:「まず町の財政状況を知ってもらうということが1点。ピンチをチャンスに変える転換点でありますよと」
説明会では厳しい声も飛んだと言います。
市川三郷町 遠藤浩町長:「『遅かった』とか『なぜここまで何もしてこなかったのか』と」
このままでは7年後に財政破綻する可能性があるとして先月19日、町民に「危機的な状況を共有することが不可欠」と協力を求めました。
■1つの町に3庁舎「プライドが…」
財政危機の背景には意外な原因があるといいます。
市川三郷町 遠藤浩町長:「それぞれの地域、集落の…プライドみたいなものが大きくあったというふうに感じる」
人口およそ1万4700人の市川三郷町。昨年度は免れたものの、実質的な収支は2021年度まで5年連続の赤字で、7年後には財政が破綻してしまう恐れがあるとして「財政非常事態宣言」を出しました。高齢化や人口減少などにより、町の税収はピーク時からおよそ15%減っているといいます。
さらにきっかけとして「平成の大合併」もあったといいます。市川三郷町は18年前、市川大門町と三珠町、六郷町が合併。それぞれの字を取って市川三郷町になったとされます。
遠藤浩町長:「それぞれの地域・集落のプライドが大きくあったと感じる。それぞれの集落の施設なんかが統廃合の対象になりたくないという考え方」
合併による国からの交付金があった一方で、公共施設の統廃合などの見直しが進まなかったというのです。
町民:「役所ですね。私の知ってる限り(役所が)3つあります。1つでいいと思う。この町の大きさですから」
町のホームページによりますと、庁舎は合併前と同じ3つのまま。他の自治体が施設数を減らしているのに比べ、市川三郷町は1つしか減っていません。町は公共施設の見直しを検討するとしています。
■公民館も7つ「全く必要でない」
町民:「(Q.公民館も7つあるが?)全く必要でないと思います。何か無駄な経費が多すぎる。公民館に常時1人ついてるが、なぜ、その人たちがついてるのか分からないんですよね」
また、財政破綻による住民の生活への影響が懸念されます。
町民:「出るでしょうね、ごみの収集とか」
創業80年、この地で40年営業する飲食店は…。
桐嶋屋 桐原雄二さん(71):「町が過疎化しているので、これで財政破綻となればどうなるものかというのは、私らには計り知れないものがある」
町では具体的な取り組みとして町長、副町長、教育長の給料を減額するとしています。
■“施設命名権”スポンサー募集も…
実は、町は「財政非常事態宣言」を出す前、8月1日から31日まで町の施設11カ所の命名権のスポンサーを募集していました。命名権のスポンサーを募集した施設の一つ「つむぎの湯」です。しかし、手を挙げる企業がないまま、8月末までの募集期間が終了してしまいました。
町は急きょ、1カ月募集期間を延長しました。多くの問い合わせはあったものの、応募はなかったといいます。その延長のさなか、「財政非常事態宣言」を出したのでした。
町の収入のうち、どれくらいを使ってしまっているかを示す「経常収支比率」は2021年度、市川三郷町は全国ワースト11位となる98.1%に達しています。翌年の2022年度は98.2%です。地方自治に詳しい専門家はこう話します。
大正大学 公共政策学科 江藤俊昭教授:「98.2%になると本当に独自の政策できないので、本当に厳しい状況。これは市川三郷町の問題だけではなくて、全国的な問題だと思います」
番組で調べると、実は「財政非常事態宣言」を出している自治体は東京・日野市や、大阪・阪南市など、全国にあることが分かってきました。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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