ロシア 知日派の元外務次官を“スパイ”指定 北方領土の交渉経験者を…なぜ今?(2023年10月23日)
ロシア法務省が20日、知日派の元外務次官をスパイを意味する「外国の代理人」に指定した。指定された元次官は、北方領土交渉の窓口となるなど、日本とゆかりのある人物だった。
■ロシア法務省「当局の虚偽情報を広めた」
ロシアの法務省は20日、元外務次官のゲオルギー・クナーゼ氏(74)を「外国の代理人」に指定した。
「外国の代理人」は欧米の「スパイ」の意味合いがあり、指定されると公職に就くことはできず、拘束される可能性もあるという。
現在クナーゼ氏は拘束はされておらず、モスクワにいるとみられている。クナーゼ氏といえば…。
クナーゼ氏(2016年):「4島返還がなければ平和条約が締結できないのであれば、平和条約を締結しないままに歯舞・色丹の引き渡し手続き交渉を同時にやってみましょう」
エリツィン政権時は外務次官として、北方領土交渉の窓口となった知日派の人物だ。
タス通信は、外交筋の話として、クナーゼ氏が当時、北方領土の「日本への引き渡しに向け、積極的に働きかけていた」と報じている。
ロシア法務省は、今回クナーゼ氏を「外国の代理人」に指定した理由について、「クナーゼ氏がロシアの否定的なイメージづくりのための不正確な報道とロシア当局の決定や政策、軍の行動に関する不正確な情報を広めた」と指摘している。
■なぜ「今」…外国の代理人に指定?
スパイを意味する外国の代理人に指定された、クナーゼ氏について詳しく見ていく。
クナーゼ氏を外国の代理人に指定した理由をロシア法務省は、「ロシアの否定的なイメージをつくり出すことを目的に虚偽の情報を広め、外国の組織が提供する情報空間で質問に回答した」と発表した。
クナーゼ氏というのは侵攻以降、ウクライナメディアに度々、出演してきた。
先月1日にはウクライナのニュースサイトにリモート出演し、「プーチンは自分の頭がおかしいとは思っていないだろう」と発言。政権批判を繰り返していたということだ。
これまで批判をしてきたクナーゼ氏を、なぜ今「外国の代理人」に指定したのだろうか。
元時事通信モスクワ支局長で拓殖大学の名越健郎特任教授によると、「クナーゼ氏はロシア国内では知名度は低いが、北方領土交渉の窓口だった人物。北方領土の返還は行わないという日本へのアピールの意味合いがある」と指摘している。
その北方領土の返還交渉だが、今月13日が北方四島の帰属問題を解決し、平和条約を締結することを明記した、日露首脳による「東京宣言」から30年の節目となる。
しかし、ウクライナ侵攻によるロシアへの経済制裁などから、日本との平和条約交渉をロシア側が拒否。日本政府も墓参りや島民の交流を当面見送ると、今年4月に発表している。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年10月23日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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