「私はここにいる」大統領から民間人まで ウクライナの「リアル」を伝えるSNSの役割

「私はここにいる」大統領から民間人まで ウクライナの「リアル」を伝えるSNSの役割

「私はここにいる」大統領から民間人まで ウクライナの「リアル」を伝えるSNSの役割

2月24日、突如としてロシアがウクライナに軍事侵攻を開始して4日が経過しました。情勢が不透明な中で、大統領から民間人まで多くの人たちがSNSで発信を続けています。今回の軍事侵攻の中で、SNSが果たしている「役割」について見ていきます。

■著名人も続々・・・SNSで世界中から集まるロシアへの非難の声

良原安美キャスター:
ウクライナ情勢について、SNSという視点から見ていきます。SNSを通じて、世界中から様々な声が上がっています。

▼ロシアとウクライナにルーツを持つ女優ミラ・ジョヴォビッチさん(46)「戦争いつだって戦争平和をもたらすことのできない指導者たちいつも人々が血と涙の代償を払う」

▼フィギュアスケート平昌五輪銀メダル エフゲニア・メドベージェワさん(22)「悪い夢のように一刻も早く全てが終わることを願っています」

今回のウクライナ情勢についてはSNSが大きな影響力を持っているということです。

■スーツ姿や私服の“自撮り”までウクライナ・ゼレンスキー大統領のSNS戦略とは?

良原キャスター:
ゼレンスキー大統領のSNSでの活動が大変上手くいっていると注目を集めています。連日、SNSで動画などのメッセージを沢山投稿しています。スーツ姿でしたり、軍事侵攻が始まってからは私服姿も目立っています。

この投稿について、笹川平和財団の畔蒜泰助・主席研究員は「SNSはゲリラ的な情報発信力があり、国内外に拡散されるなど影響力が大きく、寄付などの支援の声が集まっている」と話しています。

また、ゼレンスキー大統領のSNSでの発信の中で特に注目が集めたのが、2月26日の投稿です。大統領府前に立ち、“自撮り”で撮影しました。そして、「私はここにいる。我々が武器を置かず祖国を守る」と発信したのです。室内ではなく、外で撮影したのにも戦略があるということです。笹川平和財団の畔蒜泰助・主席研究員は「誰でもわかる場所で撮影し、ロシア側の“国外逃亡説”を否定。一緒に戦う大統領として国民を鼓舞する効果がある」と分析しています。

■情報統制下のロシアで反戦デモSNSで広がるウクライナの“リアル”

良原キャスター:
SNSで発信しているのは大統領だけではありません。ウクライナ国民の皆さんも、国内の悲惨な現状をSNSに投稿しています。また、ウクライナ政府もロシア軍の捕虜の動画をSNSで公開しています。SNSで公開していますので、世界中に、もちろんロシアにも映像は届いています。

実はロシアは、都合の悪い情報などは「情報統制」を行っています。軍事侵攻に疑問を感じたロシア国民は、ウクライナの情報をSNSで入手しているということです。そして、ウクライナの“リアル”な現状を知り多くの反戦デモが起こっています。ロシアではデモで5900人が拘束されています。

この国民のデモに危機感を抱いたのでしょうか?TBSモスクワ支局・大野慎二郎支局長は、「ロシア当局はFacebook、Twitterなどの利用制限を開始。今後さらなる情報統制も」と話しています。

井上博貴キャスター:ロシアとしては情報統制で締め付けを図りたい。中国もそういった動きを見せているわけですが、それが出来ない時代になりつつある。どうお感じですか?

メンタルトレーニング指導士田中ウルヴェ京さん:やはり“言葉の力”というものが、単なるリーダーの人たちだけではなく色々な人がどこからでも発信できるようになった。弊害はありますけれど、大事なことですよね。世界中の子ども達ですら見られるようになった。良いことだけを考えれば、「なぜこういうことが起きるのだろう」ということをしっかりと考えられるきっかけになることもありますよね。ロシアにしっかり伝わるといいとは思いますが。

■日本でも広がる「#戦争反対」
情勢を解説する動画も

良原キャスター:SNSを見ると、日本でもウクライナ情勢に関心が高いことが分かります。SNSには「子どもがSNSでウクライナとロシアの事知って興味を盛ったらしくニュースを一緒に観てる」「SNSでリアルのウクライナのライブが流れてる。泣き声とサイレン音聞こえて心が痛い」などの声が上がっています。

また、「Twitter」や「インスタグラム」「TikTok」などのSNSでは、▼#戦争反対、▼#ロシア侵攻、▼#ウクライナに平和を、などのハッシュタグが付いた投稿も多くみられます。さらにアカウント名に「Nowar」と加える動きも日本国内で出ているということです。

また、今回のウクライナ情勢は複雑です。そもそもなぜ戦争になったのか、ということを若者にも分かるように解説された動画が多く投稿されています。

他にも、「死にたくない」と泣く子どもの映像が拡散されていたりですとか、ウクライナ国旗の青と黄色で平和を願うような投稿が沢山されているといいます。

井上キャスター:メディアが多種多様になっている中で、テレビラジオ新聞雑誌に触れない多くの方々が、SNSを通じて現状を見ることができる。中にはフェイクもあるので、それを見極めながらというところになりますが、時代が変わりつつあることは良いことなのだと思います。

ホラン千秋キャスター:今何が起きているのか、ということをつぶさに伝えられるという点では、大変便利な点もあると思うのですが、それが本当に正しい情報なのか見極めることが大切、というのはまさにその通りだと思います。ハッシュタグをさかのぼりますと、本当に様々な映像があるのですが、それが自分の見慣れた国、聞きなれた言葉であれば分かると思います。ただ、それが聞きなれない言語であったり見慣れない景色ですと、本当にその場所なのか、その時なのか、ということが判断できないこともあると思います。皆さん正しい情報を流してくださっているとは思うのですが、見る側も注意して情報を選ばなければならないな、とは本当に思いますね。

井上キャスター:家族や友人などの“強い”つながりよりも、SNSなどの“薄い”つながりがあることで、心がより動かされて、「自分も何かしなければならないのではないか」となるといいます。そのような重要性もあるのではないでしょうか?

田中ウルヴェさん:「しなければならない」だとちょっと強いかもしれないので、「出来ることは何だろう」なんですよね。「出来ることが少ないな」と思うことも大事です。でも、「今日出来ることはなんだろう」「ちょっと歴史のことを調べてみよう」。あるいは、ウクライナのことだけではなく、「ロシアの目線からみたらどうなんだろう」など、多面的に物事を考えるということが身につくことこそ、“課題解決”の能力が養われます。「人類」として考えたときに、私たちは沢山の課題を抱えているので、一人一人が難しい課題を解決できるようになればいいな、と思います。
(28日21:18)

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