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“半導体バブル”に沸くニンジンの街…経済効果10年で6.9兆円 時給も大幅UP【羽鳥慎一 モーニングショー】(2023年10月20日)
台湾の半導体工場が建設されている熊本県のとある町が、バブル状態になっている。
■ニンジンの街が「半導体バブル」に沸く
熊本県の北東部にある、大津町の飲食店。夜は大勢の客でにぎわい、店内は常に満席状態だ。
大にぎわいの理由が…。
よも麺と居酒屋てんき 本石優希店長:「工事関係で、県外から来てくださってる方とかも、すごく増えました」
この地域が好景気に沸くきっかけとなったのが、半導体受託生産世界最大手の台湾メーカー「TSMC」の工場建設。
工場が建設中の菊陽町は、元々特産品のニンジンや米、花など農業が盛んな街だったが、自動車やスマホのカメラなどに使われる半導体の製造工場を建設。工場の稼働は2024年末を予定している。
工場の建設・稼働に合わせて、県外からやって来た工事作業員やTSMCの関係者らで、多くのお店が連日満席状態に。
本石店長:「飲食店では、TSMCバブルという言葉が飛び交っていて、かなりお客様が増えてますね」
最近では、客層に変化があったという。
本石店長:「台湾の方もかなり増えた。週2~3回は見かけるようになりました」
台湾の人が増えたことで、課題となっているのが食文化の違い。
台湾出身 半導体関連企業の従業員:「台湾でもベジタリアンが増えている。だしや料理とかも(ダメ)。基本はサラダしか食べない感じになります」
本石店長:「コースメニューに馬刺しやお刺し身が入っているが、そういうのは抜いてほしいとご要望がある。熊本料理だから馬肉とかを食べてほしいという思いはあるけど、苦手な方が多いので、料理の内容をどう構成したらいいか悩む部分はある」
食文化の違いに今後、どのように対応できるか、各店舗で検討を重ねているという。
また、言語の壁は翻訳アプリなどを使って対応する予定だ。
■地価上昇…新築マンション続々「家だらけ」
今後、半導体工場ではおよそ1700人が雇用される予定で、現在、従業員の家族も含めた750人が台湾から来日しているという。
ニンジン畑が広がっていた街の風景にも、大きな変化があった。人口4万3000人の街に、次々と新築マンションが建設されている。
コスギ不動産HD 小杉竜三取締役:「空いている土地に関しては、こういうふうにマンションの建築が進んでいます。まだまだマンションの建築は続いていくと思う」
工場の従業員やその家族を受け入れるための物件が不足しており、街は、新築マンションの建設ラッシュに。不動産業界では、マンション用地の獲得競争が激化しているという。
小杉取締役:「こちらの土地が、約1年前に弊社で仕入れた土地になります。このあたりに2、3カ所仕入れています。いま菊陽町、大津町の土地が高騰していますので、熊本市内よりも高い状況」
半導体工場の周辺地域では、地価が急上昇。菊陽町は、上昇率25.7%と高い伸びをみせ、大津町は32.4%と、全国1位に。工場建設前、1坪10万円程度だった土地の取引価格は今は40万円程度と、数年でおよそ4倍にはね上がったという。
小杉取締役:「熊本全体でTSMCに注目している。そして盛り上がっている状況だと思いますね」
■人材奪い合い…時給は熊本県の最低賃金の1.5倍
ではなぜ、この街に巨大半導体メーカーが進出することになったのか。
九州産業大学 朝元照雄名誉教授:「水が大変豊富であるということが進出の理由の1つ。(半導体)を作る途中には、いろいろな雑質(不純物)が発生する。この雑質を洗うには、きれいな水が必要」
不純物混入防止のため、半導体製造では「洗浄」の工程が欠かせない。その際に必要となるのが、大量のきれいな水。熊本県は、質の高い地下水が豊富で、半導体関連企業200社以上が進出しているという。
なかでも菊陽町は、阿蘇くまもと空港から車で10分ほどと交通の利便性も高く、土地代も安かったことからTSMCの進出につながった。
世界が注目する半導体メーカーの進出で、地元の求人には驚きの変化があったという。
8月に掲載された、TSMC工場の清掃アルバイトの求人広告。時給は1400円と熊本県の最低賃金の1.5倍という驚きの金額だ。
求人会社 あつまるHD 坂本光治熊本支店長:「熊本市内の中心部であっても(時給)1000円くらい。(時給)1400円というのは破格値の金額ではないかと」
TSMCに関連した警備や、周辺ホテルのフロントスタッフなどの求人も増加。人材の奪い合いで、県全体の時給も上がっていると感じているという。
坂本熊本支店長:「単純に言いますと、TSMCバブル。バブルで終わらせないように、地元求人会社として人材のマッチングができるような仕事がしていければ」
■移転、新規出店…客数に「正直びっくり」
人口増加が続くこの街に、ビジネスチャンスを見い出した店もある。
店の外には、入店待ちの列ができている。「熊本ラーメン」が名物のこの店。飲み会の後の、しめのラーメンを提供する店として熊本市内で30年以上営業してきたが、去年8月、この菊陽町に引っ越してきたという。
熊本ラーメン「天外天」 小田圭太郎代表取締役:「工場ができるとは聞いていたので、これはチャンスだなと思って、こちらに移転してきた」
移転後は昼間の4時間だけの営業にもかかわらず、売り上げは移転前と比べて2倍に増えたという。
小田代表取締役:「来てよかったなと。売り上げ上がったのは、万々歳。工場もできて、昼間に滞在するお客さんもどんどん増えると思うので、期待しかないですね」
新規出店はほかにもあった。
菊陽町に食堂をオープンした浦上竜さん。元々、熊本市内の飲食店に勤めていたが、今年1月に独立。出店場所を探していた際、人口増加率や半導体工場進出の話を聞き、この町への出店を決めた。
大衆酒場 葵食堂 店主 浦上竜さん:「わたしが想定していたお客さんの数よりも、だいたい1.8倍から2倍。正直もう、びっくりしています。よっしゃ!みたいな感じですかね」
半導体工場の進出で、熊本県全体での経済波及効果は10年で6兆9000億円との試算もある。
■地価高騰…家賃払えず閉店も
周辺地域が空前の好景気にわく一方、大きな決断をした店もある。
新鮮な野菜を格安で購入でき、この地で20年以上営業してきた青果店。この店の下した決断が…。
常連客:「さみしさもありますし、一番は困ったなと。もうちょっと続いていてほしかった」
家賃を払って、この店を切り盛りしていた森田さん夫婦。TSMC進出の影響で周辺の土地が高騰し、家賃が値上がりしたため先月末で店を閉める決断をしたという。
常連客:「毎週のように来させてもらっていて。ファンだったんで、ちょっと悲しいですけど、どこかで再開することを祈っています」
フレッシュパーク 森田賢一社長:「終わりました。本当やりきった感と、感謝でいっぱいですね。地域のコミュニティーが失われたりとか、こういった事案は必ず増えてきますので、その辺も踏まえて誘致とかをやっていただけたらなと切に願います」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2023年10月20日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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