子どもだけでの「留守番は虐待」 条例改正案に批判噴出…自民県議団が“撤回”(2023年10月10日)
子どもだけで登下校することなどは虐待にあたるとした埼玉県の条例改正案。こうした行為を確認した市民には通報義務もあるとして、大きな批判が上がりました。13日にも採決の見通しとされていましたが、10日、新たな動きがありました。
■登下校もNG 自民県議団が“撤回”
室内での撮影を拒む埼玉県の自民党県議団。その後、事態が動いたのは午後2時すぎ。会合を終え、会見場に現れた自民党県議団の田村琢実団長です。
自民党県議団 田村琢実団長:「この度は私どもの条例制定にあたりまして、県民はもとより、国民の皆様に大きな不安の声、心配を賜っていること心からおわび申し上げます」
6日に条例案は委員会を通過。13日の本会議で可決される見込みでした。ところが…。
自民党県議団 田村琢実団長:「委員会審査を終了しておりますが、諸般の事情を考慮し、取り下げさせていただきたいと考えております」
諸般の事情とは、一体なんでしょう。
■埼玉県へ反対1005件 賛成は2件
10日、埼玉県議会の前には朝からプラカードを掲げる人たちが集まっていました。県庁に寄せられた県民からの声は反対意見が1005件、賛成はわずか2件。
■PTAも猛反発「現場の声がない」
PTAも動きました。午前、知事室を訪ねます。
さいたま市 PTA協議会 坂下三浩理事:「さいたま市PTA協議会ですが、今回の条例の改正案に対する反対意見の意見書をお持ちしたので」
手渡したのは反対の意見書。
さいたま市 PTA協議会 坂下三浩理事:「子育てに対して、現場の声が全く生かされていない」
自民党県議団が提出した条例案は、子どもを家に残して大人がごみ出しや回覧板で外に出ることさえ場合によっては禁じています。そして、それらを「虐待」と定義。
自民党県議団 田村琢実団長:「(Q.留守番も虐待?)もちろんです」
■登下校もNG「子育てしづらい」
5歳の娘を持つ母親:「ごみ捨ての間も子どもを1人にしちゃいけないとか、それが虐待みたいに言われてしまうと、子育てしづらい」
子育て中の男性は…。
5歳の息子の父親:「うちは共働きなので、毎日毎日ずっといられるか、学校の帰りすら常に保護者がつかないといけないというのは厳しいんじゃないかな」
小学1年生:「(Q.1人で留守番できる?)うん、できるできる」
子育て中だという、こども家庭庁の加藤大臣です。大臣の立場からの発言は控えたいと、慎重に言葉を選びました。
こども政策担当 加藤鮎子大臣:「留守番をさせることの当否の判断が難しいケースもあるんだろうなというふうに考えております。何とかするということができる状況が、あるかないかとかもあると思う。登下校に関して、9歳以下の息子に1人で登下校させていたことは…あります」
■自民党国会議員「選挙に影響が」
一転して、条例案の取り下げを表明した自民党県議団。この数日間で何があったのでしょう。自民党の国会議員のなかには「一般の有権者からは『これだから自民党は…』と言われるだろう。あんなのやってたら選挙に影響出る」と話す人もいました。
田村団長は苦しい釈明に追われました。
■「留守番は虐待」“撤回”を釈明
子どもの放置を「虐待」と定義した埼玉県の自民党県議団。10日の会見ではその定義も揺らぎました。
自民党県議団 田村琢実団長:「お留守番をさせる場合は鍵を掛けるとか火を使わないとか、そういった約束事が家庭内で確認されていれば安全配慮義務がなされていると想定し、虐待にはあたらないと考えております」
ちなみに、6日には…。
自民党県議団 田村琢実団長:「(Q.留守番も虐待?)もちろんです」
■「〇か×かで答えてしまった」
自民党県議団 田村琢実団長:「(Q.放置=虐待という認識は変わった?)いや変わ…ですから、先ほどもお話をさせていただいた通り、安全配慮義務が抜けている時が虐待に当たります。質問が○か×かといえば、そういうふうに答えてしまった」
■自民県議団の案「とんでもない」
元大津市長 越直美弁護士:「とんでもない条例だと思いました。誰かが常に子どものそばにいないと不可能な条例になっている。虐待と言っている範囲が広すぎるので、通報しなければいけないということになると、まさに不可能を強いている。県民の実態を見ずに、価値観の押し付けになってしまった」
条例案の取り下げを受け、埼玉県の大野知事が取材に応じました。
埼玉県 大野元裕知事:「県民の声がとりわけ自民党県議団に届いたものと理解している。今回の議案の撤回について歓迎したい」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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