ウクライナ制作のアニメ映画 日本で初上映 会社を辞めて起業…27歳日本人女性の思い(2023年9月25日)

ウクライナ制作のアニメ映画 日本で初上映 会社を辞めて起業…27歳日本人女性の思い(2023年9月25日)

ウクライナ制作のアニメ映画 日本で初上映 会社を辞めて起業…27歳日本人女性の思い(2023年9月25日)

 日本初上映となるウクライナのアニメ映画が22日から全国で公開されている。会社を辞めて起業までして、この映画の公開にこぎつけた日本人女性の思いを取材した。

■ウクライナ制作アニメ映画 日本で上映

 映画を見た客(30代):「物語に引き込まれていって、とても楽しむことができました」

 映画を見た客(80代):「ウクライナ(の映画)というので、少しでも支援出来たらなと思って来ました。素晴らしい作品でしたね。もう感動です」

 映画を見た客(3):「楽しかった」

 ウクライナで制作されたアニメーション映画が22日に公開された。ウクライナのアニメ映画が日本の映画館で上映されるのは初めてだという。

 「ストールンプリンセス:キーウの王女とルスラン」は、売れない俳優「ルスラン」とキーウの王女「ミラ」が恋に落ち、悪い魔法使いに立ち向かっていく姿を描いたファンタジー・ラブストーリー。2018年、ウクライナのアニメーションスタジオが制作した映画だという。

■日本での配給権獲得 こだわりの吹き替え版

 この映画を日本で公開するため1人で立ち上がった女性に、テレビ朝日・佐藤ちひろアナウンサーが話を聞いた。
 
Elles Films 粉川なつみさん(27):「主人公のルスランが愛する人を全力で守るため戦うっていう姿が、今のウクライナ侵攻で戦っている人たちとすごくリンクして見えてしまって。この映画を観るって言うだけでも、貢献になるんじゃないかと考えて」

 ウクライナ制作のアニメーション映画が、日本で初めて全国の映画館で上映されている。この映画の上映に特別な想いを抱くのが映画配給会社の粉川さんだ。

 ロシアによるウクライナ侵攻が開始された時、別の映画配給会社で働いていた粉川さんは、このアニメ映画の公開を社内で提案した。

 しかし、日本での上映を諦めきれなかった粉川さんは会社に退職届を提出し、一人で映画の配給会社を立ち上げたという。

 粉川さん:「小さい映画配給会社だったので、他の作品とのスケジュールの都合だったりとかで、なかなかこの作品に手を出せないよねって」「(Q.待つとか、諦める選択肢はなかった?)待っている時間はないって思って、それで(会社を)辞めちゃいました」
 
 配給権を購入するため、ウクライナのアニメ制作会社と交渉した彼女に金額が提示されたが、到底払えるようなものではなかった。

 粉川さん:「私の貯金額はこれぐらいあるので、生活費も考えて、これぐらいに値下げしてくれないかみたいな。その代わりに全身全霊でやるから、何とか金額を下げてほしいってお願いして」

 「全財産を投じてまで上映したい」という彼女の熱意が制作会社に伝わり、大幅に値引きされ、配給権の獲得に成功したという。

■別所哲也さんが声優で参加 全国で公開

 日本で上映するにあたって、こだわりがあった。

 粉川さん:「やっぱり吹替版の方が、子どもたちは見やすいじゃないですか」

 ただ、日本語の吹き替え版を作るには、キャストの費用など制作に膨大な金額が必要だ。貯金が底をつくなか、今度はクラウドファンディングを実施したという。

 しかし、なかなか資金は集まらず、苦労していた時、ある人との出会いがあった。

 粉川さん:「別所さんが毎日ラジオをされているんですけれども、その制作スタッフの方がたまたま私が清水の舞台から飛び降り、映画配給を決めましたという記事を読んでくださって。それをきっかけに出演依頼をいただいて、別所さんの番組に出たんです」

 俳優の別所哲也さんのラジオ番組で映画上映への取り組みを紹介してもらったところ、クラウドファンディングで950万円もの金額が集まったという。また、このラジオ出演をきっかけに別所さんも声優として出演してくれたという。

 そして「ウクライナのために何かしたい」という粉川さんの思いに賛同したKADOKAWAなどの協力もあり、全国で公開が始まった。

 粉川さん:「公開初日に舞台あいさつをさせてもらったんですが、その時に満席のお客さんを見て報われたというか、つらいことも多かったんですけど、満席のお客さん見て、本当にうれしくて、ほっとしました」

■飛び込み訪問も…ツテ無しでの成功

 この映画は国内54の映画館で、都内ではKADOKAWAやユナイテッドなどで上映されている。個人でどうやって、ここまでやることができたのか。

 粉川さんはクラウドファンディングで1700万円を目標にしていたが、950万円までしか集まらなかったという。
 
 そこで粉川さんが取った行動は、映画に出資している会社を調べて、飛び込みで訪問したそうだ。ツテなども、全くなかったそうだ。

 朝日新聞、KADOKAWA、ねこじゃらし、ユナイテッド・シネマが出資し、配給網や上映する映画館を確保することができたという。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年9月25日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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