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専門家「背景に選挙」避難民・武器支援“打ち切り”も…ウクライナ・友好国と“亀裂”(2023年9月21日)
ウクライナのゼレンスキー大統領が国連の安全保障理事会に出席し、ロシアの拒否権行使で機能不全に陥っている国連の改革を訴えました。
ウクライナ・ゼレンスキー大統領:「侵略者の手にある拒否権こそが、国連を行き詰まらせている。拒否権を克服する真の力が国連総会に与えられるべきだ」
演説を終え、議場から退出するゼレンスキー大統領。その後、時間をおいて入ってきたロシアのラブロフ外相。予想されていた直接対決とはなりませんでした。
ロシア・ラブロフ外相:「ウクライナの犯罪行動を西側諸国が無条件で支持することは、内政への粗暴な干渉に続く自決権の侵害にほかならない」
その欧米の一部とウクライナとの間に亀裂が生じ始めています。ポーランドです。
ポーランド・モラビエツキ首相:「もうウクライナには武器を供与しない。ウクライナ産穀物の輸入により、自国の市場が混乱することは認められない」
ドイツによる侵略の歴史を持つポーランドは、ウクライナからの避難者を受け入れ、支援してきました。NATOの中で、いち早く、戦闘機の供与に動き、ドイツ製戦車『レオパルト2』を提供したのもポーランドですが、引き金を引いたのは、国連総会でのゼレンスキー大統領の発言です。
ウクライナ・ゼレンスキー大統領(19日):「あろうことか、欧州の一部が、政治の舞台で“連帯”を演じつつ、穀物問題では、スリラー劇を演じている。自らの役割を演じたつもりでも、モスクワのあの役者へのお膳立てとなっている」
問題となっているのは、ウクライナの貴重な外貨獲得手段となっている穀物輸出です。ロシアによる全面侵攻後、黒海沿岸の港が封鎖され、黒海を通じた穀物輸出が困難になっています。
EUが支援のため関税を免除すると、ウクライナの安い穀物が中東欧諸国に流入。各国で価格が下落し、地元農家の反発を招きます。
農家に配慮する各国政府の要請を受け、EUは、ポーランドやブルガリアなど5カ国に輸入の規制を認めてきました。この措置が、先週、期限切れとなると、今度は、ポーランドなどが独自で輸入を禁止したのです。
この措置にウクライナは猛反発。WTO=世界貿易機関に提訴する事態となりました。ポーランド政府も、避難者への支援を来年で打ち切る可能性を示唆しました。
そこへ来てのゼレンスキー大統領の発言です。
ポーランド・ドゥダ大統領(19日):「誰かに家を攻撃されたら、あなたには守る権利があり、隣人も無関心であってはなりません。ウクライナは 他国の支援なくして侵略に耐え、独立性を守ることはできません」
ウクライナへの連帯は示しているものの、20日に予定されていたゼレンスキー大統領との首脳会談は中止となりました。
ポーランドが、ウクライナへの協力姿勢を転じた背景には、来月、総選挙が控えていることがあります。与党『法と正義』は、農村部の支持をつなぎとめようと必死です。
ポーランド・ドゥダ大統領:「ウクライナは、溺れる人のようなものだ。溺れる人が私たちに危害を加え、溺れさせたら、その人は助けてもらえない。私たちは自国の利益を守る必要がある」
※ウクライナの隣国・ポーランドが、その支援を大幅に後退させようとしています。
その背景について、欧州情勢に詳しい筑波大学の東野篤子教授は「ポーランドの“選挙対策”としての意味合いが大きい。総選挙を来月に控え、与党は過半数には届いておらず、支持基盤である農村の票を死守したい。避難民の受け入れ拠点で、支援の長期化に不満がたまっていることも大きい」といいます。
今後のウクライナ情勢に影響があるのではないでしょうか。
東野さんは「与党が選挙で勝てば、緊張関係は緩和する可能性がある」としつつも、「ウクライナの外交に稚拙な部分もある。WTOに提訴したままでは関係回復が難しく、外交上の歩み寄りが必要。ポーランドは武器供与だけでなく、戦車の修理拠点としても大きな役割を担ってきたため、選挙までの1カ月とはいえ、支援が途絶えると、ウクライナ軍にとって“命取り”になりかねない」と指摘します。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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