“整備士不足”で車検にも影響 「3Kイメージ」若者を遠ざける原因に…実際の現場は?【もっと知りたい!】(2023年9月13日)

“整備士不足”で車検にも影響 「3Kイメージ」若者を遠ざける原因に…実際の現場は?【もっと知りたい!】(2023年9月13日)

“整備士不足”で車検にも影響 「3Kイメージ」若者を遠ざける原因に…実際の現場は?【もっと知りたい!】(2023年9月13日)

 ビッグモーターによる保険金の不正請求問題は、本当に正しい整備が行われているのか客が疑心暗鬼になるなど、整備業界に大きな影を落としています。現場を取材すると、整備士不足が深刻化し、修理に2カ月待ちという事態も起きていました。

■ビッグモーターと関係ないところにも余波「業界全体が迷惑」

 鈴木俊一金融担当大臣:「立ち入り検査により判明した内容に応じまして厳正に対処してまいります」

 損保ジャパンとともに19日の立ち入り検査が決まった、大手中古車販売店「ビッグモーター」。

 不祥事の余波は、ビッグモーターとは関係のないところにも及んでいます。

 整備士歴17年の男性:「『お前“ビッグモーター”みたいなことやってるんじゃないだろうな』と言われた」

 整備士の男性は、客に見積書を渡した時に、こう言われたといいます。

 整備士歴17年の男性:「悔しい部分がかなりありますね」

 憤りを感じているのが、自動車整備業界です。東京・葛飾区で整備工場を経営する仲井幹雄さんもその一人です。

 シフト 仲井幹雄代表取締役:「とても不愉快です。風潮が当社のような板金塗装の本業とするところにもかかってくるだろうなと。業界全体、迷惑しています」

■板金作業…若い担い手が集まらず

 ビッグモーターの問題が尾を引くなかで、ある問題も深刻化しています。

 仲井代表取締役:「やめる方・廃業した方も結構います。やっぱり人手不足になると思います」

 国土交通省によると、日本の自動車保有数は近年、増加傾向にあります。

 しかし、整備士の数は2012年度におよそ34万6000人いましたが、2021年度には33万4000人と1万人以上減少しています。

 なかでも熟練の技が必要な板金作業は、若手が集まらないといいます。

 シフト 整備士歴32年 栗原毅さん:「これが黄色・赤・青。下がメタリックと呼ばれるキラキラした、そういう種類です」

 整備士歴32年の栗原さんが見せてくれたのは、50種類以上ある塗料の中からいくつか選び、塗装する車に合う色を作り出す作業です。

 実際の車は日焼けしているため、微妙に色が違うこともあるそうです。

 栗原さん:「(Q.これは一緒じゃない?)もうちょっとです」

 調整を繰り返すこと4回、色が完成しました。これが熟練の技です。

■整備士不足で「車検」にも影響

 ベテランの力でなんとか機能している整備業界。しかし…。

 仲井代表取締役:「(修理に)待っていただくのが現状です。場合によっては1カ月くらい」

 こちらの女性は、7月にひょうで車が傷つき、近くの整備工場に修理を依頼しましたが…。

 車修理を依頼した女性:「『今からだと1年後になると回答しなきゃいけない』と言われた」

 キャンセルが出たため、予定より早く修理できることになりましたが、それでも依頼から2カ月待つことになりました。

 車の整備・修理を待つ人が増えている現状。専門家によると、すべての車に義務付けられている車検にも、影響が出ているといいます。

 自動車ライター 桑野将二郎氏:「車検を通したくても整備士が足りなくて、すぐに作業にかかれない。そういう現場も実際に見てきている」

■「汚い」「危険」「きつい」イメージはもう古い

 深刻な人手不足の原因は、「汚い」「危険」「きつい」、いわゆる3Kのイメージが若者を遠ざけているといいます。

 福井自動車 土田千恵代表取締役:「『きつい』『汚い』『危険』というふうに整備士になっても面白くない。夢がないなというふうに思っている人が多いと思う」

 しかし、「そんなイメージはもう古い」といいます。工場を案内してもらいました。

 土田代表取締役:「リフトを使って車の方を上げて作業するようになっているので、整備士の身体的負担は随分軽くなっていると思います」

 昔はジャッキを使い、車を持ち上げる工場が多かったため、バランスを崩した車が落下し危険な事故も起きていました。今はリフトで持ち上げる工場が多く事故も減少しているといいます。

 車検で入庫している車の様子を見てみると、車とつないでいたのは電子パッドでした。

 土田さん:「(Q.どんどん(モニターに)出てきているのは?)読み込んでいるんです。コンピュータの情報を」

 かつての点検は、整備士が直接触って判断するのが基本で、そのため、油などで汚れてしまうこともありました。

 今は車が進化したため、電子パッドで点検できるようになり、汚れず効率よく仕事ができるのです。

■お金の面も理由に?「やり方を変えるように」

 整備士が減っている理由は、お金の面にもあるといいます。

 一般的な整備士の給料は、サラリーマンの平均給料と比べると月収でおよそ7万円少なく、年収だとおよそ106万円の差があります。

 こちらの工場では、従業員の給料に還元する取り組みも行っています。

 土田代表取締役:「昔の整備工場は代車も無料で貸すし、洗車もするし、納車も引き取りもタダでする。皆無料サービスでやるのが当たり前みたいな感じだったので。それはそれなりの対価を頂くというやり方に変えるようにしています」

(「グッド!モーニング」2023年9月13日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事