パンを焼かない? 少し変わった「夜のパン屋」 “物価高”売れ残り引き取り再販売(2023年9月11日)

パンを焼かない? 少し変わった「夜のパン屋」 “物価高”売れ残り引き取り再販売(2023年9月11日)

パンを焼かない? 少し変わった「夜のパン屋」 “物価高”売れ残り引き取り再販売(2023年9月11日)

 夜しか開かない、少し変わったパン屋さんがあります。しかも、パンは焼きません。どういうことなのでしょうか?

■フードロスを減らして収益改善へ

 夕方、東京・港区のJR田町駅前にあるオフィス街の路地に集まる人たち。皆さんのお目当ては、テーブルにズラッと並んだパンです。

 店員:「いらっしゃいませ。夜のパン屋です」

 「夕方以降にしか営業しない」という、その名も「夜のパン屋さん」。なぜかというと、このパンの数々は、実は他の店で売れ残ったものを引き取り、再販売しているのです。

 利用者:「色んなパン屋さんの残ったものを持ってきて、ここで売っていると聞いて。なかなか買いにいけないですもんね、色んなお店に…。珍しいパン屋さん(とか)」

 パンの売り上げの半分はパンを提供してくれた店舗に、残りの半分は夜のパン屋さんの売り上げになります。売れ残ったパンを引き取り、販売することでフードロスの削減に寄与し、物価高で経営が圧迫されたパン屋の収益改善にもつながるという新たな取り組みです。

 夜のパン屋さん 光枝萌美さん:「現在、全国で26店舗の店が『夜のパン屋さん』に参入している。ここに来ると、色んな店のパンが一挙に並んで買うことができる。それも楽しみの一つかなと思います」

 都内にある夜のパン屋さんの提携先である「弘法寺 寺パン」では、夕方近くになると、残りが少なくなったパンの中から、売れ残ってしまうであろうものを選び始めます。食パンや菓子パンなど2~3種類を一つの袋に入れて、セットにします。

 そこに、夜のパン屋さんが引き取りにやってきました。

 光枝さん:「ありがとうございます。お願いします。お預かりします」

 この日は、10セットを託しました。

 「弘法寺 寺パン」 眞壁光明店長:「売り上げにもつながる。夜のパン屋さんはちょっと違う場所、駅のそばで販売している。弊社としては良いPRというか、非常にありがたくやらせてもらっている」

■夜のパン屋さん 新たな仕事を提供

 「夜のパン屋さん」ができた意外なきっかけとは…。パン屋で売れ残った商品を引き取り、再販売し、フードロス削減やパン屋の収益改善に取り組む「夜のパン屋さん」。実は、ある社会活動から派生した取り組みでした。それは…。

 ビッグイシュー東京事務所 佐野未来所長:「ビッグイシューの事業というのは雑誌を作って、ホームレス状態の人が仕事をしたいって来た時にその雑誌を街頭で売ってもらう事業なんですけれども。それが街頭に立てなくなるかもしれないっていうことで、新たな仕事の場を作ろうと、夜のパン屋さんを始めたのがきっかけです」

 ホームレスや生活困窮者の支援を行うビッグイシューが夜のパン屋さんを始めたのは、コロナ禍の2020年10月でした。人通りが少なくなり、街頭での雑誌販売が成り立たなくなる危機に陥り、新たな仕事の場を提供するために立ち上げました。

 現在、JR田町駅近くの他に、神楽坂でも夜のパン屋さんは開業しています。

 佐野所長:「働くことが難しい人の雇用づくりや食べ物も人も無駄にせずに、最後まで社会の中で生かしていこうよというところをやりたいと思っている。一緒に思いをはせていただければうれしいなと思っています」

(「グッド!モーニング」2023年9月11日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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