北朝鮮とロシア急接近のワケ それぞれの“思惑”(2023年9月9日)

北朝鮮とロシア急接近のワケ それぞれの“思惑”(2023年9月9日)

北朝鮮とロシア急接近のワケ それぞれの“思惑”(2023年9月9日)

北朝鮮の建国75年の記念日に合わせ行われたパレードに愛娘ジュエ氏と並んで登場した金正恩総書記。10日からは4年ぶりにロシアを訪れ、プーチン大統領と会談する可能性も報じられています。接近する北朝鮮とロシア、その思惑とは…

■娘ジュエ氏と笑顔で登場

電飾を施した衣装で夜空を彩るスカイダイビングのチーム。9日、建国75年の記念日に合わせて合わせ北朝鮮では軍事パレードが行われました。会場に姿を見せた金正恩総書記と娘のジュエ氏。2人が顔を近づけ、笑顔で言葉を交わす様子がたびたび映し出されました。北朝鮮情勢に詳しい礒崎教授が注目したのはジュエ氏の呼び方です。

朝鮮中央テレビ
「敬愛する金正恩同志と尊敬するお嬢様…」

慶應義塾大学 礒崎敦仁教授(北朝鮮政治外交が専門)
「今回は2月8日以来7カ月ぶりに彼女のことを『尊敬するお嬢様』というふうに呼んでいるわけですね。この『尊敬する』という尊称は金総書記の妹の金与正氏などには付けられたことのない特別な尊称ですから、映像などを見ていても、この親子のツーショットが大きく映し出されて、彼女は非常に特別な人物であるということを示している」

今回のパレードは2月の人民軍創設記念日、7月の休戦記念日につづく、異例の今年3回目のパレードです。

■プーチン大統領から祝電

また建国記念日に合わせ、ロシアのプーチン大統領からは祝電が送られました。

(プーチン大統領からの祝電)
「75年前、ソ連は朝鮮の地の新しい独立国家を最初に承認した。私は今後も両者が全方面で連携を拡大すると確信する」

ウクライナ情勢をめぐり孤立するロシアはここにきて北朝鮮との距離を急速に縮めようとしています。アメリカのメディアによると、ロシアのウラジオストクで10日から開催される国際会議の場でプーチン大統領と金正恩総書記が会談すると見られています。両国の接近にはそれぞれが抱える事情があります。

■接近する北朝鮮とロシア

まず、北朝鮮。公開された映像にヒントがありました。北朝鮮の新型潜水艦です。麦わら帽子をかぶった金総書記が登場。久々の肉声が披露されました。

金正恩総書記の演説
「われわれが作った初の戦術核攻撃潜水艦が祖国の青い海に自身の名前と船体を浸す歴史的な瞬間が来ました。」

北朝鮮は『戦術核攻撃潜水艦』と呼称しています。

軍事ジャーナリスト 黒井文太郎氏
「北朝鮮の港の沖合に沈んでいるだけでも脅威ですね。非常に厄介なものができたとみていいと思います」

ただし、その前提にあるのはミサイルに搭載される核弾頭の小型化です。核実験などで実際に使われたことはなく、本当に作動するのかは疑問視されています。さらなる軍事強化のためにはロシアの支援が欠かせません。

一方のロシアは、ウクライナとの戦争で、深刻な弾薬不足に陥っているといいます。そんな中、北朝鮮は旧ソ連製の兵器を運用しロシアが使用できる砲弾を持っています。

慶應義塾大学 礒崎敦仁教授(北朝鮮政治外交が専門)
「ロシアはロシアで、昨年のウクライナ侵略によって孤立感を深めている中、砲弾を提供してくれるとか、軍事面、安全保障面で協力を求められる国も減っている」

礒崎教授は、7月の朝鮮戦争休戦記念日の式典にロシアのショイグ国防相が招かれ、金総書記との会談でかなり突っ込んだ話し合いがあったのではないかと指摘。これが北朝鮮からロシアへの武器提供の下準備だったのでしょうか。さらに…。

慶應義塾大学 礒崎敦仁教授(北朝鮮政治外交が専門)
「北朝鮮にとってロシアの重要性というのは、国連安保理の常任理事国で、いざという時に拒否権を発動してくれる。『ロシアにすり寄ってる北朝鮮』というものを使う、そういう意味合いが出てきたということ」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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