カンボジア総選挙 フン・セン首相率いる与党圧勝も…辞任表明 長男へ政権移譲(2023年8月1日)

カンボジア総選挙 フン・セン首相率いる与党圧勝も…辞任表明 長男へ政権移譲(2023年8月1日)

カンボジア総選挙 フン・セン首相率いる与党圧勝も…辞任表明 長男へ政権移譲(2023年8月1日)

 カンボジアで行われた総選挙で、フン・セン首相率いる与党「人民党」が圧勝する見通しだ。しかし、大勢判明後にフン・セン首相(70)は辞任を表明。カンボジアで今、何が起きているのだろうか?

■フン・セン首相 長男へ「政権譲る宣言」

 フン・セン首相:「私は、8月22日をもって、首相を辞任することを表明します」

 カンボジアのフン・セン首相が40年近く務めてきた首相の職から退くと明らかにした。

 そして、長男のフン・マネット氏(45)が、次の首相になることを明らかにした。

 先月23日、カンボジアで行われた任期満了に伴う下院の総選挙。開票後、与党「人民党」は125議席中120議席を獲得し、圧勝となる見通しを示した。

 フン・セン氏は正式な選挙結果が出る前に、長男に政権を譲ることを宣言した格好だ。

 フン・マネット氏(クメールタイムズ 先月24日):「投票に行った全国の人に言いたい。愛する政党として選んでくれてありがとう」

 長い内戦を経て民主化への道を探ってきたカンボジアに、今、何が起きているのか?

■首相辞任後も…党首は継続 影響力行使か

 1970年、クーデターによるロン・ノル政権発足以降、ポル・ポト派による国民の大量虐殺やベトナムによる侵攻など20年余りにわたり、戦乱と国内混乱が続いてきたカンボジア。それに終止符を打ったのがフン・セン氏だ。

 1985年に首相に就任し、1991年にパリで和平条約を結び内戦は終結に向かった。日本では1992年、カンボジアへのPKO参加を巡り、徹夜で与野党の攻防が続いていた。

 桜内義雄衆院議長(当時):「速やかに投票されることを望みます」

 共産党は時間切れを狙った「牛歩戦術」に出るも法案は可決した。日本はPKOに参加し、初めて自衛隊をカンボジアに派遣した。

 翌1993年、民主的な総選挙が行われ、新生カンボジア王国が誕生した。

 末延吉正氏(1993年):「ポル・ポト派の村のすぐ近くにあるタイの国境、国軍の場所で取材をしていますが、外れた弾が飛んできて危険です」

 当時、暫定政府の第2首相を務めていたのがフン・セン氏だ。

 フン・セン第2首相(当時):「(Q.ポル・ポト派が新政府に参加したいと考えていると思うか?)そうは思わない。参加したいなら攻撃してこないはずだ」

 フン・セン氏は38年間、首相を務めるなかで、今回を含め7回の民主的な選挙を行ってきたが、聞こえてくるのは“独裁”という批判の声だ。

 今回の総選挙では、主要な野党「キャンドルライト党」が書類の不備を理由に参加が認められなかった。

 キャンドルライト党 スポークスマン:「これが自由で公正な選挙だとどうして言えますか?退屈な選挙ですよ。具がないお鍋のようにつまらない」

 独裁的な政治姿勢を強めるフン・セン氏。「人民党」党首は続けるとしていて、今後も影響力を行使する考えとみられている。

■“独裁色”が強まるカンボジア

 カンボジアで独裁化が進んでいる背景を見ていく。

 2000年代中ごろからフン・セン政権は急速に中国に接近し、多額の援助をもとに経済成長を目指したが、経済格差など社会のひずみも生んでいた。

 2013年の総選挙では、こうした人々の支持を得た野党「救国党」が55議席を獲得し、与党「人民党」の68議席に迫る躍進を果たした。

 すると、2018年の前回の総選挙を前に「救国党」の党首を国家反逆罪で逮捕し、解党へと追い込んだ。

 その結果、与党「人民党」は、この選挙で全125議席を独占した。

 今回の総選挙でも、同様の動きが見られた。

 去年6月に行われた地方議会選挙では、「救国党」の流れをくむ「キャンドルライト党」が「人民党」に次ぐ18.91%の議席を獲得し躍進を遂げた。

 すると、今回の総選挙で「キャンドルライト党」は、書類の不備を理由に参加が認められなかった。

 こうした動きに、国際社会から批判の声が上がっていて、アメリカ国務省のミラー報道官は「選挙は自由でも公正でもなかった」として、一部の対外援助プログラムを一時停止し、民主主義を損ねた個人へのビザ発給の制限を発表したと、ロイター通信は報じている。

 有力野党が排除された総選挙で、国民が独裁にNOを突き付けるには「無効票」を投じるしかなかったのだが、今回の選挙ではそれすらも制限されていた。

 現地メディアによると、政権側は選挙法を改正し、投票のボイコットや無効票を投じることを促す行為に罰則を設けるなど、締め付けを強化したという。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年8月1日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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