【報ステ解説】大雨、山火事も…命に関わる“危険な暑さ”続く「世界同時熱波」原因は(2023年7月18日)
東京都心では18日、37.5度まで気温が上がり、今年最高に並ぶ暑さとなりました。
営業で外回り中の人:「さすがに7月になって、上着はやめた。これ(半袖シャツ)でも汗びっしょり。(Q.この暑さで出勤したくない)起きた瞬間、そのままエアコンの(きいた)中で寝ていたいと思う」
都心の気温は、午前6時過ぎに30度、その約3時間後には35度に達し、この10年で最も早い時間の猛暑日(テレビ朝日ウェザーセンター調べ)となりました。
18日、日本で一番暑かったのは、三重県桑名市。最高気温39.0度を観測しました。
街の人:「もうしんどいです、歩くのが」「こんなに暑くなかったもんね昔は」
愛知県によると、17日に熱中症の疑いで178人が救急搬送され、このうち、60代の男性2人が死亡していたことが分かりました。
群馬県玉村町。道の駅では、この暑さのなか、キッチンカーが営業していました。
ばくだん焼本舗・小板橋貴行さん:「きょうも暑いですね。血液が沸騰しちゃいますよね」
こちらの主力商品は、たこ焼き8個分という『ばくだん焼』ですが、オープン早々「売切れました」の文字。
ばくだん焼本舗・小板橋貴行さん:「気温が35度を超えてくる場合は、内部のほうが50度超えてしまう」
18日は、鉄板を1枚だけ使いました。営業中は、エンジンがかけられないため、エアコンが使えず、扇風機が頼りです。
ばくだん焼本舗・小板橋貴行さん:「まだ(時間が)早いんで、もう少しすれば45度くらいになる。人気商品(ばくだん焼)なので、どうしても売りたいのは売りたいが、自分の身も守らなければいけない」
この猛暑で熱くなっているのは、空気だけではありません。
菅原雄斗記者:「午後4時過ぎの東京・港区です。歩道の温度を測ってみると、50度近くあります。歩道に止まっている自転車のタイヤ部分は40度を超えています」
猛暑の影響は自転車にも。都内にある、サイクルショップを取材しました。
サイクルオリンピック青山・引地康之店長:「今だいぶ自転車修理をお預かりしている状況でして。早くても今週末まで、お時間いただきます」
いつも以上にタイヤの空気が膨張するため、修理が絶えません。
サイクルオリンピック青山・引地康之店長:「パンクの原因に関しては、やはり猛暑による暑さで、タイヤとチューブが破裂してしまって、チューブ交換になるお客さまが非常に増えております。例年に比べて、2倍ほど多くなってきております」
空気の入れ過ぎにも、注意が必要です。特に古いタイヤは、事前に亀裂などをチェックしてほしいということです。
異常な暑さの影響は海外でも。大西洋に浮かぶスペイン領ラ・パルマ島。“美しい島”と呼ばれる、この島が山火事で危機に瀕しています。山火事は15日に発生。続く熱波と強風の影響で、瞬く間に燃え広がり、これまでに46平方キロメートルあまりが焼け、少なくとも住民4000人が避難しました。
消防士:「困難な状況でした。風向きが頻繁に変わるし、ここ数日は暑かった。でも、なんとかやっています」
山火事はギリシャでも。17日、アテネ近郊や南部で山火事が相次ぎ、数千人が避難する事態となりました。こちらも気温の上昇や乾燥が続くなかでのことです。
住民:「(Q.火災が起きた時はここに)いましたが、炎を見て避難しました」「大変ですよ。10年前も山火事があって、またですから」
世界から観光客が集まるイタリア・ローマ。17日の最高気温は39度と、ギリギリ40度を下回ってはいますが、炎天下、行列に並ぶのは拷問のようなものです。
フランスから来た人:「我慢できるけど、この時間の外出はおススメしません。どこも行列で耐えられない」
南アフリカから来た人:「とても暑い時期なのは知っているけど、南アフリカ出身なので慣れています。向こうは50度になることもあるので普通です」
オーストラリアから来た人:「1年前に予約したので決行しましたが、40度になるとは…」
アメリカから来た人:「最悪の暑さ。歩き回るのやめてホテルに帰りたい」
17日は、スペインで40度を超える地域が相次ぎ、中国では、16日に新疆ウイグル自治区で、7月中旬としては観測史上最高の52.2度を記録しました。特にアフリカからやってくる熱波の影響を受けるスペインやイタリア、ギリシャの気象当局は、今後も気温が上昇し、特に週後半は40度を超える場所もあると予想しています。
■世界を襲う“熱波”その原因とは
気象予報士・眞家泉さんに聞きます。
(Q.世界各地で同時に熱波が襲っている原因は何ですか)
眞家さん:「原因と考えられるのが、偏西風の蛇行の幅が大きくなっていることです。北極付近と赤道付近の気温差が小さくなっていることが原因としている人もいます。偏西風の南側で高気圧が強まっていて、この影響で気温が上がっている場所が多くなっています。アメリカ・デスバレーで54.0度、東京で37.5度、新疆ウイグル自治区で52.2度、スペイン南部で44.8度を観測するなど、偏西風の南側で異常な暑さとなっています。
(Q.今年の夏は、こういう傾向が続きそうですか)
眞家さん:「この先もしばらく続くと考えられます。今後の予想を見てみると、日本付近の高気圧はいったん弱まりますが、週末にかけて強くなりそうです。ヨーロッパ付近やアメリカでは、高気圧の移動があまり見られず、同じ場所で暑さが続きそうです。この高気圧の下では『ヒートドーム』と呼ばれる現象が起きています。高気圧が強まると、どんどん空気が圧縮されて気温が上がります。さらに、高気圧が移動できないと、この状況が続き、長期間、熱がたまり続けてしまいます」
(Q.ここ数日の日本の暑さも、ヒートドームが原因ですか)
眞家さん:「そうですね。日本付近でも高気圧の強まりによって、空気が圧縮されたことが記録的な暑さにつながっていると思います。そして、偏西風の蛇行は大雨ももたらします。日本付近の状況を見てみると、中国大陸で偏西風が南に蛇行しています。境目には湿った空気が集まりやすく、前線が活発化しました。そのため、韓国から東北で記録的な大雨となりました。」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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