ロレックス強盗「何のことですか?」乗り込んだ警察官に スピード逮捕の“舞台裏”(2023年7月14日)

ロレックス強盗「何のことですか?」乗り込んだ警察官に スピード逮捕の“舞台裏”(2023年7月14日)

ロレックス強盗「何のことですか?」乗り込んだ警察官に スピード逮捕の“舞台裏”(2023年7月14日)

 現場から逃走中に転倒し、あわてふためく男たち。容疑者を乗せた特急を確認する警察官。そして身柄確保の瞬間をカメラが克明に捉えていました。甲府市の時計店で起きた強盗事件。狙われたのは、また高級腕時計です。一体なぜ、時計店ばかりが。

■山梨 ロレックス強盗“確保の瞬間”

 白昼の確保劇。カメラが一部始終を捉えていました。13日午後1時前の東京・立川駅。特急の到着を待つ捜査員。旅路・家路につく人々のなか、警棒を手に物々しい雰囲気です。

 午後12時43分、特急かいじ20号が駅に到着します。警察官が何かを見つけ、車内を指差します。すでに列車には数人の警察官が見えます。座席に座っているのは白いマスクと黒いマスクの若い男。奥に白いハーフパンツの男も見えます。

 ホームに降りた男。ボディチェックを受けています。ハーフパンツの男はかばんを肩に、しっかりした足取りでエスカレーターに乗ります。多くの人が行き交う駅構内を、20人ほどの警察官に囲まれ、交番へ連行されていきました。この後、立川署で緊急逮捕されることとなります。

 山梨県甲府市の時計店に押し入り、4人が逮捕された事件。犯行からわずか2時間ほどでの逮捕劇。

 時系列を遡って見てみます。事件が起きたのは13日、山梨県甲府市。立川駅での映像から遡ること2時間ほど前のことです。場所は甲府駅前にある山梨県内有数の繁華街にある時計店。

■商店街で目撃 容疑者“不審な動き”

 14日午後、被害者である店主に話を聞きました。

 被害店舗のオーナー:「悔しいですけど、一瞬のことなのでもうどうしようもない。妻も周りの友達もけががなくて良かったねと。私もそう思っている」    
             
 容疑者らは、すでに事件前から不審な動きを目撃されていました。

 近所で働く人:「(きのう)朝10時15分くらいにここを通ったが、20代くらいの若い男の人がいて真ん中にバイクがある状態で電話しながら座っていた。帽子も何もしていなかった。顔も見えた状態。この時間にずっと座って電話している人ってここではめったにないので、工事をしている人にしてもちょっと不自然だなと思った」   
 
 他の社員も不自然な動きを見ていました。

 近所で働く人:「別のスタッフが通った時には帽子をかぶっている状態で目だけ出しているというのが見えた。原付だったと思う。バイクはここに止まっていた。20代前半くらいの若者だと思う」

 相次ぐ目撃者。それもそのはず、商店街が開店準備に忙しい午前11時前の話です。

■カメラが捉えた“ずさん”犯行全貌

 そして午前11時5分ごろ、事件が発生します。時計店に押し入ったのは3人。2人はバールのようなものを持ち、1人はナイフのようなもので店主を脅します。 
                      
 被害店舗のオーナー:「こう刃物を持って『殺すぞ』って。怖かった」

 男3人はショーケースをたたき割り、ロレックスなど腕時計、およそ2300万円相当を奪い逃走しました。白昼の犯行、当然、音も聞こえていました。

 近所で働く人:「ガラスのガシャンという音を2回聞いた。店舗自体がドアを開けているので遠くの方で音がしている感じ。近くに工事現場もあるのでその音かなと」

 近くで作業していた人:「ガシャンって聞こえて最初(工事の)足場かなと。足場にぶつかったのかと見たら警察がきた。ガシャンは結構大きかった。あとはバイクの音がちょっと聞こえた」

 犯行前から目撃されるなど“ずさん”とも思える犯行。逃走の様子はカメラにも映し出されていました。

 2人乗りのバイクがメイドカフェの看板に衝突。何かを色々落とします。慌てた様子で再びバイクに乗る際は、看板に足をぶつけます。落としたものはそのままで、かばんは必死に拾い持って行きます。
                        
 バイクに乗って逃げたとみられるのは2人。その後どこかで車と合流し、バイクを積みます。運転手役は3人とは年の離れた下崎星児容疑者、42歳。4人が乗った車は最寄りの甲府駅は使わず、直線距離にして6キロほど離れた石和温泉駅に向かいます。そこで実行犯の3人は車を降り、東京へ向かう特急「かいじ」に乗ります。

 運転手役の下崎容疑者は、その後、甲府市方面へ向かい警戒中の警察官に発見されます。車を乗り捨て逃げたところを確保されました。

■「強盗やるとは」ブドウ畑で連行

 その瞬間の映像です。ブドウ畑の下を連行されていく様子が映し出されています。特に抵抗する様子は見えません。事件前から目撃されていた容疑者ら。確保されるところも目撃されていました。

 身柄確保の様子を見た人:「ここで中に容疑者がいて、警察が2人くらい一緒に入って確保した。特に暴れている様子もなく、されるがままじゃないけど『何で逃げるんだ』『何をとったんだ』とか、そんな感じで怒鳴り声が聞こえた」

 42歳の下崎容疑者は闇バイトに運転手役として応募。他の3人とは面識がないと容疑を否認しているそうです。

 下崎容疑者の供述:「強盗をやるとは思わなかった」
             
 なぜ、二手に分かれて逃げたのでしょうか。

 元埼玉県警捜査1課 佐々木成三氏:「捜査を攪乱(かくらん)するうえで2つに分かれることは実行犯の考えではなく、指示役の考えで行った可能性が高いと感じる」

 東京へ向かった小原澤亮太容疑者ら3人。確保の舞台裏が分かってきました。県境を跨いだ逮捕劇。スピード逮捕の背景にはギリギリの連携がありました。

■「何のことですか?」乗り込んだ警察官に

 山梨県甲府市で起きた時計店強盗。わずか2時間後、立川駅で確保された“舞台裏”が分かってきました。

 石和温泉から特急に乗った3人。石和温泉を11時37分に出発、八王子までの1時間ほど電車に揺られます。捜査関係者によると、山梨県警から情報を得た警視庁の警官らが八王子駅からギリギリで乗り込みました。3人組を発見しましたが、所持品検査にも応じず「なんのことですか?」ととぼけます。そうこうしているうちに電車が出発してしまいます。立川駅で降りるよう説得し、降ろしました。そして、冒頭の立川駅での映像へとつながります。犯行からおよそ2時間ほどでの逮捕となりました。

 確保された際の映像を見ると、それぞれかばんを持っているように見えます。被害品はまだ戻ってきていません。

 元埼玉県警捜査1課 佐々木成三氏:「指示役は自分が捕まらないように受け取り役も闇バイトを雇う。逮捕される者は今回の4人以外にも出てくる可能性が高い」

 一体、なぜこの店が狙われたのか。新たに分かったことがあります。12年前、同じ店舗で強盗被害に遭っていたことが分かりました。

 被害店舗のオーナー:「(Q.移転される前も被害に?)ありました。闇サイトっていうんですか、いまはやりのね。5万円か10万円か20万円か知りませんけど、もっと自分を大事にしてほしい」   
                        
 実行犯役の3人についても分かったことがあります。3人はいずれも栃木県出身で顔見知りだったということです。

 白昼の犯行、ずさんにも見える手口。闇バイト。今年に入り何度もみられる犯行ですが、今回は地方都市で起きました。

 元埼玉県警捜査1課 佐々木成三氏:「土地勘のない者がその場所で集まって(犯行を)行うのも闇バイトの特徴。土地勘のない場所で行うということが、捕まるリスクが低いということをそそのかしていた可能性もある」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事