【報ステ解説】「地震が来たかと…」茨城で建物が倒壊 関東で連日の突風 原因は?(2023年7月12日)

【報ステ解説】「地震が来たかと…」茨城で建物が倒壊 関東で連日の突風 原因は?(2023年7月12日)

【報ステ解説】「地震が来たかと…」茨城で建物が倒壊 関東で連日の突風 原因は?(2023年7月12日)

茨城県行方市で12日、突風によって建物が倒壊するなどの被害がありました。

行方市の国道沿いにある建築会社の倉庫がひっくり返り、国道を塞いでいました。行方市の近くにある観測点では、午後5時ごろに、最大瞬間風速29.6メートルを観測していて、竜巻注意情報が発表されていました。
ひっくり返った瞬間、倉庫の中にいた人は、こう話します。
倉庫の中にいた人:「すごい地震が来たのかなと思った。目の前が真っ白になって。(Q.風はどうだった)今まで感じたことない、飛ばされる感じで。車があったので物陰に隠れる感じ。とりあえず、生きててよかった」

さらに、上空からの映像では、別の建物の屋根も飛ばされ、電柱も折れているのが確認できます。現場周辺では、約100軒が停電しています。
近所の住民:「突風があってから、すぐ電気消えた。(Q.そのときの状況は)相当に怖かった。かなり強かった。早く復旧してもらって、エアコンいっぱいつけて。ご飯もお風呂もできないので」

名古屋でも天気が急変。午後3時前には、最大瞬間風速が35.4メートルという台風並みの風が吹きました。市内の中心部では、公園の木が、根元から倒れました。警察などの話では、木の高さは10メートル以上あり、
ゲリラ雷雨が原因で倒れたとみられています。

11日は、関東でも天気が急変しました。埼玉県幸手市の住宅に設置された防犯カメラの映像。午後6時35分、空は晴れていました。しかし、雷鳴が轟き、天気が急変。わずか5分後、突風で、住宅の屋根が吹き飛びました。

一夜明け、被害の状況が明らかになりました。吹き飛ばされた住宅の屋根は電線を巻き込み、田んぼに落ちました。その影響で、この一帯の住宅は、停電が起きています。
屋根が飛ばされた家の住民:「一気にバーっときて、突風だと思ったら、そうじゃなくて。そこからさらに、ものすごい風と雨が吹き荒れて」

許可を得て、2階に上がってみると、屋根の跡形は、まったくありません。
屋根が飛ばされた家の住民:「(Q.家財道具とかも)水と風で、ぐちゃぐちゃ。(Q.飛んではいかなかったけど)ひどかった、ぐちゃぐちゃ。(雨が)ベニヤの下にしみこんで、下の居住区域に漏れていた。きょうはまだ別宅で寝る。戸締まりしようもないし」

近所の住宅にも、被害は及んでいました。市の調べでは、幸手市で39件、警察の調べでは、加須市で19件の被害が出ています。

13日も、東日本から西日本は大気の状態が不安定となり、雷雨や竜巻などの突風に警戒が必要です。

◆気象学が専門の名古屋大学・坪木和久教授に聞きます。

(Q.茨城・行方市では、電柱が倒れたり、建物が吹き飛んだりしました。原因は何が考えられるのでしょうか)
突風が起こったとき、強い積乱雲が行方市の上にあり、この積乱雲が突風をもたらしたと考えられます。突風には、竜巻とダウンバーストによるものがあります。現在の限られた情報で、どちらかと判断をするのは難しいですが、映像を見る限りでは、ダウンバーストの可能性があると感じています。

突風には積乱雲が、大きく関係しています。積乱雲は、上空に冷たく重い空気があり、地上には暖かく軽い空気の層がある状態のときに発生しやすくなります。暖かい空気は上へ昇り、冷たい空気は下へ降りようとする。そのため“対流”が起き、雷やひょう、急な大雨など、激しい気象現象が起こりやすくなります。

そして積乱雲による突風は、主に2つあります。竜巻とダウンバーストです。

竜巻は、地面付近にあった弱い渦巻きが、強い上昇気流によって上下に引き伸ばされ、激しい渦巻きが発生することででき、漏斗状の雲を伴います。

ダウンバーストは、積乱雲から勢いよく吹き降りた冷たい空気が、地面にぶつかって広がるときに強い風が吹く現象です。

(Q.11日は埼玉・幸手市で突風被害が出ています。なぜ、関東で突風が頻発しているのでしょうか)
幸手市に関しても、限られた情報で難しいのですが、竜巻の可能性があるかなと思っています。

竜巻やダウンバーストが頻発するのは、日本海上に梅雨前線があり、その南側に大量の水蒸気が西から東に流れて、それが関東平野に流れ込んでいます。この湿った空気があるということと、関東地方が非常に高い気温になっていて、大気の状態が非常に不安定だということです。さらに、関東地方は南風が地面付近にあり、上空は西風。下から上になるにつれて、風が時計回りに返ってくる。こういったときは、スーパーセルと呼ばれる積乱雲のようなものが発生しやすい状況にあります。この突風や竜巻は、スーパーセルのような性質を持った積乱雲をもたらしたのではないかと思います。

(Q.関東は12日、非常に暑かったのですが、暑さが突風の要因になっているのでしょうか)
暑いだけでは積乱雲は発生しませんが、暑いということと、さらに湿度。水蒸気が大量に入ってきている。梅雨末期でこの両方が、いま、混ざったような状態になっていて、かなり特殊な状況になっています。梅雨前線が長期間停滞していますので、このような状態が長期間続いているということです。そのために連日、突風が発生していると考えられます。

(Q竜巻やダウンバーストですが、どのような兆候がありますか)
竜巻にしても、ダウンバーストにしても積乱雲がもたらしますので、外で黒い雲が見える、雷鳴が聞こえる、ひょうが降る、冷たい風が、突然、吹いて来る。こういったことが起こると、積乱雲が近くにあって、竜巻やダウンバーストが今にも起こりそうな状況であると考えてもらい、そのような場合は、しっかりした建物の中にすぐに避難することが必要になってきます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事