通行料4万円トラブル道路正常化で10日から通行再開私有地めぐり騒動20年もっと知りたい(2023年7月10日)

通行料4万円トラブル道路正常化で10日から通行再開私有地めぐり騒動20年もっと知りたい(2023年7月10日)

“通行料4万円”トラブル道路 「正常化」で10日から通行再開 私有地めぐり騒動20年【もっと知りたい!】(2023年7月10日)

 茨城県の沿岸部を通る全長およそ15キロの「波崎シーサイド道路」。この私道の途中が私有地となり、通行者が地権者から4万円の通行料を求められるトラブルが相次ぎ、通行止めが続いていました。

 このトラブルは15年以上続いていましたが、10日午前10時30分から通行が再開されることになりました。現地では喜びの声が上がるなか、意外な事実が見えてきました。

■破れた領収証…高額な通行料 一体何が?

 「¥40000也」という上下に破れた跡がある1枚の領収証は一体、何に発行されたものなのでしょうか?なんと、この道路の通行料として発行されたものなのです。

 高額な通行料が課されるのは、茨城県神栖市にある「波崎シーサイド道路」です。神栖市議会でもたびたび議題に上がり、町で知らない人はいないほどの“いわくつきの道路”とされています。

 神栖市議会・石井由春議員(3月):「シーサイド道路の解決とか、色々な負の遺産や難題をこれまで解決してきた。頭の下がる思いがします」

 一体、何が起きたのでしょうか?

 1970年、神栖市の海沿いに開通した「波崎シーサイド道路」。町の南北をつなぐ市道として、地元住民はもちろん、キャンプ場や海水浴場を訪れる観光客にも利用されていきました。しかし、通行止めの看板が立ち、車が入れないようになっています。

 1994年、道路沿いの土地を購入した地権者の男性が「道路の一部が私有地だ」と主張しました。2004年の裁判でその主張が認められてからは、高額な通行料を設定し、バリケードや防犯カメラを置くなどの強硬姿勢を見せました。

 一方、神栖市も「迂回(うかい)せよ」「この先、私有地あり」などと書かれた看板を設置するなど注意を呼び掛け、実質通行できない状況が続いていきました。

 その結果、これまで直線ならおよそ3キロで行けた道が迂回を強いられ、5キロかかることになりました。

■長い膠着の末 和解金1900万円合意も…

 この特殊な事態に、グーグルマップでも影響がありました。

 近くのキャンプ場に来た人:「ナビでは通れるようになっていた」「ただ、グーグルマップは迂回になっていた。カーナビとグーグルマップが全然違って」「結構分かりづらい」

 車1台が通れる幅は残されているため、バリケードを無視して、そのまま通行してしまうと、車の後ろには逃げられないようトラックが止められ、通行料として4万円もの大金が支払われるといいます。

 通行したことがある人:「バラックがあって、そこから人が出てきて、お前らなんだって」「ちょうど持ち合わせがなかったんですよ。だから、『ATMにおろしに行っていいか』と言ったら、『いや身内でも誰でも持って来いと。そんなの関係ねえ』と」

 こうしたなか、神栖市も地権者の男性と交渉を続け、トラブルの解決を図ろうとしてきました。

 市の関係者:「担当の方たちもなすすべがないじゃないですけど、相手方との了解、相談も進まなくて、道路整備課というところに特別対策室をつくりながら、課長も何人も代わっても全く進展の見えない問題でありました」

 長く膠着(こうちゃく)状態が続いていましたが、今年3月、市と男性は土地の売買契約を結び、和解金1900万円を支払うことで合意しました。これまで私有地だった土地は、市のものとなりました。

 多くの人を悩ませてきた“シーサイド道路”ですが、10日午前10時半から無料の道路として通行できるようになります。

 道路をよく利用する人:「うれしいです。(今後は)アクセスもいいですし、キャンプ場や海に行くのも行きやすくなるはず」
 近くに住む人:「回り道しなくていいので、楽なんじゃないか」

■地権者と対立も…通行料交渉も領収書を破棄

 和解成立後、市はおよそ200万円の予算をかけ、道路の白線や舗装を修繕し、開通に向けて準備を進めてきました。一見、問題は解決したように見えますが、火種は残っています。

 通行したことがある人:「私たちも市のほうで買い取ったというのを聞いたので、ちょっと見に来たという話をしたが、『いやお前ら入ったんだから、お金もらわなきゃしょうがない』と言うので、『そこの看板見て入ってきたのか』という話だったんですよ」

 なんと和解成立後の4月時点でも、高額な通行料を請求されたというのです。

 よく見ると、先ほどの領収書にも「令和5年4月7日」の文字があります。さらに、この領収書を受け取った男性は通行料を安くするよう地権者の男性に交渉しましたが、男性は怒りをあらわにして、領収書を破ったといいます。

■地権者「残りの土地は売る気はない」

 なぜ、和解成立後もトラブルが起きているのでしょうか?番組は地権者だった男性に直接、話を聞きました。

 地権者だった男性:「残りの土地は売る気はない。開通に関しても納得していない」

 神栖市によると、通行止めとなっている区間には、他にもこの男性を含めた複数の地権者が存在する共有地があり、開通が決まった現在も話し合いが続いています。

 完全に解決したわけではないなかでの道路の通行再開。10日、再開前には神栖市長が道路を訪れ、公用車で通行するなどのセレモニーが行われるといいます。

 市の関係者:「事の発端は、行政が間違って敷地に道路をつくってしまったこと。行政がまいた問題であるにもかかわらず、セレモニー、テープカットを行うのはいかがなものか。驚いているところです」

(「グッド!モーニング」2023年7月10日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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