目の前で蒸気噴出…40代女性が「硫化水素中毒」 入院も…三井石油開発「公表せず」(2023年7月4日)
北海道蘭越町の地熱発電の調査現場から大量の蒸気が噴き出した問題で、噴き出した瞬間に現場にいた女性が硫化水素中毒の診断を受けていたことが分かりました。
■目の前で蒸気噴出…
4日も蒸気は噴き出しています。
蘭越町に住む人:「高さと水蒸気の量が(当初の)半分くらいになっている。このまま収まってくれればいいなって」
蘭越町。地熱発電の調査現場から蒸気が噴出して5日が経ちました。掘削調査をしていた「三井石油開発」は周辺の空気中に「有毒な硫化水素ガス」が含まれていないかホームページで公表していますが、今のところ異常は見られないとしています。しかし、番組が出会ったのはこの問題で体調不良を起こした女性です。
現場にいた女性(40代):「その日は(弁当)14個、お昼に届けることになっていて、14個持っていった」
掘削調査の作業員に弁当の配達をしていた女性。先月29日、お昼前に現場に行ったといいます。車から弁当を降ろそうとした、その時…。
現場にいた女性(40代):「いきなり『バリバリバリバリ』って噴いたというか爆発したので、現場の人たちはガスマスクして走って逃げて行ったので『ただ事じゃないな』と思って私もすぐ、お弁当を置いて車で下がったんですけど」
■激しい頭痛 40代の女性が「硫化水素中毒」
これは女性が逃げた後、離れた場所から撮影した映像です。白い煙のような、大量の蒸気が立ち上っていきます。この直後、女性に異変が…。
現場にいた女性(40代):「すぐ頭も痛くなって、吐き気もともなったので…」
女性はその日のうちに入院することになりました。診断の結果は「硫化水素中毒」。硫化水素中毒の患者の診察経験を持つ医師に話を聞きました。
いとう王子神谷 内科外科クリニック・伊藤博道院長:「温泉とかで『ゆで卵』みたいなにおいがすると思うが、あれが『硫化水素』。ある一定の濃度以上吸うと、体に様々な障害が起こって、時には致命的になる。(蒸気が)噴出するということは(現場は)極めて高い濃度の硫化水素が圧縮されていたことが考えられる」
幸い、翌日には症状が治まり退院できた女性。一方で、掘削を行う三井石油開発には不信感を抱いています。退院の翌日、担当者らが見舞いに訪れたというのです。
現場にいた女性(40代):「(担当者は)その時の状況を聞いてきて『すみませんでした』っていう感じで」「(Q.硫化水素中毒というのは?)一応、伝えました。『診断書とかは必要ですか』と言ったら(担当者に)『そういうのは要らないので、公にしたくないので』と断られた」
三井石油開発は「けが人はいない」と発表しています。
現場にいた女性(40代):「現場の人じゃない人も被害に遭っていたんだよということを他の人たちにも知ってもらえたらなというのはあります」
■入院も… 三井石油開発 「公表せず」
三井石油開発は女性の存在を把握していたといいますが、なぜ公表しなかったのでしょうか。
三井石油開発のコメント:「蒸気噴出時に現場にいた作業員に体調不良を訴える者はおらず、近隣住民の皆様の不安を煽ることを防ぐため、公表を控えておりました。公表を控えることにより、かえってご不安をまねく事となりましたこと、お詫び申し上げます」
また、番組の取材に対し「公にしないでほしい」と話した事実は「ない」としています。さらに、蘭越町も女性の親族から健康被害の連絡を受けていましたが、「蒸気との因果関係が分からなかった」として公表していませんでした。
今も噴き出し続ける蒸気。専門家は現場に近付かないことが重要だと話します。
いとう王子神谷 内科外科クリニック・伊藤博道院長:「換気がいいところであれば、そこまで高い濃度にはならない。硫化水素があること自体はさほど珍しいことではない。(現場から)ある程度、距離を取れば多くの人が影響を受けるとは考えにくい」
蘭越町ではこの後、三井石油開発による住民への説明会が開かれます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
コメントを書く