ルカシェンコ氏マウント取ったかロシア内乱交渉詳細明らかに(2023年6月28日)

ルカシェンコ氏マウント取ったかロシア内乱交渉詳細明らかに(2023年6月28日)

ルカシェンコ氏マウント取ったか ロシア内乱“交渉”詳細明らかに(2023年6月28日)

 ロシアで反乱を起こし、消息不明となっていたプリゴジン氏について「プーチン大統領の電話に出なかったから自分が説得した」と明かにしたベラルーシのルカシェンコ大統領。それぞれの思惑を専門家に聞きました。

■「プーチン氏の電話に出なかった」

 当事者が交渉の内実を明らかにするという珍しいことが起きました。

 ベラルーシ、ルカシェンコ大統領:「ロシアであの出来事が起きている間、私は軍に完全な戦闘態勢に着くよう命じていました」

 反乱を企てたロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者プリゴジン氏に撤退を決断させたというベラルーシのルカシェンコ大統領です。

 ベラルーシ、ルカシェンコ大統領:「プーチンの演説の内容から、残酷な決定が下されたと察しました。私はプーチンに焦らないよう提案しました。『プリゴジン氏と話そう』と、だけど返事は『無駄だ。電話に出ようとさえしないし、誰とも話そうとしない』ということでした」

■ロシア内乱“交渉”詳細 明らかに

 ルカシェンコ大統領によると、24日の朝にロシアのプーチン大統領と協議をし、その後、プリゴジン氏と数時間話し合ったと言います。

 ベラルーシ、ルカシェンコ大統領:「最初の30分はほとんど、ののしり合いでした。ほぼののしり合いです。(プリゴジン氏は)『多くは望んでいない。ショイグとゲラシモフを手渡せ』『プーチンにも会わなければならない』と言うので、『この状況で誰も2人を手渡したりはしない』『プーチンのことはよく分かっているだろう』と返事をしました」

 ショイグとはロシアの国防大臣。ゲラシモフはロシア軍の参謀総長です。ロシアではワグネルを含む民間軍事会社に対して来月1日までに国防省と契約すること、つまり国防省の傘下に入ることを求めていました。ただ、プリゴジン氏はこれを拒否していました。

 「ワグネル」創設者・プリゴジン氏:「この戦争に加わった当初、誰も国防省と契約する義務があるなんて言わなかった。ワグネルの戦闘員は誰一人、そんな恥ずべき道を歩くつもりはない」

 ルカシェンコ大統領はモスクワに向かって進軍するプリゴジン氏に、こう警告したと言います。

 ベラルーシ、ルカシェンコ大統領:「彼(プリゴジン氏)は『欲しいのは正義だ、絞殺されようとしている』『モスクワに向かう』と言ったので、『途中で虫けらのように踏みつぶされるぞ』と言いました。たとえプーチンが私に言ったように、兵士が本来の駐留場所から離れていたとしてもです」

 ロシア軍の内情にまで触れつつ、とうとうと生々しいやり取りを明かしたルカシェンコ大統領。プーチン政権にはどのような影響が出るのでしょうか。

■内乱“交渉”裏側 プーチン氏に影響?

 ロシアの民間軍事会社「ワグネル」創設者のプリゴジン氏がベラルーシに入ったことを認めたルカシェンコ大統領。事態を収束させた自らの役割についてもその裏側を明かしました。

 一方のロシア。

 ロシア、プーチン大統領:「皆さんは憲法上の秩序、生命、市民の安全と自由を守り、祖国を大混乱から救い、内戦を阻止した」

 プーチン大統領が「内戦を阻止した」と兵士を称えたものの、ロシア大統領府はルカシェンコ大統領の発言についてコメントしていません。

■ルカシェンコ氏 マウント取ったか
 
 慶応義塾大学総合政策学部・廣瀬陽子教授:「特にプーチン大統領に対しては、ここでマウントを取ることによって、今後ウクライナ戦争にベラルーシ兵を投入してほしいという依頼も断りやすくなる。ロシアとしては、そもそも国内の争乱を自国内で収められず外国の首脳、ルカシェンコ大統領に収めてもらったということで“国の恥”。ただ体制が変わるほどの影響はないと思う」

■「アメリカは注視」戦況に影響か

 反乱の背景にロシア軍内部の確執があった可能性もあります。

 笹川平和財団・畔蒜泰助主任研究員:「ロシア軍の内部にプリゴジン氏の動きをサポートした人がいるんじゃないか。その点について米軍、アメリカは注視している」

 ニューヨーク・タイムズは情報機関から説明を受けたアメリカ政府高官の話として、反乱の計画を事前に知っていたロシア軍高官がいたと伝えています。

 笹川平和財団・畔蒜泰助主任研究員:「軍の中の対立が潜在的に残るとすれば戦況もそうだが、政権の安定性に中長期的に影響が出てくる可能性がある」

 ウクライナ東部では27日、レストランなどの建物がロシア軍が発射したミサイルの直撃を受けました。少なくとも子どもを含む9人が死亡し、56人が負傷しました。ウクライナ軍は東部や南部などでウクライナ軍が前進を続けているとしています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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