マイナ保険証に“別人情報”60件 来年秋には「一本化」困惑も(2023年6月13日)
マイナンバーカードを巡るミスやトラブルが相次ぐなか、岸田総理大臣は今の保険証を廃止してマイナンバーカードに一体化する「マイナ保険証」の方針に変更はないとしていますが、高齢者施設の現場からは困惑の声が上がっています。
■マイナ保険証に“別人情報”60件
マイナンバーカードを巡る混乱が止まりません。13日に謝罪したのは厚生労働大臣でした。
加藤厚労大臣:「薬剤情報などが閲覧される事案が生じたことにより、関係する方にはご迷惑をお掛けし、国民の皆さんにはご心配をお掛けしていることに改めて申し訳なく思っております」
厚労省によりますと、去年12月から今年5月22日までに別人の情報が誤ってマイナ保険証にひも付けられていた事例が新たに60件確認されたといいます。このうち4件では、他人の情報が閲覧されたということです。
マイナ保険証を巡っては、去年11月までに別人の医療情報が登録されていた事例が7312件確認されていました。厚労省が保険組合などに点検を要請しています。
■保険証廃止へ“マイナ一本化”困惑
来年秋に現行の健康保険証は原則廃止され、マイナ保険証に一本化される方針です。
東京・文京区にある介護付き有料老人ホーム「杜の癒しハウス文京関口」。今、医療介護の現場からはマイナ保険証について不安の声が上がっています。こちらの施設ではまだ2、3人ですが、申請に行けない入居者に代わって申請に行っているといいます。
三幸福祉会企画開発部・柳沼亮一部長:「今後、申請が(多く)始まってきた場合、誰が対応するのかという話になるので、すべてを家族では困難なので、施設のケアマネージャーとか施設長が対応することになると思うが、一度で終わるものではないので、業務的に大変なのかなという懸念はある」
■93.5%が「代理申請できない」
全国保険医団体連合会がこの春、マイナ保険証について全国の高齢者施設に行ったアンケートでは、マイナカードを代理で申請することに対応できないとした施設は93.5%に上りました。「本人の意思確認ができない」「手間労力がかかり対応できない」など理由に挙げる施設が多かったといいます。
さらにマイナ保険証に一本化した場合、その管理は誰が行うのかという問題もあります。こちらでは、施設が管理することになるだろうといいます。
■入所者のカードは施設で保管?
三幸福祉会企画開発部・柳沼亮一部長「保険証よりは個人情報がたくさん入っているものなので、悪用される可能性は低いと発表あるが、どこでどのように悪用されるか想像ができないので、今まで以上に管理をしていく」
また、暗証番号設定の問題もあるといいます。すぐに忘れてしまう人やメモをしてもなくしてしまう人が多いというのです。
■カード管理 94%が「できない」
高齢者施設などへのアンケートでは、利用者や入所者の暗証番号を含むマイナカードの管理について94%が管理できないとしました。「カード・暗証番号の紛失時の責任が重い」や「不正利用、情報漏洩(ろうえい)への懸念」などが理由に挙げられました。
現行の保険証が廃止されてマイナ保険証に切り替わったら“取りこぼされる”高齢者が出てしまうのではないか、今、そんな懸念が強まっています。
三幸福祉会企画開発部・柳沼亮一部長:「個人的な話になるが、できれば行政の人が施設に来て、入居されている人との顔と状況の確認。『この人は意思表示できないんだな』などを確認してもらい、まとまってマイナカードが申請できるようなシステムがあると良い」
■寝たきり患者「写真撮影に苦労」
施設だけではありません。自宅で暮らす身寄りのない高齢者らにとってもマイナカードを取得し、マイナ保険証に一本化するにはハードルがある人もいます。
東京・三鷹市にある「NPO法人グレースケア」は訪問介護などを行っています。
NPO法人グレースケア・柳本文貴代表理事:「訪問したヘルパーが(証明)写真を撮る時に非常に苦労して。背景が真っすぐになってないといけないというんで寝たきりの方、頭にシーツを敷いて(撮影し)写真を出して申請したが3回ぐらい返されてしまって、もう1度やり直しということで、ちょっとシワがあっただけのようだが、そういうところが煩雑」
また、今まで紙だったお薬手帳がデジタルになるのが心配だと話す高齢者もいるといいます。
NPO法人グレースケア・柳本文貴代表理事:「マイナンバーカードを信頼できるものにまずしてもらいたい。マイナンバーカードに色んなものを統合していくことはいいと思うが、その前にもうちょっと制度自体を整理した方がいい」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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